2012年12月26日

『天帝学院の侵奪魔術師<ドメインテイカー> 〜再臨の英雄〜』

魔術師が全てを支配する世界。最強の魔術師「天帝」を育てる学園に潜り込む事になった、
かつて英雄と呼ばれながらも魔力を失い今を生きる少年の物語を 藤春都 先生が綴ります。
(イラスト/refeia 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup1212.php#novel121202


魔術師が魔術を行使する際に展開する「領域(ドメイン)」の大きさがその力の大きさに
比例するということ、「領域」を持たない者は他人のそれを奪って、すなわち「侵奪」に
よって魔術を行使するほかに術がないということ。この2つが物語の根底にあります。

「バルテノム皇国」の皇位継承戦争で負った傷が原因で突然魔術が使えなくなった大魔術士
“アスト”がその理由を探る中で「天帝」の祖たる人物が如何にして最強の魔術師となった
のかを想像する契機を得ます。即ち侵奪によって魔術師を束ねていた存在ではないかと。

一度は力を失って野に下った “アスト” が、この世界において忌避される「侵奪者」で
あっても再び魔術を使い、英雄として振る舞えるのもいつしか得られた仲間とその信頼が
あってこそ。故に底辺から形勢を逆転していくまでの過程が楽しめる物語だと思います。

posted by 秋野ソラ at 00:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2012年12月25日

『のうりん 5』

白鳥士郎 先生が贈る農業系学園ラブコメディー、大人気のシリーズ第5巻は部活に入る
こととなった “林檎” が目をつけた部活動から「畜産」の今に焦点を当てていきます。
(イラスト 切符 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797372526.html


いつかは食用として手に掛ける時がくる動植物たちをに育てていく、その意味を当事者の
視点で、あるいは第三者の視点を絡めて描写することで示し、問いかけていく。今巻は
生命倫理を扱う話が多いため重めですがその分、実に考えさせられる名作でございました。

「花のない花壇」の意味を知ったときなんて、まさに胸が締めつけられるかのようでした。
畜産だけに限らず、ペットを飼うという最近の事情にも触れられている点など読んでいると
推薦図書にしても良いのではないかと思えるほどのエピソードの数々はどれも見所満載。

まぁ、推薦図書にするにはいささかおっぱい大増量も含めネタ満載すぎるのでアレですが。
“カマトリ・バジーナ” とかセリフも含めて面白すぎる(笑)。でも「GM作物」の話に触れる
大事な話に繋がるので侮れないのですけど。そんなこんなで次巻も波乱万丈は必至です。

posted by 秋野ソラ at 00:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2012年12月24日

『アーク・ブラッド A.D.5000のアダム』

榊一郎 先生が 「C☆NOVELSファンタジア」 にて上梓していた新シリーズをようやく拝読。
突然の事故に巻き込まれた少年が辿る数奇な運命と、背負わされた宿命を綴る物語です。
(イラスト:倉嶋丈康 先生)

http://www.c-novels.com/book/2012-09-25-1000.html


最後まで読み終えた後で副題の意味に気がついて 「なるほど、そういうことね」 などと
思った次第です。コールドスリープによって西暦 5,012 年という遥か未来で目を覚ました
“明久” がやむを得ずハーレムを築くための布石が端々で巧妙に打たれていたかと。

目覚めた “明久” と初めて接触した“ミスズ”、彼の主治医としてロストテクノロジーと
特殊能力で治癒にあたった “ベルレッタ”、彼女たちが生きている世界を脅かす「侵略体」
への対抗手段「強化外装機関」を彼と偶然共に動かすことで成果を挙げた“スコット”。

三者三様に抱く正負の感情が 「原種遺伝子回収計画」 という今を生き延びるための試みを
介してどう変化していくのか、そして肉体そのものは回復しつつも未だ眠り続ける“明久”の
妹 “朱乃” が目を覚ましたら現状をどう思うのか、続きが興味深い滑り出しかと思います。

posted by 秋野ソラ at 12:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2012年12月23日

『フェアリィフィールド 妖精戦陣』

『まじしゃんず・あかでみい』シリーズ(ファミ通文庫)の 榊一郎 先生と BLADE 先生が
再びタッグを組んで贈るメカと美少女があふれるバトルストーリー、読ませて頂きました。
(イラスト/BLADE 先生)

http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=14425


特殊な生い立ち故に「家族」も含めた人との接し方が余所余所しい“タツキ”。無気力少年
とも言える彼にドールサイズの擬人機械「フェアリィ」を使ったサバイバルゲームの隊長を
お願いするところから始まるこの物語。如何にして彼の動機づけを図るかが最初の焦点。

レベルの高い “キョウ” のチームとの対戦で初陣を・・・・そう易々と飾らせないのがいい
ですね。そこから少しずつ、フェアリィたちとも向き合っていくことで人間性にも変化の
兆しが見えてきます。“キョウ” はかなりの「いいひと」で好感度の高いキャラです。

フェアリィたちの頑張り具合も見どころですが、妹の “アカネ” や彼に対して思う所の
ある “コトコ” の抱えている感情、その機微の描写も興味深い。すべては売り上げ次第
かと思いますが、続けても何ら問題ない作品かと思いますので編集部の皆さま宜しくです。

posted by 秋野ソラ at 00:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2012年12月22日

『ミニスカ宇宙海賊9 無法の御免状』

笹本祐一 先生が贈る大人気シリーズ。TVアニメの2クール放映で多くの人気を集め今度は
劇場版アニメに挑む原作本編第9巻は「弁天丸」ら海賊たちが存続の危機に晒されます。
(イラスト/松本規之 先生)

http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=14424


“グリューエル” というかセレニティ軍の危険察知能力、というか情報収集能力の高さが
ハンパない上に、彼女を始めとするセレニティ星王家が「弁天丸」に対して絶対の信頼を
寄せているのが分かる、「私掠船免状」停止からの一連の動き。

そんな騒動の発端から、名のある海賊たちに搦め手を仕掛けている相手の存在を推測するも
その意図も正体も分からぬまま、お尋ね者扱いの身で「帝国艦隊」への自首を敢行する
「弁天丸」クルー。虎穴に飛び込む緊迫した状況下でもどこか楽しそうなあたりは豪胆。

「敵」の目的を掴んだ後は、久々に派手なドンパチをやらかす破目に。電子戦とか高度な
交渉術で乗り切る場面がこれまで多かっただけに、最後まで緊張感あふれる展開を1冊に
纏めてきた印象を受けました。とばっちりを喰らった “茉莉花” にはお疲れ様の一言を。

posted by 秋野ソラ at 01:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル