2011年07月31日

『東京レイヴンズ(5) days in nest II & GIRL AGAIN』

コミックスの3巻も刊行され、また「エイジプレミアム」での外伝コミック連載も決めて
順調な伸びを見せる あざの耕平 先生の学園陰×陽ファンタジー最新第5巻です。
(イラスト:すみ兵 先生)

http://www.kadokawa.co.jp/lnovel/bk_detail.php?pcd=201103000265


「バカ虎」──。彼のことを言い表すのに、今巻だけでどれだけ言われたことか。
“春虎” に自覚症状が無いことを知って望みを託す者あり、打ちひしがれる者あり。
・・・ラストのフラッシュバックを見る限りでは順当に落ち着く未来もありそうですが。

前半の短編4作はおもいっきりコメディ色の強いエピソードで面白さを演出し、
後半の本編3章では実技合宿を舞台に各人の実力にベースアップを図りながら
“鈴鹿” に対する 「情操教育」 を話の軸にその繋がりにも良い変化を促す。

遊び心は忘れず、けれど本筋も着実に話を進めていく。流石ですなぁ、と言うべき
話運びと構成には安心感を覚えるほど。“夏目” と “鈴鹿” の確執はどうにも
収まらない感じなのも気になりますが、次巻はバトル多めということで期待大です。

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2011年07月30日

『アリアンロッド・サガ・ノベル・デスマーチ(1) 私は断じて裏目らない!』

『アリアンロッド・サガ』 リプレイの 「デスマーチ」 シリーズが今度は小説として
お目見え。アナログゲーマーにして小説家の 市川丈夫 先生が彼らの物語を紡ぎます。
(原作:F.E.A.R. イラスト:猫猫猫 先生)

http://www.kadokawa.co.jp/lnovel/bk_detail.php?pcd=201104000049


“アキナ” の口絵とかあって驚かされますが、今巻の主役は “マルセル”。彼が
「裏目軍師」 たる理由を明示し、それを過去においても今においても実証してのける
1人の女性とのストーリー。恋愛ではなく因縁とも呼べる関係なのも彼らしさか。

他にも彼を知る 「旧アヴェルシア領」 の知己や、彼の世話を焼くことに使命感を
覚える下宿屋の看板娘 “ラピス”、彼を 「兄様」 と呼び慕う “セリア” など
なかなかに興味深い人々が登場してきて話に幅を持たせてくれています。

技能名がルビとして振られていたり、とARAならではの仕掛けも盛り込まれていて
「デスマーチ」 シリーズとして見る以外の点でもフォローが効いていたのは感触として
良かったのではないかと思います。続きも期待しておくことに致します。

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2011年07月29日

『アリアンロッド・リプレイ・セカンドウィンド(1) 剣と遺跡と冒険者』

新システム 「アリアンロッドRPG 2E」 と共に登場する 久保田悠羅 先生/F.E.A.R. の
リプレイシリーズ。1巻1話+付録構成で 「2E」 の魅力をお伝えしていきます。
(イラスト:合鴨ひろゆき 先生)

http://www.kadokawa.co.jp/lnovel/bk_detail.php?pcd=201104000047


声優の 荻原秀樹 さん、小暮英麻 さん、そして 菊池たけし 先生と 田中信二 先生を
プレイヤーに迎え、それぞれ紙に打ち出したルールブック(1)をもとに

  ウォーリア/ウォーリア の “ルード”
  メイジ/メイジ の “フィンニー”
  アコライト/バード の “ジェイス”
  シーフ/アルケミスト の “バニィ”

を作成。4人でギルド「スクラメイジ」を結成してキャンペーンに挑む形となりますが
早速、英麻 さま・・・もとい “フィンニー” がギルド内の力関係を左右するロールプレイに
思わず安心感を抱いてしまったというかなんというか(苦笑)。

今回はキャラクター同士のやりとりの他に、解説文や補助説明を比較的多く組み込んで
「アリアンロッドRPG 2E」 の世界観やシステムについて把握してもらおう、という気概が
感じられる構成になっている雰囲気です。

マンガも描ける 合鴨 先生だからこその挿絵指定の数々もイメージにピッタリで、これから
どういった物語が繰り広げられるのか何とも楽しみな滑り出しを見せてくれています。

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2011年07月28日

『脱兎リベンジ』

秀章 先生の 「第5回小学館ライトノベル大賞・ガガガ賞」 受賞作。周囲の偏見から
意に沿わぬ評価を受ける面々が立ち上がる学園青春ストーリー、拝読しております。
(イラスト/ky 先生)

http://gagaga-lululu.jp/gagaga/newrelease/index.html#03


内気な性格も災いしてか、ギターが趣味で軽音部に所属するも仲間はおらず。それでも
いいか、と諦めつつ現実を受け入れてしまう “ウサ吉” が、そんな現実を引っ繰り返す
決意をし、希望と挫折を味わいながらもリベンジを果たす一筋縄ではいかない物語。

現状に至った過程、彼のリベンジを支援することになった面々も負の感情を抱かずには
いられない境遇にある背景、それらが絶妙な絡み具合をもって彼らの喜怒哀楽にあふれる
人間模様を描けていたのではないかと、読了したときに感じました。

また、リベンジするにしても単純に 「勝ち」 に行かせないところがまた一ひねり効いて
読了後の爽快感と面白さを高めてくれていたようにも思います。ネガティブ系な主人公が
出てくる近年のお話の中でもなかなかいい位置につけてきたのでは、とも思っています。

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2011年07月27日

『寄生彼女サナ』

砂義出雲 先生の 「第5回小学館ライトノベル大賞・優秀賞」 受賞作。1人で生きたいと
思う男子に寄生した生命体との出会いが生み出すキセイ系ラブコメ、拝読しております。
(イラスト/瑠奈璃亜 先生)

http://gagaga-lululu.jp/gagaga/newrelease/index.html#01


瑠奈璃亜 先生のイラスト、可愛いすぎです。“サナ” だけじゃなしに色々と反則級。
そんな挿絵から掴めるイメージだけでなく、読みやすい文章から汲み取れる各キャラの
個性がラブコメという作風を確立するのに足るものを魅せていて良かったです。

“サナ” に寄生された “唐人” が何ともラッキースケベなシチュエーションの数々に
巻き込まれる中で、自分自身が抱いていた 「人との繋がり方」 を見直す結果へと繋げて
いった精神的な成長を描いているのも好感触に繋がったような感があります。

そんな二人の急接近にやきもきし、何度も暴走する “桜” もキャラクターとして
面白さがあってお気に入りです。続きが出ても何ら問題ないという読了感があります。
「ガガガ文庫」 も侮れなくなってきたな、と感じさせる作品だと思います。

posted by 秋野ソラ at 00:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル