2011年07月10日

『ミスマルカ興国物語(9)』

林トモアキ 先生の大人気シリーズ第9巻。「帝国」領へと場を移した “マヒロ” が
争いの無い世を目指して利用され、そして利用する道化を演じる日々を描きます。
(イラスト:ともぞ 先生)

http://www.kadokawa.co.jp/lnovel/bk_detail.php?pcd=201012000724


「グランマーセナル帝国」も一枚岩ではない、という実情を示した “マヒロ” との
やりとりを始めとして “シャルロッテ” の人となりについて焦点が当たるカタチと
なりましたが・・・ホント、強い女性というか怖い女性ばかり出てきますねぇ。

帝国に翻意をもつ勢力、その本意を探るべく 「エサ」 として活動する中で発生する、
帝都を死の都へと陥らせる計画。対峙する様子を見るに、“マヒロ” がこれまでの間に
見せてきた覚悟は決して衰えたりせず今もその胸の内にあることを示してくれています。

お笑い担当へと身をやつしたとも言える、貧乏続きの傭兵家業を続ける “パリエル” たち
と付かず離れずの距離感を保っているところも気になるところですが、また1つ大きな騒動を
いつ巻き起こしてくれるのかと、今巻の引き具合を見ながら楽しみにしておくことにします。

posted by 秋野ソラ at 00:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2011年07月09日

『問題児たちが異世界から来るそうですよ? あら、魔王襲来のお知らせ?』

竜ノ湖太郎 先生が送る公式略称 「問題児シリーズ」。「ギフト」の恩恵を受けながら
トラブルを巻き起こす問題児たちを描くハイテンションファンタジー、その第2巻です。
(イラスト:天之有 先生)

http://www.kadokawa.co.jp/lnovel/bk_detail.php?pcd=201012000723


序盤の 「ノーネーム」 脱退騒動に始まる “十六夜” “飛鳥” “耀” 3名+1名の
逃走劇、“黒ウサギ” とのギフトゲーム、時折繰り出される “白夜叉” の残念なセリフ
と予想だにせぬほど突き抜ける喜劇の数々は1巻に劣らぬ面白さを与えてくれています。

それでいて魔王襲来から見せる、“十六夜” の型破りなオラオラぶりだけでない深慮遠謀に
長けた言動の数々がこれまた心地良い。次々に明らかとなる魔王の策謀、その目的、さらに
その裏に潜む企みも良く練りこんで盛りだくさんに詰め込まれている感があります。

なかなかやるじゃない、と序盤で活躍を見せた “耀” もさることながら、能力の底上げを
図らずも達成することになった “飛鳥” の押せ押せな勢いにも注目です。エピローグにある
農園跡地でのやりとりはひねりがある落とし所で良かったと思います。次巻も楽しみです。

posted by 秋野ソラ at 00:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2011年07月08日

『7秒後の酒多さんと、俺。(3)』

7秒先の未来の音が聴こえる能力を持つ少年・・・・の能力が突然失われて困惑必至の
シリーズ第3巻。淺沼広太 先生がどう話を動かすか、注目の1冊であります。
(イラスト:飴沢狛 先生)

http://www.enterbrain.co.jp/fb/pc/08shinkan/08shinkan.html#_02


「異能に悩まされて逃げた遠い過去」 と 「異能が役に立つと期待した直近の過去」。
その流れを汲んで能力を失ってもなお、その事実をひた隠しに “酒多” さんを守ろう
とする “朗” が直面する 「現実」。それに悩む姿はいかにも彼らしい。

「ポイズン」 でのアルバイト生活。“碧” からのお願いとしてファッションショーの
手伝いで過ごすリゾートホテル1泊2日の旅。“縁” や “晴美”、“川原” と過ごす
日常はそんな彼の様子と対比するかのようにほのぼのしていて微笑ましくて。

悩みぬいた末に出した “朗” の結論。これも自然に受け止められる流れでした。
そんな事の顛末と 「Bonus Track」 で見せた新たなる騒動の幕開けを予感させる引きに
最終巻となる次巻でどう物語を締めくくろうとするのか、淺沼 先生の手腕に期待です。

posted by 秋野ソラ at 00:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2011年07月07日

『バカとテストと召喚獣(9.5)』

2011年7月よりTVアニメの第2期放映がスタートする、井上堅二 先生の言わずと知れた
大人気シリーズ。通算13冊目、短編集としては4冊目となる本作を拝読しております。
(イラスト:葉賀ユイ 先生)

http://www.enterbrain.co.jp/fb/pc/08shinkan/08shinkan.html#_01


本編のみならず、幕間の 「文月新聞」 を使ってまで笑いを誘う 井上 先生にはホントに
困るといいますか、とりあえず電車の中で読むのは要注意としか言えないといいますか。
コレに関してはデザイン担当、かがやひろし 氏の功績も大きいと思います。

なんかこう・・・友達という関係を逸脱してしまうのではないかという “秀吉” の振る舞いが
どんどん可愛く見えてくるのも決して錯覚ではない、というかいつも通りのある日のことで。
“美波” も “瑞希” も報われないですね、まだまだ。

“ムッツリーニ” の家族構成が明らかになった今巻。いずれ何かの機会に登場してくれると
面白そうだな、と思いつつ次巻の本編ではAクラスとの再戦が予定されているということで
いい父親ぶりを予行した “雄二” を始めとするFクラスがどう挑むのか注目どころです。

posted by 秋野ソラ at 01:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2011年07月06日

『氷結鏡界のエデン(7) 空白洗礼』

細音啓 先生が送る重層世界ファンタジー。第7巻にして第一楽章(エピソードI)の
最後を締めくくる節目の1冊。“シェルティス” が過去最大の苦境に立たされます。
(イラスト:カスカベアキラ 先生)

http://www.kadokawa.co.jp/lnovel/bk_detail.php?pcd=201103000262


うわぁ、これは見どころ盛りだくさんの展開を魅せてくれました。“シェルティス” が
あのラストからどうなってしまうの? というところはもちろん最大の焦点ではあります
けれど、“ユミィ” や “レオン” にも苦悩を生む結果となってもうどうするのかと。

始終余裕の表情を崩さない “イグニド” が憎たらしいほどに “シェルティス” の心を
揺さぶる展開は読み手としても気を揉むところで。そういった気持ちを喚起させるような
話運びの上手さを改めて感じさせてくれた1冊であったと、そう言ってよいかと思います。

“イグニド” を含めた 「異篇卿」 の面々に一手先を打たれた形で幕を引いた 「天結宮」
の面々がどう動き出すのか、第二楽章(エピソードII)「世界で一番近くて遠い夢」 へと
シフトしていく物語を紡ぐ 細音 先生の思惑とその具現化に期待が高まります。

posted by 秋野ソラ at 00:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル