2012年09月21日

『俺の妹がこんなに可愛いわけがない(11)』

TVアニメ第2期製作も決定した 伏見つかさ 先生が贈る大人気シリーズ第11巻。高坂兄妹
の過去、3年前から続く 「冷戦」 の原因を振り返り、今を見つめ直す物語が綴られます。
(イラスト/かんざきひろ 先生)

http://dengekibunko.dengeki.com/new/bunko1209.php#new1


“麻奈実” さん、ついにリミット・ブレイク(苦笑)。“京介” と “桐乃” の関係を、周囲の
ものも含めて意外に俯瞰できてるところが侮れない。彼女自身が抱えていることを
思い出した「三年前の宿題」、それがどういった形で成されるのかが注目どころ。

そして彼女の宣言を受けて “加奈子” が、“黒猫” が、“あやせ” が、そして “桐乃” が
負けじと名乗りを上げる展開となり、さながら戦国時代に突入したかのよう。それにしても
あとがきの後に第12巻のプロローグを入れてくるなんて引き際の魅せ方が素晴らしい。

昔話を経て “京介” が熱い、というか背伸びしたいお年頃だということも分かりましたし
キャラクターの掘下げとしても功を奏した感は十二分にあると思います。何はともあれ、
いやが上にも期待の高まる最終巻、第12巻の刊行を今か今かと待ちたいところです。


#最近の電撃文庫の風潮だとその後にもう1冊来てもおかしくない気はしますが。

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2012年09月20日

『楽聖少女2』

杉井光 先生が贈るゴシック・ファンタジー第2巻。自分の戯曲執筆もままならない
“ユキ” とスランプに陥った “ルゥ” の前に魔王 “ナポレオン” が立ちはだかります。
(イラスト/岸田メル 先生)

http://dengekibunko.dengeki.com/new/bunko1209.php#new7


「闘魂烈士団」 って楽団の名前じゃないよね、って “ユキ” じゃなくてもツッコミたくなる
くらい設定の数々に見える面白おかしさもさることながら、それらを意外な線で結びつけて
くるあたりは流石と言わせていただくほかに無く。

“ユキ” のツッコミ錬度が上がっていく中で少しずつ見えてくる、彼が呼び寄せられた
「十九世紀」 という世界が我々の知るそれではないという証左の数々。少しずつ日本語の
読解力が下がっていることと合わせて彼の不安感を煽っていきます。

本当の死を求める “ナポレオン” と彼の死を望み復讐鬼となった “カール”、という
図式をも駆逐する魔術師 “ゲーテ” の力。“ユキ” がその魔術の源を、本質を理解し
「自分の物語」 を書くことを決意してから感じた 「喜び」 がとても印象的でした。

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2012年09月19日

『雪の翼のフリージア』

『雨の日のアイリス』がネット上で好評を博した 松山剛 先生が贈る新作。翼を失った飛翔士
の少女と義翼職人が過酷な飛行レースでの優勝を目指す努力と信念の物語を拝読です。
(イラスト/ヒラサト 先生)

http://dengekibunko.dengeki.com/new/bunko1209.php#new16


飛翔士の少女 “フリージア” と義翼職人 “ガレット” の視点を切り替えて話を進める
構成が特徴の本作。これにより2人の機微を追うことに注力でき、余計な情報に惑わされる
ことなく最後まで一直線に読めたと思います。章題のつけ方も印象的でした。

憧れの飛翔士 “オスカー” の話題が “フリージア” から出てくる度に心中複雑な思いを
抱える “ガレット”。厄介な事情があるだけに疎ましいくらいに思っていた彼の気持ちが
やがてその事情に悩まされるほど “フリージア” へ入れ込んでいく変化がポイント。

躊躇うことなくマッサージも行ってしまう “ガレット” がライバルである “グロリア” と
少なからぬ縁があると気づいてからの “フリージア” の動揺、そして心情の変化も描写が
上手いな、と思いました。締めくくりも実に良い一巻完結の作品でした。オススメです。

