2012年07月21日

『ベン・トー 9 おかずたっぷり! 具だくさん! 香り豊かな欧風カレー弁当すぺしゃる305円』

アサウラ 先生が贈る本編第9巻、シリーズ11冊目。半額弁当争奪バトルに力と青春を注ぐ
「HP同好会」 の面々が冬の合宿において遭遇する宿命の対決、その顛末が描かれます。
(イラスト/柴乃櫂人 先生)

http://dash.shueisha.co.jp/-bento/#b11


合宿という非日常のシチュエーションに上乗せされた若さ故にリビドー溢れる “佐藤” の
偏執的な妄想とその描写の数々がいかにも青春、という感じですが “茉莉花” に対する
あれやこれやについては122ページにある “著莪” の言葉を私からも贈っておきたい所。

「大厄の闘牛士」 の二つ名をもつ “秋鹿”、「HP部」 当時の “仙” と少なからず因縁
がある相手の登場でますます過去のエピソードに興味が沸きます。「氷結の魔女」 への
復讐に燃えるその裏にある、単純な敵としての存在では持ち得ない感情も興味深い。

“レッド” が要所要所で魅せてくるところもなかなかポイント高いな、と思いつつ男同士の
絆を拳を振り上げて確かめ合う “佐藤” の姿が何とも勇ましく、そして格好よく映ります。
スーパーの希望とは一体何なのか。意味深長な言葉に想いを馳せつつ次巻へと続きます。

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2012年07月20日

『選ばれすぎしもの!』

峰守ひろかず 先生と 京極しん 先生の 『ほうかご百物語』 コンビが贈る新シリーズ。
幾つもの異世界の窮地を救う勇者のこき使われぶりを綴るブレイブストーリーを拝読です。
(イラスト/京極しん 先生)

http://dengekibunko.dengeki.com/new/bunko1207.php#new14


ヒロインがいきなり6人も登場する、という彼女たちの描写に掛けるページの割合が減る
ことが明白な中でもきっちりと整理して分かりやすく読ませてくるあたりは流石、という
感じがしました。安心して次巻以降も手が伸ばせそうです。

「勇者は本当に “護” しかなれないの?」 とか 「当番制って言うけど、じゃあ・・・」 と
いった当然湧き上がる疑問についてもちゃんと伏線を張って、答えも用意して頂いていて
話の展開としても申し分ないと思います。

のっけからヒロイン6人のキャラクターデザインをお願いしたところで次巻でまた新しい
メンバーを増やすという 京極 先生泣かせな 峰守 先生の宣言はさておき、次はどんな
異世界の窮地を “護” が救っていくのだろうかと思うと楽しみなところです。

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2012年07月19日

『C3 -シーキューブ- XIV』

TVアニメのBD・DVDが発売中、ということで 水瀬葉月 先生が贈るシリーズの第14巻。
悪堕ちした “このは” を巡って “春亮” たちの気持ちに葛藤が生まれ、渦を巻きます。
(イラスト/さそりがため 先生)

http://dengekibunko.dengeki.com/new/bunko1207.php#new5


“このは” がこのまま帰ってこなければ──。“春亮” への想いがある故にそんな暗い
感情に囚われる女性陣、とりわけ “錐霞” の機微が話の流れとして注目の一点かと。
彼女と対等でありたい、という感情でもってその暗い気持ちを昇華させるところが特に。

“このは” との過日を織り込みながら “リリィハウル” との共闘も辞さないほど彼女を
取り戻す願望を高めていく “春亮”。彼らの秘策をもってしてもその願い叶わず、打つ手
なしの絶望の淵からどうやって彼女を取り戻せたのか、という点も見どころと言えましょう。

“このは” が涙ながらに “春亮” へ告げた我が儘とそれを証明するために示した行為。
“フィア” たちの想いに衝撃が走る中、“拍明” が宣告した一言が、そして “春亮” の
前に現れた謎の美女が放つ発言に新たな注目を集める展開が次巻への期待を誘います。

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2012年07月18日

『マグダラで眠れ』

『狼と香辛料』 最終巻の刊行から1年が経ち、支倉凍砂 先生が贈る新シリーズ。眠らない
錬金術師 “クースラ” と白い修道女 “フェネシス” の物語、読ませていただきました。
(イラスト/鍋島テツヒロ 先生)

http://dengekibunko.dengeki.com/new/bunko1207.php#new4


「クラークの三法則」 なるものが世の中にはありますが、「科学」 という概念すらまだ
確立していない中世のような世界観であるからこそ 「錬金術」 という呼び名が性に合う
気にさせてくれる描写の数々。それらに惹き付けられていく展開に好感が持てます。

常人から見れば狂気のように思われるかもしれない “クースラ” や “フェネシス” の
夢を賭けてのやりとりは 支倉 先生らしさを感じました。女性の扱いにも長けたところが
ある “クースラ” の言動には物珍しさを感じざるを得ないものもありますけれども。

“クースラ” の相棒たる “ウェランド” の計り知れない物言いや振る舞いも気になる
ところですが、運命の出会いを果たした “クースラ” と “フェネシス” の二人が今後
どんなお話を紡いでいくことになるのか期待できることが確認できて良かったと思います。

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2012年07月17日

『魔法科高校の劣等生(6) 横浜騒乱編<上>』

文科系の九校間対抗戦とも言える 「全国高校生魔法学論文コンペティション」 に “達也”
が参加するところから始まる 佐島勤 先生の大人気シリーズ、第6巻の登場です。
(イラスト/石田可奈 先生)

http://dengekibunko.dengeki.com/new/bunko1207.php#new2


「大魔王」 とまで示唆される “達也” の無双っぷりが飽きることなく発揮されているのは
相変わらずですが、女性に対する妄言もいくつか飛び出すあたり別の意味でも底知れない
ものを見せつけてくるあたりは羨むべきか蔑視すべきか悩ましいところで(苦笑)。

他にも挿絵つきでラッキースケベな目にあう男性陣もいたりして何ともうらやまけしからん
ワケですが、こちらもいいモノを見せてもらいましたので是認しておきましょう。あと、
ベッドの上で右に左に転がる “深雪” の様子が可愛らしく想像できるのもいい感じです。

外なる魔法師たちの暗躍、何よりからめ手で “達也” たちの周囲を脅かす “周” の存在が
何とも空恐ろしい限りですが、風雲急を告げる 「論文コンペ」 直前の状況に第一高校の
面々がどう対処していくことになるか。「横浜騒乱編<下>」の登場を待ちたいと思います。

posted by 秋野ソラ at 00:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル