2013年02月28日

『パパのいうことを聞きなさい! 12』

松智洋 先生が贈るアットホームラブコメ、シリーズ第12巻はゴールデン・ウィークを迎え
“サーシャ” の来訪や “祐太” そして “空” への告白騒動で恋愛指数が急上昇です。
(イラスト/なかじまゆか 先生)

http://dash.shueisha.co.jp/_papa/#b12


名前で呼ぶ間柄になった“ミキ”が、自分で言っているとおり確かに一歩リードした形で
話を進めている感じです。ただ、“祐太”がそのことに全然気がついていない。女性陣が
これだけやきもきしているのに。“栞”がオチ要員っぽくなっている所が切ないです。

一方“空”と言えば母親らしく振る舞う“サーシャ”を前に、いつしか自分の母親のこと
を思い出して一人涙する、という年頃の少女らしい弱さを垣間見せました。かの少年に告白
されたときの言動を振り返って懊悩とする渦中でもあっただけに印象に残る場面です。

沈みゆく彼女の心を正の方向へと昇華させたのは、“サーシャ”と見つけた記録と記憶。
複雑な事情を経て伝わりきらなかった母の想いが娘に届いたその瞬間は心に響くものが
ありました。再び明るい雰囲気に立ち戻った小鳥遊家に訪れる変化を描く次巻も期待です。

posted by 秋野ソラ at 00:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2013年02月27日

『ロウきゅーぶ!(12)』

TVアニメ第2期の企画も進行中となる 蒼山サグ 先生の大人気ローリング・スポコメディ
第12巻は硯谷女学園との大会決戦を夢見て慧心女バスが一丸となって特訓に臨みます。
(イラスト/てぃんくる 先生)

http://dengekibunko.dengeki.com/new/bunko1302.php#new6


いやぁ、実に憎たらしい女の子として振る舞う描写の多い“怜那”ですが、それ故に出鼻
を挫いたときの少し黒めの気持ち良さ、そして心を入れ替えてなにくそと奮起するその姿
はまさに少年マンガに見られる熱さそのものです。ライバルとして申し分ない存在かと。

慧心女バスにおける五年生組と六年生組のわだかまり、というか相容れない状況も町内会
のイベントで彼女が嫌がらせを仕掛けてきたことが怪我の功名となりました。皆に敵として
共通認識を生み、倒すためには力を合わせなくては、という焦慮を生んだワケですから。

その慧心女バスを率いる“昴”も“久井奈”に「天然なんちゃら」と言わしめるプレイに
遭遇したり、せっかくの雰囲気を台無しにする「しましま案件」を解決したりと順風満帆
な人生を歩んでいるようで。このまま硯谷女学園の勝負の行方を好転に導けるか注目です。

posted by 秋野ソラ at 01:26 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2013年02月26日

『とある飛空士への誓約 2』

犬村小六 先生が贈る飛空士たちの恋と空戦の物語。「誓約」第2巻は“イリア”と“清顕”
を取り巻く油断のならない状況と当事者同士の想いが交錯し昇華していく過程を描きます。
(イラスト/森沢晴行 先生)

http://skygarden.shogakukan.co.jp/skygarden/owa/solc_dtl?isbn=9784094513967


237ページから続く40ページほどの紙幅の中で描かれる物語の激動ぶりが半端じゃない。
“ミオ”と遠く離れた地で再開を果たした愛鳥“フィオ”が呼び水なるとは思いもよらず。
少ない判断材料からその結論をよく導き出したものだと“バルタザール”には感服します。

過去の栄光あふれる姿を想像することも難くなった父“カルステン”との繋がりを良くも
悪くも断ち切れない“イリア”の蒼然たる面持ちも、“清顕”との一騎打ちの中で感じた
互いの意識を同調させる不思議な現象がそれを昇華して少女らしいものに変わっています。

対する“清顕”は「何のために空を飛ぶのか」「なぜ敵を撃ち落とすのか」と自問自答を
繰り返す中で戦績を落とし、ある心境の変化をバネに“イリア”と対峙するまでに至った
ワケですが・・・今巻のラストを受けてどうなることやら。続きが気になることうけあいです。

posted by 秋野ソラ at 00:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2013年02月25日

『アクセル・ワールド13 ─水際の号火─』

川原礫 先生が贈る大人気シリーズ第13巻。新アビリティ≪光学誘導≫を得て士気が上がる
“ハルユキ”の前に、かつて彼が陥った存亡の危機を救ってくれたあの人物が現れます。
(イラスト/HIMA 先生)

http://dengekibunko.dengeki.com/new/bunko1302.php#new5


アクア・カレント ── “カレン” が時の満ちるのを待って遂に登場。ユニークな口調と
ちょっぴりお茶目な性格が実に良い。残る≪四元素≫はグラファイト・エッジのみとなり
ましたが・・・って、冒頭の用語説明のところで軽く“カレン”のネタバレしてましたね。

彼女の情報収集と分析能力から導き出された、「災禍の鎧」に含まれる「加速研究会」の
深遠で悪意あふれる想いに戦慄させられると共に、そこから「ISSキット」の存在理由も
垣間見えることができてようやく話が繋がったなぁ、という印象を受けました。

「梅郷中学文化祭の一幕」にもあるように、“ハルユキ”のラッキースケベぶりに歯止め
が掛かることも無く、“ニコ”の見せた弱気なそぶりも受け止めたりとハーレムぶりも
加速する中、「ISSキット」問題にも風雲急を告げて緊迫の度を増したまま次巻へ続きます。

posted by 秋野ソラ at 00:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2013年02月24日

『FORTHシリーズ 連射王〈上〉』

『都市シリーズ』 『AHEADシリーズ 終わりのクロニクル』、そして 『GENESISシリーズ
境界線上のホライゾン』 を世に送り出す 川上稔 先生が2007年に上梓したハードカバー。
シューティングゲームに出会うことで本気になれない己と向き合う高校生の物語を拝読です。

http://dengekibunko.dengeki.com/new/bunko1302.php#new10


「シューティングゲーム(STG)とはそもそも何なのか」に始まり、筐体やレバー・ボタンの
操作方法、パワーアップの仕方やボムの使い方、弾の軌道に当たり判定等々、痒い所まで
手が届くほど丁寧な解説を交えることで読者を置いてきぼりにしない工夫がとられています。

自分もSTGは苦手だったりするクチですけど、高校の野球部であっさりレギュラーになれる
ほど優秀な野球少年である “高村” の苦悩する姿を見て、その理由をまざまざと見せつけ
られました。そしてその理由をはねのけてSTGと向き合い続ける彼を只々凄いと思いました。

自分の本気になれるものを探すため一人悩む“高村”が見ていないところで“仲”や“岩田”
の物語も進行している、と匂わせる最中でゲーマーである“竹”が示した一つの可能性に
乗ってどこまでも突き進んでいってしまうのかが気になる所。来月の下巻刊行を待ちます。

posted by 秋野ソラ at 00:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル