佐々原史緒 先生の 「1/2アンデッド」 シリーズ第3巻にして最終巻。“那由子” という
少女の存在、そして “冬哉” の死について深く掘り下げていく中で衝撃の結末を迎えます。
(イラスト:kyo 先生)
【 http://www.enterbrain.co.jp/fb/pc/08shinkan/08shinkan.html#_04 】
いろんな要素がつつがなく繋がって、シリーズらしい結びへと綺麗に纏まったという印象を
読了後に抱きました。「半死人」 と 「渡し」、という二人の関係だからこそ辿り着いた
恋の結末ということで悲しくもあり、喜ばしくもあり、想い複雑なところでもありました。
「彼此見市」 全体に忍び寄る昏倒現象とその裏に潜むとある家族の悲痛なまでの願い。
さらにそのきっかけとなった一人の子供ととある家族との意外な接点。幕間に隠された
少女の名を埋めるのは彼女しかいない、と分かってから感情移入の深度が深まった感じで。
“那由子” の真意に気づいた “冬哉” も、すでに自分の死が何をもってもたらされたかを
知ってしまったからこそ潔く立ち回ることができていてスゲェな、というレベル。というかまぁ
口絵でその辺色々見せすぎてる気もしなくはない、と読み返してそう思った次第ですけど。
苦境の中、物語を完結させた 佐々原 先生には心より 「お疲れ様でした」 と申し上げますと
共に次回作にも期待を寄せたいと祈念するものであります。