河野裕 先生の大人気シリーズ第5巻。再生した “相麻菫” のために出来ることを
探る “浅井ケイ” とその姿を見届ける “春埼美空” の機微に注目です。
(イラスト:椎名優 先生)
【 http://www.kadokawa.co.jp/lnovel/bk_detail.php?pcd=201009000106 】
最初から挿絵の入れ方についてはデザインも含めて挑戦的なことをしているなぁ、と
思っていましたが “菫” と “美空” が相対する場面はインパクトがありました。
『アリアンロッド・サガ・リプレイ・デスマーチ』 で感じたものに通じると思います。
章題に「模造」「模倣」といった意味合いを含む単語を使用しているのも今巻の内容を
端的にイメージさせるに足る効果があって感情移入しやすかったと感じております。
そして “ケイ” の言動にすらその意味合いをのせてくるラストについても同様に。
「リセット」 することの功罪、そして1つ可能性を示すことになった今回の出来事。
“ケイ” や “美空”、“菫” にとって十全たる未来へと進んでいるのか不安要素を
残しつつ引きを見せているのが何とも上手いところで続きが気になる今日この頃です。
2011年05月14日
『オーディナリー・ワールド』
槙岡きあん 先生が描く同居型ラブコメ。栃木県の関係者でもある身ですので少し
親近感を覚える主人公に興味を抱きつつ、読ませていただきました。
(イラスト/KL 先生)
【 http://dash.shueisha.co.jp/new/1104.html#b01 】
栃木と群馬って、そこまで区別出来てないのかなぁ、関東の人間でも。関東以外は
しょうがないにしても。しかしよくここまでローカルネタを突っ込んできたなぁ、と
感心せざるを得ません。品川地区も縁があるから感情移入しやすかったです。
田舎者が都会で心機一転、高校デビューを飾ろうとした時に一度は感じるであろう
望郷の念をコメディタッチで描きつつ、不気味なオーラを放つ “うらみ” が抱く
「オーディナリー・ワールド」 への想いと絡めて進めていく話の流れが良かった。
“大空夢” がヘタレっぷりをこれでもか、と見せつけなければならなくなった最後の
どんでん返しも小気味良くて好みです。なかなか面白いものを読ませてもらったなぁ
という読了感を持てました。余力があれば手にとって見るのも悪くないと思います。
親近感を覚える主人公に興味を抱きつつ、読ませていただきました。
(イラスト/KL 先生)
【 http://dash.shueisha.co.jp/new/1104.html#b01 】
栃木と群馬って、そこまで区別出来てないのかなぁ、関東の人間でも。関東以外は
しょうがないにしても。しかしよくここまでローカルネタを突っ込んできたなぁ、と
感心せざるを得ません。品川地区も縁があるから感情移入しやすかったです。
田舎者が都会で心機一転、高校デビューを飾ろうとした時に一度は感じるであろう
望郷の念をコメディタッチで描きつつ、不気味なオーラを放つ “うらみ” が抱く
「オーディナリー・ワールド」 への想いと絡めて進めていく話の流れが良かった。
“大空夢” がヘタレっぷりをこれでもか、と見せつけなければならなくなった最後の
どんでん返しも小気味良くて好みです。なかなか面白いものを読ませてもらったなぁ
という読了感を持てました。余力があれば手にとって見るのも悪くないと思います。
『30歳の保健体育 ノベル版』
一迅社から刊行されているハウツー本「30歳の保健体育」。現在アニメにマンガにと
猛プッシュが掛かっている本作のノベル版を読ませていただきました。
(キャラクター原案:ゑむ 先生、カバーイラスト:しゃあ 先生)
【 http://data.ichijinsha.co.jp/book/booksearch/booksearch_detail.php?i=75804224 】
1冊に4つの小編を収録している本作。早速1つずつ内容を追っていこうと思います。
・・・全体的に狙ったタイトルばかりなのはとりあえず気にしない方向でひとつ(苦笑)。
「30歳の保健体育 恋せよ乙女編」
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(作:浅見麻美 先生 / イラスト:しゃあ 先生)
BL小説部分をどれだけ削ったのかが何となく気になるところでもありますが。
ふとした優しさが日常のドラマを生む・・・かもしれないことを指し示す物語。
こういうユルいライバル関係って実際にあるんですかねぇ、とか思ったり。
「突然クピドがやってきてムフフになりたい俺がいる」
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(作:糸緒思惟 先生 / イラスト:犬 先生)
「HJ文庫」のタイトルをほぼそのまま持ってきてもOKを出せるのが一迅社。
とは言いながら、お話としては 「憧れ」 と 「好き」 は違うものと気付かせる
ために上手くまとめたお話。“クピド” の使い方も良かったと思います。
「魔法使い(30)の夜」
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(作:大樹連司 先生 / イラスト:関谷あさみ 先生)
「魔法使い」 と聞いて思い浮かべること。自分としてはどちらも思い浮かぶ
テーマを扱っていたので入り込みやすかったです。流れもドラマ的で自然体
でしたし、落としどころもしっかり落としてくれているので良かったです。
「10歳の保健体育 出張版」
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(作:竹井10日 先生 / イラスト:高見明男 先生)
『30歳の保健体育』 の関連書籍として紹介されている本作の出張版ですが、
やっぱりハードルは高いんじゃないかなぁ(苦笑)。自分的には満足な内容
だったんですけど。人にオススメしていいかというと、疑問符は浮かびます。
あ〜、今月発売予定の 『10歳の保健体育(3)』 はもちろん買いの方向で。
猛プッシュが掛かっている本作のノベル版を読ませていただきました。
(キャラクター原案:ゑむ 先生、カバーイラスト:しゃあ 先生)
【 http://data.ichijinsha.co.jp/book/booksearch/booksearch_detail.php?i=75804224 】
1冊に4つの小編を収録している本作。早速1つずつ内容を追っていこうと思います。
・・・全体的に狙ったタイトルばかりなのはとりあえず気にしない方向でひとつ(苦笑)。
「30歳の保健体育 恋せよ乙女編」
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(作:浅見麻美 先生 / イラスト:しゃあ 先生)
BL小説部分をどれだけ削ったのかが何となく気になるところでもありますが。
ふとした優しさが日常のドラマを生む・・・かもしれないことを指し示す物語。
こういうユルいライバル関係って実際にあるんですかねぇ、とか思ったり。
「突然クピドがやってきてムフフになりたい俺がいる」
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(作:糸緒思惟 先生 / イラスト:犬 先生)
「HJ文庫」のタイトルをほぼそのまま持ってきてもOKを出せるのが一迅社。
とは言いながら、お話としては 「憧れ」 と 「好き」 は違うものと気付かせる
ために上手くまとめたお話。“クピド” の使い方も良かったと思います。
「魔法使い(30)の夜」
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(作:大樹連司 先生 / イラスト:関谷あさみ 先生)
「魔法使い」 と聞いて思い浮かべること。自分としてはどちらも思い浮かぶ
テーマを扱っていたので入り込みやすかったです。流れもドラマ的で自然体
でしたし、落としどころもしっかり落としてくれているので良かったです。
「10歳の保健体育 出張版」
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(作:竹井10日 先生 / イラスト:高見明男 先生)
『30歳の保健体育』 の関連書籍として紹介されている本作の出張版ですが、
やっぱりハードルは高いんじゃないかなぁ(苦笑)。自分的には満足な内容
だったんですけど。人にオススメしていいかというと、疑問符は浮かびます。
あ〜、今月発売予定の 『10歳の保健体育(3)』 はもちろん買いの方向で。
『征王の迷宮塔(ラビリントス)』
「次はゲームっぽくて塔」 と言われて 瀬尾つかさ 先生が紡ぎだした、呪われた塔の
探索に挑む少年少女たちの物語。ダンジョン冒険ファンタジーを拝読しております。
(絵 : 基井あゆむ 先生)
【 http://data.ichijinsha.co.jp/book/booksearch/booksearch_detail.php?i=75804216 】
天に至る 「バラルの塔」。神々の不興を買い、呪いを掛けられた塔。その責任を
聖王家から押し付けられた建設責任者、その親族。ただ一人生き残り、復讐を誓う
少年 “カイル” が魔槍 “ラプンツェル” を手に王女 “ユーフォリア” へ迫る──。
魔王 “ウィダルガルネス” が真の黒幕であることを知り、何の因果か共闘関係を
築くことになってからの “カイル” の懊悩と “ユーフォリア” の機微が中心に
描かれているので、ブレることなく読めた感があります。最後も良い落とし所で。
あとは近くに潜んでいる魔王を探り当てるまでの読み合いと、対峙してからの策
としてキャラの設定をちゃんと拾っているところが良かったかと思います。魔槍
“ラプンツェル” にも随分と場を和まされました。
探索に挑む少年少女たちの物語。ダンジョン冒険ファンタジーを拝読しております。
(絵 : 基井あゆむ 先生)
【 http://data.ichijinsha.co.jp/book/booksearch/booksearch_detail.php?i=75804216 】
天に至る 「バラルの塔」。神々の不興を買い、呪いを掛けられた塔。その責任を
聖王家から押し付けられた建設責任者、その親族。ただ一人生き残り、復讐を誓う
少年 “カイル” が魔槍 “ラプンツェル” を手に王女 “ユーフォリア” へ迫る──。
魔王 “ウィダルガルネス” が真の黒幕であることを知り、何の因果か共闘関係を
築くことになってからの “カイル” の懊悩と “ユーフォリア” の機微が中心に
描かれているので、ブレることなく読めた感があります。最後も良い落とし所で。
あとは近くに潜んでいる魔王を探り当てるまでの読み合いと、対峙してからの策
としてキャラの設定をちゃんと拾っているところが良かったかと思います。魔槍
“ラプンツェル” にも随分と場を和まされました。
『星刻の竜騎士(4)』
4月売りの 「月刊コミックアライブ」 から RAN 先生によるコミック連載がスタート
した 瑞智士記 先生のファンタジー作品第4巻。物語は大きく動き始めます。
(イラスト:〆鯖コハダ 先生)
【 http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/books.php?id=27673 】
“シルヴィア” のプロポーズ騒動という喜劇的な場面から随分と緊張感のある展開を
見せてきた、という感じがしました。“エーコ” のみならず “ナヴィー” までもが結構な
窮地に立たされたのもその証のような気がします。
私見としては “ジュリアス” の扱いが 「そうくるか〜」 という印象を受ける流れでも
あったかと感じています。“アーニャ” もあの流れからして次にどうもっていくのか
気になるところでもあります。
それにしても、話を動かすためにシーンを多く使っていたような気がするのにちゃんと
触手を使うのを忘れない精神にはまさに感服仕るというか(苦笑)。“アッシュ” や
“エーコ” の関係もまた一歩進んだようですし、次巻も楽しみにしたいところです。
した 瑞智士記 先生のファンタジー作品第4巻。物語は大きく動き始めます。
(イラスト:〆鯖コハダ 先生)
【 http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/books.php?id=27673 】
“シルヴィア” のプロポーズ騒動という喜劇的な場面から随分と緊張感のある展開を
見せてきた、という感じがしました。“エーコ” のみならず “ナヴィー” までもが結構な
窮地に立たされたのもその証のような気がします。
私見としては “ジュリアス” の扱いが 「そうくるか〜」 という印象を受ける流れでも
あったかと感じています。“アーニャ” もあの流れからして次にどうもっていくのか
気になるところでもあります。
それにしても、話を動かすためにシーンを多く使っていたような気がするのにちゃんと
触手を使うのを忘れない精神にはまさに感服仕るというか(苦笑)。“アッシュ” や
“エーコ” の関係もまた一歩進んだようですし、次巻も楽しみにしたいところです。
『恋する妖狐と神炎の剣士』
「第3回ノベルジャパン大賞 優秀賞」受賞者にして学生作家である 久遠くおん 先生が
3冊目に上梓する陰陽バトルファンタジーを読ませていただいております。
(イラスト/nyanya 先生)
【 http://www.hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup1105.php#novel110501 】
“コウカ” 弄りが大のお気に入りという妖狐 “クズハ” の微妙な距離感。彼自身の
過去に由来するものであったり、彼女の存在に寄るものであったりする所から発する
それが物語の話運びをつかさどっている印象が残る。そんな読了感だったと思います。
「巫(かんなぎ)」 としてすでに神々へ代償を払った身である “ユスラ” が、窮地を
颯爽と救ってくれた彼に対して想う気持ちに戸惑いを見せてしまうのも、そんな二人の
かもし出す雰囲気にあてられてのこと。だからこそ終章の場面に繋げられるワケですが。
悪神 《火生ノ神》 とやむを得ず契約する事態に陥った彼が、いつかその心身を奪われて
国を滅ぼす存在となるか、はたまた水神などの助力を得て最凶級の1柱に打ち克つことが
できるのか、話の動き始めとしてはまずまずの滑り出しかと思います。
3冊目に上梓する陰陽バトルファンタジーを読ませていただいております。
(イラスト/nyanya 先生)
【 http://www.hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup1105.php#novel110501 】
“コウカ” 弄りが大のお気に入りという妖狐 “クズハ” の微妙な距離感。彼自身の
過去に由来するものであったり、彼女の存在に寄るものであったりする所から発する
それが物語の話運びをつかさどっている印象が残る。そんな読了感だったと思います。
「巫(かんなぎ)」 としてすでに神々へ代償を払った身である “ユスラ” が、窮地を
颯爽と救ってくれた彼に対して想う気持ちに戸惑いを見せてしまうのも、そんな二人の
かもし出す雰囲気にあてられてのこと。だからこそ終章の場面に繋げられるワケですが。
悪神 《火生ノ神》 とやむを得ず契約する事態に陥った彼が、いつかその心身を奪われて
国を滅ぼす存在となるか、はたまた水神などの助力を得て最凶級の1柱に打ち克つことが
できるのか、話の動き始めとしてはまずまずの滑り出しかと思います。