2012年09月19日

『雪の翼のフリージア』

『雨の日のアイリス』がネット上で好評を博した 松山剛 先生が贈る新作。翼を失った飛翔士
の少女と義翼職人が過酷な飛行レースでの優勝を目指す努力と信念の物語を拝読です。
(イラスト/ヒラサト 先生)

http://dengekibunko.dengeki.com/new/bunko1209.php#new16


飛翔士の少女 “フリージア” と義翼職人 “ガレット” の視点を切り替えて話を進める
構成が特徴の本作。これにより2人の機微を追うことに注力でき、余計な情報に惑わされる
ことなく最後まで一直線に読めたと思います。章題のつけ方も印象的でした。

憧れの飛翔士 “オスカー” の話題が “フリージア” から出てくる度に心中複雑な思いを
抱える “ガレット”。厄介な事情があるだけに疎ましいくらいに思っていた彼の気持ちが
やがてその事情に悩まされるほど “フリージア” へ入れ込んでいく変化がポイント。

躊躇うことなくマッサージも行ってしまう “ガレット” がライバルである “グロリア” と
少なからぬ縁があると気づいてからの “フリージア” の動揺、そして心情の変化も描写が
上手いな、と思いました。締めくくりも実に良い一巻完結の作品でした。オススメです。

posted by 秋野ソラ at 00:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル