2011年07月21日

『偽りのドラグーン(5)』

様々な偽りから生まれたエピソードがついに国と国とを、竜と機械仕掛けの竜を
激突させる最終局面へと誘う、三上延 先生の本作最終巻がついに登場となります。
(イラスト/椎名優 先生)

http://dengekibunko.dengeki.com/new/bunko1107.php#new11


最初に引用してきた 「序文」 が2人の “アバディーン”、彼らの命運を如実に示す形と
なっていて目を引くものがありました。“ジャン” を死へ誘わんとする “ヴィクトル” の
謀略を撥ね退けてからの彼の急成長ぶりには目を見張るものがありました。

“クリス”、“ティアナ”、あるいは “マグノリア”──。それぞれがそれぞれの想い人と
どういった関係を持とうとしたか。最終巻としてはその点も注目すべき所で。“ティアナ” が
それと気づいてからの折り合いのつけ方はこの作品ならではと言ってもいいでしょう。

“ジャン” が想い描く未来図の傍らにいつも 「彼女」 が居るんだろうなと思うと喜ばしい
やら切ないやらではありますが、物語としては良い纏まりだったという印象を受けました。
最後まで読めたことを嬉しく思います。三上延 先生、執筆お疲れさまでございました。

posted by 秋野ソラ at 00:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2011年07月20日

『ロウきゅーぶ!(8)』

TVアニメの放映もいよいよ開始となってしまいました 蒼山サグ 先生のスポコメディ。
世間的な受け止められ方に読み手としても興味津々な中での最新第8巻刊行です。
(イラスト/てぃんくる)

http://dengekibunko.dengeki.com/new/bunko1107.php#new1
http://www.ro-kyu-bu.com/


“昴” の父親 “銀河” の帰国にそわそわする雰囲気が隠せない長谷川家の面々。その
父親が連れてきた知人の娘 “ミミ” がバスケ経験者、それもかなりの腕前ということで
交えた一戦に、改めて “智花” の凄さと彼女と共にあることの高揚感を認識する “昴”。

・・・まぁ、相手は小学生なんですけどね、今更ですけど。“昴” のハーレムぶりを相変わらず
見せつけられる裏側で、その一戦を火種として慧心女バスに思わぬライバルチーム登場
ということでスポーツものとしても、話としてまた新たな展開を見せてきたように思います。

“竹中” や “葵” の様子から窺える機微も、今巻の押さえるべきポイントかも知れません。
“智花” の二つ名も決まり、更にいい関係を築きつつある “昴” がエピローグで直面する
出来事もお約束、ということでどんなエピソードを生み出すか注目の次巻を待ちたい所です。

posted by 秋野ソラ at 00:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2011年07月19日

『狼と香辛料(17) Epilogue』

泣いても笑ってもこれが最後の、本当に最後の “ホロ” と “ロレンス” たちの物語。
支倉凍砂 先生が綴る賢狼と行商人が辿り着いた1つの終着点、見届けさせてもらいました。
(イラスト/文倉十 先生)

http://dengekibunko.dengeki.com/new/bunko1107.php#new4


終幕のラスト、どこまでも暗喩していく “ホロ” の思わせぶりな台詞がたまらない。
最近 「MF文庫J」 の作品によく見られる見開き挿絵の使い方もインパクトは絶大でした。
もう何て言うんですかね、ずっといちゃいちゃしてたらいいじゃない! みたいな感じで。

まぁ、そんな 「お幸せに〜」 な雰囲気にあてられながら 「電撃文庫MAGAZINE」 に収録の
短編3本を読んでいくと、「狼と灰色の笑顔」 は特に2人の揺るぎない信頼関係を描いた
作品なのではないかと思ったりするワケですが。こういう話は特に好きですね。

ということでデビュー作をここまで続けてこられた 支倉 先生にはひとまずお疲れ様でした
と申し上げておくと共に、次にどんな作品を魅せてくれるのか。夏にいよいよお披露目となる
「WORLD END ECONOMiCA」 と共に大いに期待を寄せておきたいと思う次第であります。


◆Spicy Tails
http://www.spicy-tails.net/

posted by 秋野ソラ at 00:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2011年07月18日

『神様のメモ帳(7)』

TVアニメの放映もいよいよ開始となりました 杉井光 先生の人気シリーズ第7巻。
「勤労感謝の日」が来るのを憂う “アリス” とのやりとりから物語は動き始めます。
(イラスト/岸田メル 先生)

http://dengekibunko.dengeki.com/new/bunko1107.php#new2
http://www.kamimemo.com/


“ナルミ” が色々と伝説をこしらえているようで、傍から見れば面白いと言うしかない。
特にジゴロ的な素質はとどまる所を知らず、“アリス” も振り回されることが多くなり、
“彩夏” が彼を叱咤する気持ちも分からんではないなぁ、と感じることもしばしば。

今回の依頼を調査する中で明らかになっていく “少佐” の過去と単独行動の背景。
更には 「はなまる」 に集まるニート探偵団たちの微妙な関係が浮き彫りになってくる
ことで “ナルミ” が行き詰るほどに懊悩するところも彼らしさかと思います。

様々に点在する光のような事象が1つの像を結ぶ時、“アリス” が代弁した言葉が冒頭の
「ホームレス」 という意味合いを改めて想起させられ、印象づける結末となっていた点。
どことなく社会派作品のような雰囲気を滲ませていたのではないかと思います。


・・・まぁ、最後に “ユイ” のエピソードを持ってくるあたりが 『神様のメモ帳』 らしさ
なのかな、とも思う次第ですがアニメ共々、引き続き応援していきたいところであります。

posted by 秋野ソラ at 00:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2011年07月17日

『お前のご奉仕はその程度か?』

「MF文庫J」 に端を発する 森田季節 先生の活動領域が今度は 「GA文庫」 へと拡大。
ボーイ・ミーツ・ヴァンパイア・ラブコメディ、と銘打った本作を拝読しております。
(イラスト:尾崎弘宜 先生)

http://ga.sbcr.jp/novel/omaeno/


「孫が女にモテるように」 と仕掛けた呪術の影響をモロに受け、女の子とのいい思い出に
縁遠くなった “良太”。彼が吸血鬼 「血族」 の帝国に迷い込み、それに従属する存在
「ミニオン」になってその呪縛から解かれる・・・かと思ったらなり損ねて血を狙われるハメに。

これまで過ごしてきた日常、あるいは主人 “詩憐” の 「ミニオン」 候補として過ごす
非日常における女性陣とのやりとりが何とも面白くて、なるほどしっかりラブコメしている
という安心感が得られます。時折、残念な台詞が混じるのは時代の流れでしょうかね。

“良太” の回想シーンで何度か思い描かれる初恋の相手 “王花” が物語上で実は重要な
役割を担っていたり、と点と点が線で繋がっていく話運びの妙も織り込まれていたりして
続きに期待がもてるシリーズになりそうな予感がします。2巻も「買い」だな、ということで。

posted by 秋野ソラ at 23:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル