2011年06月20日

『はたらく魔王さま!(2)』

「第17回電撃小説大賞 銀賞」 受賞の 和ヶ原聡司 先生が送る庶民派ファンタジー第2巻。
美少女なご近所さん、ライバル店舗の登場と魔王城周辺は環境変化に事欠かきません。
(イラスト/029 先生)

http://dengekibunko.dengeki.com/new/bunko1106.php#new3


“芦屋” が身を削る思いで節約に挑んでいるところは涙を誘うような微笑ましさ。彼が
体調不良に陥っていた理由は、本筋とは離れていますが妙に納得させられた気がします。
“漆原” は大不評を買いましたがいつか端末の性能を上げて活躍できることを期待します。

突然現れた “鈴乃” の攻勢(?)ぶりに “千穂” が悩んだり、行動を起こしたりという原因も
対する “鈴乃” が自身に与えられた目的と己が持つ信条との間で葛藤してしまう要因も
“真奥” が関係している、というのが悪魔らしくないところに繋がっていてまさに人間的。

その点、“恵美” は前回の事件もあってか随分と気持ちを割り切っていてブレが無く、
すっかり日本人として隠棲するかの如き振る舞いを見せているのも面白いところで。
妙にリアリティのあるファンタジックな面々のやりとりに今巻も楽しませてもらいました。

posted by 秋野ソラ at 00:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2011年06月19日

『アイドライジング!(2)』

広沢サカキ 先生の 「第17回電撃小説大賞 金賞」 受賞作、その第2巻が4ヶ月の時を
挟んで登場。今度はタッグマッチでアイドル、高校生活にと奮闘する “モモ” に注目です。
(イラスト/CUTEG 先生)

http://dengekibunko.dengeki.com/new/bunko1106.php#new5


注目を浴びて、挫折を味わって、それを2人で乗り越えて。「アイドライジング」 の
上位にのし上がるための艱難、その一部を見せつけられた “モモ” や “オリン” が
それをどう捉え、克服していくか。過程に見えるやりとりが見どころの1つ。

また、今巻では “オリン” の家庭事情にも触れ、彼女自身の人格形成にも繋がったで
あろう親子関係の繊細さ、親の想い、子の想い、と掘り下げることによりアイドルという
よりも1人の少女としてキャラクターに深みをうまく出せたのではないかと思います。

・・・それにしても “モモ” はセクハラ大魔神と化してきていますね。それでいて “タキ” に
苦手意識を抱いてしまうのが何ともアレですが。今巻もアクションが多めなので引き続き
動画映えするだろうな、と感じるものがあると思います。次巻も注目しておきたいところです。

posted by 秋野ソラ at 00:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2011年06月18日

『血吸村へようこそ(6)』

阿智太郎 先生のイヤウレ系コメディが第6巻をもってついに完結。前巻でフラグを
立てきった “直樹” がモテ期最高潮の中で見いだした結論に興味津々です。
(イラスト/あらきかなお 先生)

http://dengekibunko.dengeki.com/new/bunko1106.php#new7


“紅華” が落ちてからのドタバタぶりは、まぁ、予定調和として。60 年ぶりに
「治水村」 へと帰ってきた “神父” がどうやって吸血鬼となった人たちを元に
戻そうとするのかも焦点でしたが・・・おっと、そうきましたか。

if の世界で随分とシリアスな流れにもって行かれそうになりましたが、そこは
スケベ心を丸出しにする “熊谷” が絶妙にコメディ路線へと引き戻してくれた
感じがします。何でダメなのか、って思わずヒヤヒヤしましたよ。

物語が動く中で意外に鍵となっていたのは “マロ” だったのかも知れません。
そんな気もします。個人的にはそうあってほしいと考えていたところへ “直樹” も
ちゃんと想い人を定めてくれましたので満足しています。良いまとめ具合でした。

posted by 秋野ソラ at 00:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2011年06月17日

『アクセル・ワールド(8) ―運命の連星―』

川原礫 先生の大人気シリーズ第8巻。“ハルユキ” と “タクム” の再戦、そして
「帝城脱出ミッション」 の行方をどう解決するか、注目の展開を見せます。
(イラスト/HIMA 先生)

http://dengekibunko.dengeki.com/new/bunko1106.php#new1


前巻で話が発散した感じがして大丈夫かなぁ、どうまとめてくるかなぁ、という思いを
残しながら読ませて頂きましたが、「ISSキット」 の件も “謡” のアバターの件も
ある程度の解決は見られた、ということで幾ばくかの安堵感は得られました。

“チユリ” との関係を再び築き直したり、“楓子” と “黒雪姫” の肉食系な言動に
磨きが掛かったり、「心意システム」 の会得も次の段階に進んだり、と穏やかな日常を
取り戻しつつあるところがそういう感覚を抱かせてくれているのかも知れません。

“リード” の潔さが格好良かった。“ハルユキ” も現実世界で随分と頑張っていて
男らしさが付いてきた、というか人として成長してきていると思います。体だけでなく。
なんて言ってたらまた最後にまた叩き落されるし。こりゃあジェットコースターっすね。

posted by 秋野ソラ at 00:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2011年06月16日

『生徒会ばーさす!(5) 〜お嬢様たちのばーさす〜』

番棚葵 先生が送るまったり学園ギャグコメディ、巻を重ねて5巻でついに最終巻。
1巻完結だった物語がどういう落とし所をつけてくるか気に掛けつつ拝読しました。
(イラスト/宮坂みゆ 先生)

http://dash.shueisha.co.jp/-vs/#b05


ヒロイン総出で “水樹” 狙いの大一番。今まで公言していなかった女の子たちも
こぞって告白するような形になりましたが、やはり一番印象的だったのは涙ながらに
告げた “葉月” の想いじゃないかと思います。ようやく本音が出た、ということで。

“神菜” の本意をぶつけた告白もスルーする “水樹” もようやく自分の中にある
想いに気がついて、これで万事丸く収まるか・・・と思いきや勝負には一切手を抜かない、
それも手段は選ばないというスタイルを崩さない彼らしさを見せた大勝負でした。

勝負が終わった後に告げた “水樹” の願い。それは彼なりに “神菜” のことを
想ってのことであり、あるいは自尊の念を貫くためのものであり、二人らしい最高の
関係を築くための一手だったという纏め方も良かったです。


ということで 番棚 先生、執筆お疲れ様でした & 完結おめでとうございます。

posted by 秋野ソラ at 00:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル