2011年11月15日

『魔法の材料ございます(8) ドーク魔法材店三代目仕入れ苦労譚』

葵東 先生の 「魔材」 第8巻。“ヴァルヘルト” のドラゴン狩り阻止、バラキア神国解放、
そして魔神討伐。“シャルト” と “リリアーナ” にはやることが山積みのようです。
(イラスト:蔓木鋼音 先生)

http://ga.sbcr.jp/novel/mahou/


ようやく登場の “フィンギルト” が “ヴァルヘルト” を止めるべく仕掛けた直接対決が
熾烈を極めていて熱い。“シャルト” も遠くはなれた場所で窮地の芽を生むも徳の高さを
もって知らぬ間にそれを摘むことが出来ていたり、と気分が高揚する場面もありました。

“シャルト” と “サシャ”。互いに告げられない思惑はありつつも、それを慮って普段の
ように振る舞おうとする気持ちは共に過ごす日常を大切に思うからこその信頼と絆の証。
特に、足手まといにならないよう気丈に努める “サシャ” が健気で素敵でした。

作中、我々が過ごす現代社会のあれこれが透けて見えるところがあって身につまされる
思いを抱くことも。あとはあとがきにある違法ダウンロードの件とか。あれはマジコンと
同じで大人が子供に教えるべきことだと思います。作り手への対価とか感謝というものを。


閑話休題。

“ヴァルヘルト” の件に決着をつけられたかと思いきや、祖父“ドーク=セラヴィ” や
“第三王子バルシュタット公” の思惑が明らかになってたじろぐ “シャルト” たちには
まさに一難去ってまた一難な状況。如何にして引っ繰り返してくれるか、楽しみな所です。

posted by 秋野ソラ at 01:26 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2011年11月14日

『のうりん(2)』

TPP関連で俄然、世の注目を集める 「農業」 をテーマに扱う学園ラブコメディ第2巻。
白鳥士郎 先生が行ってきた取材の成果と、培ってきた笑いのセンスが光ります。
(イラスト:切符 先生)

http://ga.sbcr.jp/novel/no-rin/


  自然は残酷だ。
  農業は過酷だ。


・・・“耕作” の心の声が胸に響く。


  「どうして・・・・・・・・・・・・農業を続けられるの?」


“林檎” からの切実な問いかけ。それまでは “耕作” 自身も明確な答えを持って
いなかった 「その理由」 が、“林檎” へとつとつと説明していくうちにだんだんと
輪郭を帯びていくあたりの描写はとても煌く映るものがありました。

・・・そのシリアスさを丸ごと引っ繰り返してくれるラストは「やってくれるッ!」としか
言いようが無い。まさに期待を裏切らない展開。フォント弄りやマンガ的な挿絵の使い方
など技巧面でも先端を行くライトノベル作品ではないかと思います。

#そのうちセリフを横断するカットインとか入れてきそうで恐いわ〜。(w


今回もたくさん笑わせてもらいましたので、電車など外で読むよりはぜひ家で読むことを
推奨しておきたいと思います。とにかく面白いから読んでいただいてその面白さを実感して
頂くしかないかな、と。次巻予告も興味津々で今から刊行が楽しみでなりません。

#見開き使って一発ネタ、とか笑うてまうやろ。(w


なお、白鳥 先生のブログ 「のうりんのぶろぐ」 にて 『第1回 のうりん人気投票』 の
結果が出ているようですので確認しておくのも一興かと思います。


■ のうりんのぶろぐ
http://thurinus.exblog.jp/

#“シューフェン” 強いな。流石やわ。(w

posted by 秋野ソラ at 00:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2011年11月13日

『正捕手の篠原さん』

「第7回MF文庫Jライトノベル新人賞・審査員特別賞」 を受賞した 千羽カモメ 先生の
2ページ青春コメディ、全95話を収録という物珍しさに惹かれて手にとってみました。
(イラスト:八重樫南 先生)

http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/book_detail/769


「サラシすげぇな・・・」 とまず一言いわせて頂いて。短く区切っていることもあって
テンポ良く読めました。「ライトノベル」の中でも更にライトな感じでお手軽に読める
作品としてオススメしても良いのではないかと。挿絵も多めですし。

キャラクターの位置付けなどについて2ページという枠の中で補えないところは幕間の
「キャラクターズファイル」 や 「インタビュー記事」 「今日の部誌コーナー」 などで
しっかりカバー出来ていると思います。デザイナーさんの労力が光るところでもあるかと。

甲子園を目指す、という目標に向かってノリは軽いですがストーリーも動いていますし
自分としては続きが出れば普通に手は伸ばしそうな気がします。“篠原” がどれだけ
野球部の面々をカバー、というか暴走を止められるのか楽しみにしたいところです。

posted by 秋野ソラ at 00:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2011年11月12日

『修羅場な俺と乙女禁猟区』

好意を寄せる婚約者候補5名のうち、本物は1人だけで後は殺したいほど憎んでいる──。
彼女らの想いを受ける少年のデッド・エンド・ハーレム物語を 田代裕彦 先生が描きます。
(イラスト:笹森トモエ 先生)

http://www.enterbrain.co.jp/fb/pc/08shinkan/08shinkan.html#_04


財力、権力に事欠かない 「遠々原」 家。その家で育った “節” に海千山千の親爺から
仕掛けられた婚約者選びというゲーム。しかも正式な婚約者になったら家をどう扱っても
構わない、という破格の条件がついていて迂闊に選べない。この辺の駆け引きが見どころ。

5人の婚約者候補を紹介するときに、ただ単に並べて紹介するのではなく “節” に対して
どんなアプローチを掛けるのか、というエピソードを絡めて説明するので話も止める事なく
進行できているし、読みやすさへの配慮も出来ていると感じました。

多少ヘタレなところはありますが、“節” が彼女たちに対して冷静に対応できている点も
ポイントが高い気がします。最後の引っ繰り返し方なんて 「やるわね」 と思わず唸って
しまいそうになるほどでした。十分、シリーズ化するに足る作品だと思います。

posted by 秋野ソラ at 00:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2011年11月11日

『ビブリア古書堂の事件手帖(2) 〜栞子さんと謎めく日常〜』

「メディアワークス文庫」 のベストセラーと言っても過言ではないかもしれない
三上延 先生の大人気ビブリオミステリ。その第2巻が満を持しての登場となります。
(越島はぐ 先生)

http://mwbunko.com/product/2011/10_01_isbn.html


読み進めていって 「あっ、もしかしたら・・・」 と気付かせてくれるポイントと最終的に
辿り着く着地点、その道筋が自然な感じがして読みやすかったな、という気がしました。
・・・“栞子” の母親にまつわる話は少なからず驚かされました。

そんな彼女は “五浦” の元彼女であった “高坂晶穂” の登場に影響を受け、わずかでは
ありますが意識に変化を見せております・・・ってどんだけこそばゆいと言うか、もどかしいと
言うか。・・・なるほど、女子校の卒業生だったのか “栞子” さんは。

プロローグ、そしてエピローグで登場した 「クラクラ日記」 がどういう意味を成すのか
という点も分かりましたし、今後は “智恵子” の姿を求めるエピソードなども盛り込まれ
たりするのかも知れませんね、ということで次も出るなら押さえておこうかと思います。

posted by 秋野ソラ at 00:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル