2010年12月11日

『笑わない科学者と咲く花の魔法使い』

物理と魔法の化学反応ファンタジー。内堀優一 先生が送るシリーズ第3巻は
最後の儀式と最高の実験が交わる、物語の最高潮を描きます。
(イラスト/百円ライター 先生)

http://www.hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup1012.php#novel101205


魔法とも違う、妖術とも違う、幻術の力が見え隠れする中、「リニエッジ機関」 とは
別なる 「時詠みの追難」 などの知識に詳しい組織 「クラン」 の暗躍が顕現し、更に
“磐長” が隔界から姿を消すという異常事態へと突入──。

“沖島” 教授にも掴めない組織の動向、“耕介” に訪れる最大の窮地と直面した
“咲耶” の決断、そして思いも寄らぬ思惑との対峙・・・・と今回も小気味の良い展開で
楽しませてもらいました。最後のまとめ具合も良かったと思います。

・・・それにしても、あとがきにもある通り、とりあえず一区切りついたという感じ
ではありますが、一読者の思惑としてはぜひ続きを書いていただきたいところです。
作品の雰囲気とか好きなんですよ。ということでお願い致します。>「HJ文庫」編集部 様

posted by 秋野ソラ at 00:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

『カンピオーネ!(8) 受難の魔王たち』

丈月城 先生が綴る神殺したちの物語。前巻の死闘を明けて、今巻はその幕間とも
言える数々のエピソードを集めた挿話集の位置付けとして登場です。
(イラスト/シコルスキー 先生)

http://dash.shueisha.co.jp/-campione/#b08


・・・“護堂” ってそんなに背が高いイメージがなかったのでちょっと驚き。(ぇ


とある魔王と姫の逸話であるとか、二人の騎士が神童とも呼ばれた頃の浅からぬ縁
についてなどキャラクターの厚みを足す物語もなかなかのモノでしたが、やはり
“護堂” さんの天下無双とも言える女さばきを見ているとどこか安心します。

栴檀は双葉より芳し、とはよく言ったものですが、今回登場した彼のはとこである
“さくら” から窺える昔話と現状を見るに “リリアナ” の指摘は全く理に敵った
コメントであったかと。確かに 「普通」 という言葉が信用なりません。(w

他にも “護堂” がアルバイトに精を出す彼らしい理由のこととか、彼も忌避する
母 “真世” の精神的特徴であるとか色々と見えてくるところがあって面白いです。
そんな挿話を踏まえた本編の続きが刊行されるのを引き続き楽しみにしています。

posted by 秋野ソラ at 00:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

『サクラダリセット(4) GOODBYE is not EASY WORD to SAY』

“相麻菫” の死後、“春埼美空” に起こる変調や “浅井ケイ” の複雑な機微を
描く表題作などを含む短編集。雑誌掲載分と 河野裕 先生の書き下ろしを収録です。
(イラスト:椎名優 先生)

http://www.kadokawa.co.jp/lnovel/bk_detail.php?pcd=200911000546


まずは 「月刊少年エース」 にて 吉原雅彦 先生によるコミック連載がスタートする
ということでおめでとうございます。ところによるとコミカライズはアニメ化する
ための必須要件とも言われておりますし、喜ばしい限りです。

突然 “ケイ” の口調で喋る “春埼” とか、あまりにも冷静沈着な “ケイ” の
思考回路であるとかも特異ではあるのですが、“野ノ尾” さんも随分と変わった
性格だな、ということが改めて明示されたような短編の数々でした。読みやすいです。

デビュー作となる 「ホワイトパズル」 は未来や過去の自分と入れ替わってしまう
少女と向き合う少年の物語、ということで 「入れ替わりの終わり」 が意味する所は
そうあってほしい、という場所に見事落ち着けてくれる綺麗なお話で好きですね。


“ケイ” に対する “春埼” の繊細にして掴みにくい機微の描写が微笑ましく感じる
ところを堪能したあとは本編の続刊とコミカライズがどんな感じに展開していくのか
注目しておきたいと思います。

posted by 秋野ソラ at 00:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

『空色パンデミック Short Stories』

ドラマCD化が決定し、2011年2月に発売を予定している 本田誠 先生の 「空パン」。
「ボーイ・ミーツ・空想少女」 初の短編集が堂々の登場です。
(イラスト:庭 先生)

http://www.enterbrain.co.jp/fb/pc/08shinkan/08shinkan.html#_05


劇中劇、というよりは作中作と言うべきでしょうがどこかで見たことがあるような、
読んだことがあるような設定のお話に便乗して “結衣” が空想病の発作を起こす
というなんともはた迷惑な喜劇。元ネタを知っていると感情移入しやすいかも。

物語に巻き込んでいるのは “結衣” なんですが、振り回しているように見えるのが
“青井” の言動。いや、お話だけでなくて、“景” の人間関係を揺さぶっている
様子に注目しておきたいところです。どこまで本気かな、というところを。

本編とは違い、気軽に読める悲劇・喜劇の数々に新鮮な気持ちで楽しませてもらった
と言える気がします。気になるのは本筋がどういうふうに展開していくか、という点
ですが、そこは素直に続巻の刊行を待つしかありませんな、ということで一つ。

posted by 秋野ソラ at 00:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

『ff(2) ―フェアリー・ファイル―』

作家デビュー20周年を迎える 冴木忍 先生が送るゴシック・ファンタジー第2巻。
1巻発売から様子を見させていただいたところで感想を書いてみようかと思います。
(イラスト:天乃咲哉 先生)

http://www.kadokawa.co.jp/lnovel/bk_detail.php?pcd=201008000124


・・・何で様子を見ていたのか、と言えば、挿絵が 天乃咲哉 先生ということもあって
『GOSICK―ゴシック―』(著:桜庭一樹 先生) のイメージが頭をちらついていたから
というのがあったためで。

ただ、今巻に入って “ハンター” と “ミルドレッド” の関係や氏素性、あるいは
“パール” が持つ特異能力の強さや彼女の家族にまつわる驚くべき事実が垣間見えた
ことでようやく独自のファンタジー色が出てきて面白くなってきた感があります。

今巻の騒動で首を突っ込んだ出来事が次に続く要素になるという思いもよらない引き具合
も期待が抱けるというもので。まだ明らかになっていない謎も含めてどう展開していくのか
楽しみにしておきたいと思います。

posted by 秋野ソラ at 00:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル