『白夢(スノーミスト)』 シリーズを完結させた 瀬尾つかさ 先生が上梓する新作。
神の居ない世界に残る最後の竜とその調停者を描く物語を読ませて頂いております。
(イラスト:優木きら 先生)
【 http://www.kadokawa.co.jp/lnovel/bk_detail.php?pcd=201011000266 】
1話ごとに話を区切る連作短編のような構成もあってか、ページ数の割に読みやすさを
感じさせてくれる物語だ、と印象がまず1つ。そして超常の存在である “エオン” の
力ではなく、あくまで “サファイア” の弁論の才を活かす点が印象的なのがもう1つ。
恋慕の機微に疎い “エオン” にやきもきする普段の “サファイア” と、当事者たちの
利害をシビアに切り分け、誰もが最小限の損失で騒動の落とし所を見いだす調停者
としての “サファイア” の対比が興味深い。・・・ギャップには弱いものです、いつの世も。
それと、話を進める中で “エオン” と “サファイア” の秘められた重要な過去を
小出しに、けれど着実に見せていく話運びも後を引く感じがして良いのではないかと
感じました。次巻でどういった方向性を示してくれるのか、楽しみにしておきます。