2013年04月20日

『超粒子実験都市のフラウ Code‐1#百万の結晶少女』

土屋つかさ 先生が贈る新シリーズ。「グロア粒子」によって事象が成り立つ実験都市に住む
少年が、空より降りてきた無垢なる少女との出会いから始まる物語を拝読させて頂きました。
(イラスト:植田亮 先生)

http://www.kadokawa.co.jp/lnovel/bk_detail.php?pcd=321211000250


“フラウ”が人間ではない「グロアロイド」という存在であり、しかも実験都市そのもの
であるということに加え、“隼人”や“かなめ”が有するPSY能力、更には“隼人”と共に
経験してきた事柄を絡めてのラストへの持っていき方が実に巧妙だと感じました。

幸せそうな“フラウ”とは対称的に、人ならざるものとして悲観的な考えを持つ“京子”を
登場させることでグロアロイドがいいことずくめなものではないという点を演出している
のも評価したいと思います。緩急をつけられる 植田 先生の挿絵も絶妙ですね。

早くも貧乏くじを引かされたような立ち位置に居る“かなめ”や、思惑ありまくりな様子で
“隼人”と接触してくる「チハチナ」の二人、そして研究機関の思惑と実に気になる要素が
盛りだくさんで続きに期待が持てる作品だと思います。次巻の刊行を楽しみにしておきます。

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2013年04月19日

『ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミンIII』

宇野朴人 先生が贈るファンタジー戦記、第3巻は“ナナク”らシナーク族との一戦で疲労
困憊の“イクタ”たちの前に現れた大軍にどう対処していくのか、に焦点が当たります。
(イラスト/さんば挿 先生)

http://dengekibunko.dengeki.com/newreleases/978-4-04-891533-5/


将棋盤の前で長考するかのように“イクタ”の狙いをことごとく阻止していくアルデラ神軍
の将、“ジャン”。初めて互いの意図を読み合えるレベルの敵と相対する“イクタ”。彼ら
の情勢がさらに悪化の一途を辿り、死と隣り合わせの現場であることを思い知らされます。

上に立つ者の責務を知る“イクタ”だからこそ見せる言動が皆の心を動かし、奇策に次ぐ
奇策をもって圧倒的な勢力の差異を埋めた功績は計り知れませんが。そんな思いもどこへ
やらな様子で大尉を推しまくる彼の思惑とは如何に。まぁ、碌な事はなさそうですけど。

“イクタ”の智謀の他にも“ヤトリ”の「イグセムの剣士」として、そして彼のよき理解者
としての立ち居振る舞いであるとか、“ナナク”独特の感情表現にもぜひ目を向けてほしい
ところ。中央に戻ってきてまた1巻の頃の雰囲気が戻ってきそうな点に期待しております。

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2013年04月18日

『マグダラで眠れIII』

「ヤングエース6月号」より 有坂あこ 先生のコミック連載が開始となる、支倉凍砂 先生の
ファンタジー小説。第3巻はカザン入植直前の“ウェランド”に重大な問題が発生します。
(イラスト/鍋島テツヒロ 先生)

http://dengekibunko.dengeki.com/newreleases/978-4-04-891579-3/


“クースラ”の相棒として在りたい。そう願い、努力する“フェネシス”が羨み、僻みにも
似た感情を味わうほどの“イリーネ”の実力。しかも“クースラ”たちも一目置くとなれば
“フェネシス”が焦って斜め上の頑張りを見せるのも致し方ないというもの。

そんな感じでぎくしゃくとし始めた“クースラ”と“フェネシス”の関係ニ追い討ちをかける
“ウェランド”への対応の違い。“クースラ”の信条と“フェネシス”の感情が二人の間に
少しずつ、そして決定的な溝を生んでいく過程が何とも切ない感情を呼び起こします。

・・・なんて思っていたのは彼や自分だけで、彼女自身は彼の生き様を慮り策を講じていたに
過ぎないのだと知った時は流石に「やられた!」と思わざるを得ませんでした。願いに向け
成長する彼女を微笑ましく思う暇もなく訪れる緊急事態がどんな展開を呼ぶか注目です。

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2013年04月17日

『ストライク・ザ・ブラッド7 焔光の夜伯』

アニメ化が決定した 三雲岳斗 先生の学園アクションファンタジー、第7巻は“古城”たち
の過去に触れつつ、そこから第四真祖の秘密に迫っていく緊張感の増す展開を見せます。
(イラスト/マニャ子 先生)

http://dengekibunko.dengeki.com/newreleases/978-4-04-891555-7/


“牙城”というのもすごい名前だと感じつつ、彼を「牙城君」と呼称する“凪沙”の異常性
に注目しておきたいところ。なぜ友達感覚のような関係を構築しているのかが気になります。
もちろん前巻で見せたあの事象、彼女が背負っているについても説明がほしいところです。

“古城”が先代の第四真祖“アヴローラ”と出会ったのが4年前。その時の事実が捻じ曲げ
られていることに気づいた“雪菜”の慧眼、それを確実なものにした“浅葱”の実力には
相変わらず恐れ入るところですが、彼が抱える真実の詳細も注目せねばならないでしょう。

そんな緊迫の度合いが増した場面で“雪菜”と“浅葱”が“古城”を巡ってついにガチで
向き合う事態にも突入。互いの反応は見ている分には実にコミカルで楽しませてくれます。
“浅葱”が他にもあると知ったらどう応えるのかも気に掛けておきたいと思います。

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2013年04月16日

『はたらく魔王さま!8』

TVアニメが好評放映中! の 和ヶ原聡司 先生が贈る大人気シリーズ第8巻は、“恵美”の
突然の帰省から続く騒動がエンテ・イスラに不穏な動きありと知るに足る動きを見せます。
(イラスト/029 先生)

http://dengekibunko.dengeki.com/newreleases/978-4-04-891580-9/
http://maousama.jp/


勇者“エミリア”として称えられた彼女が“真奥”たちのもとへ戻れないその理由に打ち
ひしがれる姿がまさに惨憺悲愴の極み。彼女が流す涙を止められるのは、未だにこの事態
に追いついていない“真奥”たちしかいない、ということで解決は次巻以降へ持ち越し。

また、彼女が戻らないという異常性にいち早く反応した“千穂”、そして“梨香”の強い
意志と信頼の気持ちが、所詮は敵対する存在だからと静観を決め込もうとする“真奥”を
動かしていくまでの過程がポイントでもあり、見せ場でもあるかと。

“恵美”が無意識のうちに一縷の望みを託してしまった“梨香”もついにエンテ・イスラ
との繋がりを持たざるを得ない状況に追いやられました。そんなシーンを招いたかの世界
の情勢がますます不穏当になっていく様を止められるのかも注目したいところです。

posted by 秋野ソラ at 00:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル