2011年12月16日

『最弱の支配者、とか。』

劇団 「デス電所」 主宰の 竹内佑 先生が、虚淵玄 先生(ニトロプラス)の推薦文を
引っ提げて 「ガガガ文庫」 に登場。平凡を愛する少年が直面する非日常を描きます。
(イラスト/明星かがよ 先生)

http://gagaga-lululu.jp/gagaga/newrelease/index.html#01
http://www.deathtic.com/


未来からやってきた、と告げる少女。「総統様!」 と呼ばれてしまう少年。5年前に
置いてきた過去。間違えて初めて何度もやり直せると気付ける未来。平凡に生きようと
決めた優先事項を書き換えることになった少年 “ユキト” の変化が前向きで好印象。

「おでんでんででん♪」 な映画よろしく未来の支配者を打倒すべく、レジスタンスが
過去に刺客を送り込んでくる。それを防ぐのが少女たち 「行使」 の役割なのですが
それを微塵も感じさせないおちゃらけた言動がこれまた小気味良いところ。

いつしか “ユキト” たちが所属するクラスの抱える問題に物語を推移させつつも、
「行使」 たちに話を絡ませて異能バトルまでやらかすあたりは面白い話運びであった
ような気がします。他にどんな 「行使」 が居るのか、気になるところです。

posted by 秋野ソラ at 02:35 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2011年12月15日

『覇道鋼鉄テッカイオー』

八針来夏 先生の 「第10回 SD小説新人賞・大賞」 受賞作。ライトノベルには少々珍しい
ロボットもの、ということで興味をもって手にとり、読ませていただきました。
(イラスト/Bou 先生)

http://dash.shueisha.co.jp/new/1111.html#b01


・・・うん、確かに読みにくい、というか読み終えるまでに時間が掛かったな、という印象は
ありましたけれども、それに勝る面白さはあったと思います。技の名前を叫びながら拳を
ぶつけ合う、とか胸が熱くなります。・・・そういえばウチ「Gガン」とか好きやもんな・・・。

そんな熱さの中にひたすら 「童貞ネタ」 を織り交ぜてコミカルな場面を演出するのが
単に熱いだけじゃない面白さがある、と言いますか 「童貞じゃなければ強くなれない」
という流派、そして “カザン” のジレンマを大いに活かした話運びだったように思います。

そのジレンマは相棒である “ルゥラン” との密接な関係にも絡んできて 「好きなのに、
でも繋がれない」 という懊悩を上手く描いてきたところも良かった点として挙げていい
かと思います。とりあえず、続きが出ても何ら問題ないレベルではないでしょうか。

posted by 秋野ソラ at 00:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2011年12月14日

『MiX! オトコの娘はくじけない!!』

岩佐まもる 先生が送る、オトコの娘新体操ラブコメディ第5巻。“蘭” = “蘭丸” の
ヒミツがバレてしまうと聞いて新体操部は、そして “蘭丸” 自身はどうなる!?
(イラスト:CARNELIAN 先生)

http://www.kadokawa.co.jp/lnovel/bk_detail.php?pcd=201106000092


いつ来るんだろう? いつ来るんだろう? とその時が来るのをドキドキしながら “蘭” と
“佳奈” が仲睦まじく過ごしているのを眺める。今巻のポイントとなる流れの1つです。
もちろん、バレてからの二人の機微、反動の大きさを描くところがもう1つの注目点。

想いを傷付けてしまった “佳奈” と真摯に向き合う “蘭”、いや “蘭丸” のその姿は
立派に男の子してました。新体操のことを本当に好きになった、というその気持ちがあった
からこそ彼女の 「納得させてほしい」 という願望に似た想いを引き出せたのだと思います。

“葵” も “正春” も、“涼子” たち新体操部のメンバーも、みんな良い仲間ですね。
新しい朝、みんなに支えられて希望に満ちた心を胸に迎えたその瞬間。きっと素晴らしい
形で、新生「新体操部」として秋の大会に臨めるものと信じています。次巻も楽しみです。

posted by 秋野ソラ at 00:44 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2011年12月13日

『サクラダリセット(6) BOY、GIRL and ──』

能力者の集う街、咲良田を舞台にした 河野裕 先生の物語もいよいよ最終局面へと突入。
同時刊行となる吉原雅彦 先生のコミックスとのコラボフェアが開催中です。
(イラスト:椎名優 先生)

http://www.kadokawa.co.jp/lnovel/bk_detail.php?pcd=201009000107
http://www.kadokawa.co.jp/event/present.html#82


うわぁ、このラスト、とんでもねぇ。完結予定となる次巻の刊行が待ち遠しくて仕方が無い
じゃないですか 河野 先生。今回、ほぼすべてにおいて後手に回る結果となった “ケイ” が
それでも前向きでいられる、という未来あるまとめ方には感服いたしました。

「リセット」 という能力をもつことで出会った記憶を失えない少年 “ケイ” との出会い。
少しずつ変わっていく “春埼” 自身も掴みきれなかった想いがついに言葉として表れた事は
本当に喜ばしい。「サクラダリセット」 という事態をはねのけてくれると信じています。

ということで「サクラダリセット」、その言葉の意味がついに顕在化しました。誰かを救う
物語が誰かの想いを阻害する。その逆もまた然り。咲良田という街はどうあるべきなのか。
“菫”、“浦地”、“ケイ”、その他かの地に住む能力者の思惑が交錯する結末に期待です。

posted by 秋野ソラ at 00:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2011年12月12日

『それがるうるの支配魔術 Game3:ファミリアル・リドル』

常識と魔術が織り成す学園ストーリー、土屋つかさ 先生が送るシリーズ第3巻が登場。
今巻は “言乃” とその兄、生徒会長でもある “御堂宣一” との関係が関与してきます。
(イラスト:さくらねこ 先生)

http://www.kadokawa.co.jp/lnovel/bk_detail.php?pcd=201106000090


「《なんで、名字が違うんだよ》」──。なるほど、確かにそうだ。「噂屋」 のネタとか
明らかに何かありそうな “御堂” の本質が最後まで読みきれなかったことに関しては
相変わらずフェイクの入れ方が巧妙で今回も 「やられた!」 という爽快感が湧きます。

今巻は 「ルールズ・ルール」 ではなく魔術の理を覆していく、という過程の中で “言乃” が
割を食うカタチになりました。ですが、怪我の功名とでも言いますか、“るうる” のことが
大好きという想いを自他共に認められたことに救いがあったのではないかと思います。

最後に 「あとがき」 を読むといろいろと考えさせられるところがあるな、と思ったり。
“小春” という存在の片鱗も “タマキ” たちが知ることにもなりましたし、欧文研OBの
存在も見え隠れしてきましたし、ラストの不穏な発言も気になりますし、益々楽しみです。

posted by 秋野ソラ at 00:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル