杉井光 先生が贈るゴシック・ファンタジー第2巻。自分の戯曲執筆もままならない
“ユキ” とスランプに陥った “ルゥ” の前に魔王 “ナポレオン” が立ちはだかります。
(イラスト/岸田メル 先生)
【 http://dengekibunko.dengeki.com/new/bunko1209.php#new7 】
「闘魂烈士団」 って楽団の名前じゃないよね、って “ユキ” じゃなくてもツッコミたくなる
くらい設定の数々に見える面白おかしさもさることながら、それらを意外な線で結びつけて
くるあたりは流石と言わせていただくほかに無く。
“ユキ” のツッコミ錬度が上がっていく中で少しずつ見えてくる、彼が呼び寄せられた
「十九世紀」 という世界が我々の知るそれではないという証左の数々。少しずつ日本語の
読解力が下がっていることと合わせて彼の不安感を煽っていきます。
本当の死を求める “ナポレオン” と彼の死を望み復讐鬼となった “カール”、という
図式をも駆逐する魔術師 “ゲーテ” の力。“ユキ” がその魔術の源を、本質を理解し
「自分の物語」 を書くことを決意してから感じた 「喜び」 がとても印象的でした。