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2012年09月18日

『RPF レッドドラゴン II 第二夜 竜の爪痕』

虚淵玄、奈須きのこ、紅玉いづき、しまどりる、成田良悟。五人のためのゲーム、六夜限り
の物語(フィクション)、その二夜を綴る 三田誠 先生の一冊、読ませていただきました。
(イラスト:しまどりる 先生)

http://sai-zen-sen.jp/publications/reddragon/
http://sai-zen-sen.jp/special/reddragon/


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  スアロー : 〈交渉〉だよね! クソ、死の商人に勝てるわけねえだろ!(笑)
  FM : プレイヤーキャラクター同士だから〈交渉〉判定はそれほど有効じゃないよ?
      いやもちろん、それで決めてもいいけど。
  禍グラバ : いえ、スアローさんではなく、メリルさんに交渉しようかと(一同爆笑)。
  スアロー : しまったああああああ!
  FM : そ、そっちは・・・・・・NPCだから交渉できますね・・・・・・。
  忌ブキ : すごい・・・・・・先の先まで読んでる・・・・・・。
  スアロー : ・・・・・・う、美しい流れだ。完璧に詰まされたと言わざるを得ない。
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成田良悟 先生、恐るべし(笑)。同じチームであるはずなのに出し抜き合いが発生する
PC間の事情を知るが故に 奈須きのこ 先生が “スアロー” の立場から何とか食い止め
ようとするもFMすら唖然とする手を使われては為す術無く。相変わらず苦労してますね。

そんなPC間の駆け引きも相変わらず面白いですが、初のチーム一丸となっての戦闘も
見どころ。大ダメージ+特異な演出で魅せる “婁” の独壇場かと思いきや “スアロー” が
とんでもない隠し玉を披露してくれました。黒竜騎士の名は伊達や酔狂じゃありませんね。

かの敵と因縁のある “忌ブキ” に 「ニル・カムイ」 を、そして “忌ブキ” という存在をも
揺るがす 「ドナティア」 の宣誓がふりかかり、さらに 「黄爛」、「革命軍」 が関与してきて、
と動乱は避けられない様子。PCたちがどう動くか、第三夜に注目したいところです。

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2012年09月17日

『特装版 "末摘花" ヒカルが地球にいたころ・・・・・・(5)』

野村美月 先生が贈る大人気学園ロマンス第5巻。ドラマCDにポストカード画集、しおり、
ミニマウスパッドがついた特装版も同時発売、ということでそちらを手に取りました。
(イラスト:竹岡美穂 先生)

http://www.enterbrain.co.jp/fb/pc/08shinkan/08shinkan.html#_01


今回は “ヒカル” がオンライン上で知り合った “サフラン” という少女がお相手の対象。
長い期間を設け、喫茶店での待ち合わせるはずの約束。それを果たすべく向かう “是光”
は彼女のことを、彼女も彼が代理であることを気づくことも無く時が過ぎていきます。

喫茶店を軸にして “是光” の横に入れ代わり立ち代わり少女たちが現れることになるの
ですが、そのせいで “帆夏” にはやきもきさせるわ “サフラン” に誤解を与えるわで
なかなか約束を果たせないすれ違いを見せるのが面白い展開となっております。

一人立ちしようと頑張る “葵”、“是光” にはチョロいことを自覚した “帆夏”、幼少の
はずかしいエピソードをあらわにされてわずかに形無しとなった “朝衣”。彼女たちの
心を震撼させる外的要因が発生したエピローグを受けてそれぞれがどう動くか楽しみです。


で、本編にて “是光” が女性に対する苦手感を克服しようと挑んだナンパ作戦を中心に
話の裏側を描いたのがドラマCDの内容。“是光” のぶっきらぼうな感じや “帆夏” の
裏腹な言動で一喜一憂する様子が特に好演されていたように思いました。

“朝衣” の意外な一面も実演してもらっているので値段に見合った聴き応えはあるかと。
グッズに使われている 竹岡美穂 先生のイラストも美麗ですし、ファンなら特装版に手を
出しても問題ないかと思います。参考としてキャストの情報を載せておきますね。


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  キャスト(敬称略)
  
   帝門 ヒカル  ...... 梶 裕貴
   赤城 是光   ...... 杉山 紀彰
   式部 帆夏   ...... 戸松 遥
   左乙女 葵   ...... 佐藤 聡美
   斎賀 朝衣   ...... 早見 沙織
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posted by 秋野ソラ at 00:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル