2011年11月20日

『このライトノベルがすごい! 2012』

集計方法の変更、発売前のネタバレ炸裂・・・と何かと話題に事欠かない 「このラノ2012」。
作品&人気キャラ&イラストレーター 2011年度版ランキングを今年も買って拝読しました。
(イラスト:ヤスダスズヒト 先生)

http://tkj.jp/book?cd=01871601


自分はホームページのアンケート回答者(以下[HP]と表記)の一人です。ランキングに
対して何やかやと言う方もおられるようですが、自分が投票した作品が選外になっても別に
気にしない人です。むしろ上位で未読なものを今後、選んで読む参考にさせて頂く感じで。


ランクインされている作品がどういった層から支持されたか、を判断するには 51 ページの
表を見て頂くのが一番かと思います。編集部オーダーの協力者回答(以下[協力者]と表記)
と調査会社からのモニター回答(以下[モニター]と表記)が載っているヤツです。

50 ページにも解説のあるとおり、時代を先取りしているのが[協力者]、人気が出てからの
後追いで推薦しているのが[モニター]という傾向があるようですので、支持層の状態遷移
としては以下のように推移していくのではないかと考えられます。


  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  (1)[協力者]>[モニター]
   ↓
  (2)[協力者]≒[モニター]
   ↓
  (3)[協力者]<[モニター]
 _____________________________________


この中に『[HP]が高い』という状態遷移が位置するのではないかと考えられるのですが
必ずしもその状態を通過するとも限らない気がしますので、ひとまずその状態を『(2)’』
と置くことにします。

見方としては、(1)の傾向が強ければ 『(世間からは)隠れた名作』、(2)の傾向が
強ければ 『言わずと知れた名作』 という認識です。(2)や(2)’ となっているものは
(3)へ移るまでの過渡期に位置している、ということで。

ですので、(面白さが保証されている)人気作が読みたければ(3)の傾向を示す作品を、
(その辺りは食傷気味で)他に何か面白いものないの? という方は(1)や(2)(2)’ の
傾向を示すものをチョイスすれば良いのではないかと思います。


この数字を見られるようになったことが、実は今回の中で一番意義のある変更点ではないか
と考えている一人です。まだ見ぬ素晴らしい作品に出会うきっかけとして 「このラノ」 を
手にとって(買って)みることを改めてオススメしておきます。

マーケティング的には(1)や(2)(2)’ 群にいる作品をライトな読者層に売り込むことが
出来たら伸びしろも広くて売上げに貢献する結果へと繋げられるのではないかと思います。
・・・(3)群は勝手に売れていくでしょうし、新規客への訴求も終わっていることでしょうし。


そんな想いを抱きつつ、ラノベクラスタな方々のツイートを見ていて思わず同意したくなる
内容がありましたので 「このラノ」 がさらにより良い存在となることを祈念すべく、以下
二点につきまして『このライトノベルがすごい!』編集部へご提案したいと思います。


  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  @172ページ以降にある「Light Novel index」への
   [HP][協力者][モニター]のポイント掲載

  A献本、配本にあたっての「発売日前に内容を公開する行為の禁止」徹底
   (小売店への早売り行為禁止徹底も含む)
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「@」については、先ほどの傾向分析をする上でやはり選外のものについても確認したい
と思うワケで。・・・ただ、〆切までに編集するのが大変な気もしますので発売後にサイトで
公開して頂くとか後出しでもいいかなぁ、とも思うところ。

「A」については自分もつぶやきましたけど発売日前にネタバレされると気分が萎える
のもあるのですが、「ちょっとランキングの内容が知りたくて」というライトユーザの
購買意欲を発売前から根こそぎ奪ってしまうのが一番よろしくないかと。

買わない → 販売数が減少 → 売上げが落ちる → 刊行継続に疑問符が浮かんでしまう
という負の連鎖を生んだ先に在るのは休刊、廃刊という道しかありません。そうならない
ように自分で自分の首を絞める行為への対策はすべきと考えます。

この提案内容については巻末の「愛読者カード」にも記載の上、投函することに致します。


他にも ブリキ 先生や カントク 先生のイラストギャラリー、アサウラ先生やさがら総先生
のインタビュー、目利きが選ぶ注目作家&作品など面白いコンテンツがありますので、ぜひ
お手にとって確認して頂ければと思います・・・って、別に宝島社の回し者ではありませんヨ?


#「LNF夜の部」のガチ予想は、順位を別として6作品当ててるのか・・・。恐るべし!

# ■ 夜の合宿で完成した、今年のこのラノ順位ガチ予想。
# 【 http://twitpic.com/6x5ka9



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では、ここからは自分の読書遍歴を交えた自己分析に移りたいと思います。こんなに長い
文章を書いたの、すごい久しぶりなんですけど(苦笑)。まず、今回の投票内容について
ですが、以下のアドレスにある内容で入れさせて頂きました。

http://njmy.sblo.jp/article/48313222.html


作品部門で言うと以下の5作品ということになります。

  『 とある飛空士への夜想曲 』
  『 神明解ろーどぐらす 』
  『 のうりん 』
  『 それがるうるの支配魔術 』
  『 花咲けるエリアルフォース 』


53 ページにあるアンケート結果と見比べると [協力者] 寄りの回答をしたことになる
のかな? という感じです。・・・ということは来年はツイッター募集枠に応募しても何ら
問題ないのかも知れない。(マテ


それはさておき、まずベスト60の中で既読なのは 『48/61 作品』。読み続けているものに
限っても 『46/61 作品』となるので、まぁ、そこそこ人気作にも手を伸ばしていたのかな
というところかと。

86ページにある「新人賞受賞作」については 『39/44 作品』 読んでいることが判明。
・・・自分でも驚きの結果です。今期は「ガガガ文庫」のラインナップが一番力があったと
感じています。『脱兎リベンジ』は特に推しておきたいところです。

101ページからのジャンル別ガイド 「今、面白いライトノベルはコレだ!(230 作品)」
の内容で既読作品を追ってみると以下のようになります。ちなみに去年の状況は以下の
アドレスに記載の通りです。

http://njmy.sblo.jp/article/41817564.html


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  世界の命運! :         15 / 21 作品 ( 71 %)
  働く人々 :           15 / 23 作品 ( 65 %)
  愛しき日常 :          28 / 31 作品 ( 90 %)
  恋がいっぱい :         28 / 31 作品 ( 90 %)
  忍び寄る闇 :          11 / 15 作品 ( 73 %)
  バトル!バトル!バトル! :   23 / 31 作品 ( 74 %)
  微笑みと涙と :         10 / 15 作品 ( 67 %)
  いざ、冒険へ! :        10 / 15 作品 ( 67 %)
  ノベライズ :           5 / 15 作品 ( 33 %)
  リプレイ :           10 / 13 作品 ( 77 %)
  ボーダーズ :           3 / 13 作品 ( 23 %)
  モダンクラシックス :       3 / 7 作品 ( 43 %)
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・・・去年と比較すると全体的に底上げ感がヒドい(苦笑)。節操の無さが表出しています。
161/230、つまり約7割の作品に触れていることになるワケで、我ながらアホですね。
まぁ、それでも「日常系ラブコメ」&「リプレイ」好きな本質は変わらずということで。

去年はジャンルごとのオススメも掲載してたのか・・・。じゃあ今回も3つずつくらいに
絞ってオススメ作品を列挙してみましょうか。長くなっておりますが、もうちょっとだけ
お付き合い下さい。


 「世界の命運!」
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  『蒼穹のカルマ』
  『GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン』
  『六花の勇者』


 「働く人々」
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  『神様のメモ帳』
  『なれる!SE』
  『のうりん』


 「愛しき日常」
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  『それがるうるの支配魔術』
  『神明解ろーどぐらす』
  『GJ部』


 「恋がいっぱい」
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  『お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ』
  『101番目の百物語』
  『六畳間の侵略者!?』


 「忍び寄る闇」
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  『GOSICK ―ゴシック―』
  『「1/2アンデッド」シリーズ』
  『月見月理解の探偵殺人』


 「バトル!バトル!バトル!」
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  『ストライク・ザ・ブラッド』
  『うちの会長は荒ぶる虎猫に似ている。』
  『魔弾の王と戦姫』


 「微笑みと涙と」
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  『雨の日のアイリス』
  『とある飛空士への恋歌』
  『サクラダリセット』


 「いざ、冒険へ!」
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  『千の魔剣と盾の乙女』
  『ソードアート・オンライン』
  『「笑わない科学者」シリーズ』


 「ノベライズ」
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  『STEINS;GATE ─シュタインズゲート─ 円環連鎖のウロボロス』


 「リプレイ」
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  『ソード・ワールド2.0リプレイ 新米女神の勇者たち』
  『ダブルクロス The 3rd Edition リプレイ・デザイア』
  『アリアンロッド・サガ・リプレイ・ブレイク』


 「ボーダーズ」
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  『まおゆう魔王勇者』
  『「物語」シリーズ』
  『ログ・ホライズン』


・・・って、数を絞りすぎたので迷ってしまった。他にも色々とオススメしておきたい作品は
ありますけど・・・・まぁいいか、こんなくらいで。

この一年を総括する記事を読んで 「この一年もいろんなことがあったよね・・・」 などと
思いつつ、ここから先の一年もたくさんのステキな作品に出会えることに期待しながら
『このライトノベルがすごい! 2013』 が出るその時を楽しみにしておこうと思います。

posted by 秋野ソラ at 00:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2011年11月19日

『ボーイ・ミーツ・ハート!(2) ―彼女のハートは純情可憐!?―』

超能力による遊戯「PSYゲーム」が行われる街を舞台とする 鳥羽徹 先生の学園異能物語。
今巻は非公式PSYゲームを扱う「会合」に関係する姉妹と “征司” との出会いを描きます。
(イラスト:H2SO4 先生)

http://ga.sbcr.jp/novel/boymeetsheart/


前巻のときも思いましたが、「録音」「発音」「集音」 という音に関する能力だけで
いかにも能力差がありそうな相手と「PSYゲーム」に挑み、そして勝つことが出来てしまう
“征司” の創意工夫と狡猾さには驚かされるばかりです。

あとがきにもありますが、そのあたりは相当に苦心されたご様子。本当にご苦労さまです
としか察することしか出来ませんがその分、楽しませてもらうに足る内容にはなっていたと
感じます。“狭霧” の反応も相変わらず気難しくて、そこがまたポイントだったり。

白宮姉妹、“舞姫” と “織鶴”、仲が良すぎるあまり近すぎて思い違いをしたことが今回の
騒動の根幹にあるワケですが、まぁ、微笑ましい理由でしたね。あそこまで緊迫したものを
魅せていただいた割には(苦笑)。そんな殺伐としていない所が本作の良さかと思います。

posted by 秋野ソラ at 00:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2011年11月18日

『俺はまだ恋に落ちていない』

高木幸一 先生の 「第3回 GA文庫大賞・期待賞」 受賞作。好き、という気持ちに突如
向き合うこととなった少年の機微を描くトライアングル・ラブコメディ、拝読しました。
(イラスト:庭 先生)

http://ga.sbcr.jp/novel/hamada/


関係が、繋がりが断ち切れるのを恐れて何かにつけちょっかいを出す “公” の性格。
“公” に紹介された親友 “田所” の妹 “恵衣美” と “詠羅” が互いをいがみ合う
性格。いずれも親の都合である、というのがいかにもありそうな設定で親近感を呼びます。

開けっ広げで隙だらけ。初めて会った人の人間関係に問題があると分かれば知らず知らず
お節介を焼かずにはいられない “公” の言動が、またそれに関係する人たちの思いが、
感情が奇をてらうことなく、等身大な少年少女らしさを示しているのも同様なところで。

「キャラクターを身近に感じてくれればとてもうれしい」 とあとがきにある 高木 先生の
想い。少なくとも私自身はそう感じることが出来たように思います。ただひたすらに素直な
青春ラブコメとして楽しむに足る仕上がりの作品ではないかと申し上げておきます。

posted by 秋野ソラ at 00:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2011年11月17日

『おと×まほ(14)』

白瀬修 先生の妄想あふれる魔法少女コメディ第14巻。記憶喪失になった “彼方” に
あれやこれやとイタズラをしかける合間にも 「カコフォニー」 の手が迫ります。
(イラスト:ヤス 先生)

http://ga.sbcr.jp/novel/otomaho/


「魔法少女は笑顔のために戦う」。普通の男の子(娘?)に戻った “彼方” が過去
何度も示してきた思いは “瑠真” たち他の魔法少女にも伝わっていた、という何とも
心温まるエピソードなんかもあったりしますが、やはり “彼方” は弄られます。

“此方” が不在、“彼方” も戦力外な状況が続く中、「カコフォニー」 からは親玉が
急接近してきてバトルも熱血な局面を迎えてきました。・・・もちろん、そんな状況下に
おいてもコメディなノリは外さないのが 白瀬 先生らしいとしか言い様がありませんけど。

“彼方” と “深未”。突然に出会い、そして突然別れることになった2人。未だ謎の
多い “深未” をもう一度引き戻すことは出来るのか。あとがきによると次巻がついに
クライマックスとのことですので注目しておきたいと思います。

posted by 秋野ソラ at 00:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2011年11月16日

『神曲奏界ポリフォニカ ネバーエンディング・ホワイト』

高殿円 先生が綴ってきた 「ポリ白」 シリーズも13巻目にしてついにその幕を閉じる
異世界に飛ばされた “スノウ”。炎帝の娘 “プリムローズ”。彼女らの命運や如何に。
(イラスト:凪かすみ 先生)

http://ga.sbcr.jp/novel/p-white/


以前、キネティックノベルとなったときに見えていた “スノウ” に対する1つの結論。
元居た世界にいる本当の家族かた見た自分。“プリムローズ” たちや “ブランカ” から
見た自分。「自分」 として在ることの根源を認識してからの彼女は芯が強くなりました。

あの海から始まった “スノウ” と “プリムローズ” の関係。互いが互いを想うあまり
近くて遠い存在となってしまったことへの絶望感。それでも共に在ることを諦めない姿勢に
その強さが表れていたかと思います。格好良かったです。

対する “プリムローズ” が抱く想いも強く、深いものがありました。家の問題を背景描写
された点がそれを印象付ける結果に繋がったのだと思います。それを受けてのエピローグは
思わず胸にグッとこみ上げるものが。他にも後日談が多分に盛り込まれていて濃密でした。


白の女神に始まり、そして幕を閉じた物語。最後まで堪能させてもらいました。長きに渡る
執筆にお疲れさまの気持ちと感謝の想いをここに表します。素敵な物語が読めたことを
喜ばしく思います。他シリーズの刊行、そして新作の発表に期待する次第です。

posted by 秋野ソラ at 00:33 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル