2011年05月31日

『続 女子高生江戸日記 Replay:天下繚乱RPG』

加納正顕 先生の 「天下繚乱RPG」 リプレイシリーズ続巻。“碧” は “結衣” と共に
元の時代、元の世界へと戻ることが出来るのか。物語は最大の山場を迎えます。
(原作:小太刀右京 先生、イラスト:高遠るい 先生)

http://www.jive-ltd.co.jp/catalog/4861768477.html


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  加納 : 多少の不安はあるが──プレイヤーの要望にはなるべく
       答えたいじゃないか。
  小太刀 : ・・・・・・まあ、それは楽しくゲームを遊ぶうえで大切なことだな。
  加納 : というわけで、高遠さんには「好き勝手やってください」と
       いっておいたので、セッション中のフォローはお前に一任する。
  小太刀 : ・・・・・・・・・・・・おい、丸投げかよ。
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前巻のプレイングを省みて 「もっとはっちゃけたい」 と告げた 高遠 先生。それが
まさかの大惨事、その一歩手前までの事態を引き起こすことになろうとは。いや、流れ
としてはもうやるしかない、という感じでしたので違和感は全くないのでOKですがね。

それにしても 『妖異暗躍譚』 のキャラたちは愛されてるなぁ、という想いがひしひしと。
思わず 《破邪顕正》 に 「デモンベイン」 のルビを振って読みたくなることしきりです。
NPCとしての立ち位置を利用した、まさに巧みを凝らした演出でもあったかと思います。

高遠 先生の挿絵、そして巻末の設定資料も合わせてトンデモないのが出てきたなぁ、と
言わずにはいられない。でも 「天下繚乱」 らしい、と言えばその通りでもあるワケで。
終始キャラがしっかりと立ったロールプレイで最後まで楽しませてもらいました。


#オビにある 若林直美 さんと 三田誠 先生のコメントが貪欲でステキすぎます。(w

posted by 秋野ソラ at 00:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2011年05月30日

『ログ・ホライズン(2) キャメロットの騎士たち』

橙乃ままれ 先生が送るMMORPGを舞台とするシリーズ第2巻。〈アキバ〉 への帰還を
果たした “シロエ” が無法地帯となったかの地に希望を取り戻すべく策を弄します。
(イラスト:ハラカズヒロ 先生)

http://ebten.jp/eb-store/p/9784047272989/?aid=crp


「腹ぐろ眼鏡」 の二つ名は伊達じゃない、というところを見せつけてくれた感じです。
なんで 「それ」 が必要なのかと思ったら・・・目的のために手段を選ばないにも程がある。
お歴々を問答無用で説き伏せる、その身に秘める熱量の高さには惚れ惚れするくらい。

「ルール」 と 「マナー」 は違う、というのは標語などでもよく言われることですが
現実世界とは違う別の世界 「エルダー・テイル」 に身を置くようになったからこそ
その人物の気質、本性があらわになる。何とも考えさせられるテーマです。

自分の気持ちを昇華してまた一歩成長する “シロエ” の他にも意外に照れ屋な “直継”、
イジられる姿もまた魅力的な “アカツキ”、縁側というか縁の下を支える“にゃん太”、
〈三日月同盟〉 の活躍・・・と見どころ豊富で高潮な展開には楽しませてもらいました。


〈アキバ〉 の街に希望を取り戻した 〈記録の地平線〉 の面々が向かう先に注目です。

posted by 秋野ソラ at 00:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2011年05月28日

『こうして彼は屋上を燃やすことにした』

「第5回 小学館ライトノベル大賞・ガガガ大賞」受賞者、カミツキレイニー 先生の
デビュー作。麻枝准 氏が 「鳥肌モノ」 と賞賛した青春小説を拝読しております。
(イラスト/文倉十 先生)

http://gagaga-lululu.jp/gagaga/lineup/201105.html#02


恋敗れた “ドロシー” が “ライオン” や “カカシ”、そして “ブリキ” がもつ
問題の解決に奔走する中で見た彼女たちの 「屋上」 以外の繋がりが印象的でした。
著者コメントにあるように 『オズの魔法使い』 をよく知らなくても確かに楽しめます。

「臆病なライオン」 「脳の無いカカシ」 「心の無いブリキの木こり」。それらを勇気が
無くて怒ることができない“ライオン”、知恵が無くて泣くことができない “カカシ”、
心が無くて笑うことができない “ブリキ” と当てはめることで見事に話が繋がっていく──。

それでいて現代を象徴するかのような学校背景を舞台にした独自のジュブナイル小説へと
落とし込めているのが大賞たる所以でもあり、麻枝准 氏の賞賛へと繋がった結果でも
あるのかと思ったりしました。「ガガガ文庫」もやるわね、ということでオススメしておきます。

posted by 秋野ソラ at 00:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

『キミとは致命的なズレがある』

「第5回 小学館ライトノベル大賞・優秀賞」 を受賞されました 赤月カケヤ 先生の
デビュー作。失った記憶とその残滓が織り成すサスペンス作品を拝読しております。
(イラスト/晩杯あきら 先生)

http://gagaga-lululu.jp/gagaga/lineup/201105.html#01


「キミ」とは誰か? 「致命的なズレ」とは何か? そんなことを “海里克也” とその
周囲にいる人たちとのやりとりから類推しながら読んでいくといい感じに引き込まれて
ひっくり返される。そんな読了感を味わわせてくれた作品だと思います。

彼の記憶障害と突然見えるようになる「何か」、差出人の無い手紙に書かれたある意味
昔の記憶を無くして生きる彼を糾弾するかの内容、保険医 “鏡司” と父 “夏彦” との
思わせぶりな会話、それぞれが1つの可能性へとミスリードしていく流れが巧手かと。

章立てにもある “赤鬼” という存在がその可能性を打ち砕くための鍵でもあったのだと
気づかされた後に突入する狂気の世界。冒頭に挙げた疑問符、その問いかけも解消されて
「なるほど〜」 と思わせてくれて妙に納得できる。中々のものだと言えると思います。

posted by 秋野ソラ at 00:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

『ハレの日は学校を休みたい!』

陸凡鳥 先生が全ての学園祭嫌いに贈る青春ラブコメ。アンチ学園祭活動家として
暗躍する主人公が、かけられた冤罪を晴らすべく奮闘する物語を拝読しております。
(イラスト/切符 先生)

http://gagaga-lululu.jp/gagaga/lineup/201105.html#05


学園祭の開催を何としてでも中止させたいと常日頃考えている “響川” がいつの間にか
実行委員の “詩ノ森” と組んで学園祭の開催を少しでも手を貸す形になってコメディ的
展開に流れていく序盤から中盤にかけては素直に面白く読めます。

容疑者の「学園祭嫌い」を体系化し、その要因を取り除くことで犯人を絞り込む手法で
脅迫状騒動を収めようとする最中、「そもそも何で “響川” は学園祭が嫌いなのか」
という理由が実はとある昔話と結びついていて・・・という終盤への畳み掛けも良かった。

“響川” の容疑が晴れてからも、もう1つ波を用意してそれを解決に至らせる大団円な
落としどころも好感触な読了感を与えてくれて思わぬ良い買い物をした気分になりました。
青春モノとしてこれはオススメしてもいいかな、ということで挙げておくことに致します。

posted by 秋野ソラ at 00:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル