「富士見ドラゴンブック」 より刊行されていた 藤澤さなえ 先生の 『たのだん』。
シリーズは完結しておりますが、「ocelot」 とタッグを組んで 「キネティックノベル」
として新たな日の目を見る、ということで一通り読ませて頂きました。・・・ようやく。
【 http://ocelot.product.co.jp/products/tanodan/ 】
・・・分かっていても 「2D6を振らされる」 となるとついつい手に汗握る感じが。(^^ヾ
文庫という形式ですと、「ダイス振って?」 「〜が出た!」 というのはほんの1〜2行で
表せてしまうのですが、今回の形式を取ることで 「出目がページをめくった時に分かる」
というような限定的な読み手への緊張感を常に与えることが出来ていると感じました。
クリティカルしてダイスが回った時の嬉しさとか、自分のことのように思えますし。
まぁ、その代償というか、魔法や各種技能の効果表現で時間を取られる感覚は否めない
ですが、そこはシステムの限界としてひとまず置いておくしかないでしょう。何よりも
物語を楽しむことができれば良いのですから。
その物語としては、まず位置付けが文庫の2巻〜3巻の間に起こった出来事である、と。
以前に調査したことのある遺跡を巡ってもう一度、今度は壮大なストーリーが幕を開ける
やや既読者向けの展開ですね。もちろん初めて触れる方向けに導入もしっかりしてますが。
それにしても “レクサス” さんの 「安心力」 がハンパない。この圧倒的な力に常時
あてられていたのかと思うと、また違った意味で 藤澤 先生の凄さを実感させられました。
声に出されると 「安心力」 がより実感できるというか、なんというか。(^^;
「DreamParty」 で行われた 「CV声優オーディション」 を拝見した身としてはこうして
それぞれのキャラに声が付くと、読み手としても感慨深いところもあったり。イメージに
しっかり合わせてきていて良いキャスティングではないかと感じています。
初回限定版に付いている 「スペシャルおまけブック」 を拝読すると、今回のシナリオの
裏側が覗けてこれまた面白いところ。GMである 田中公侍 先生の「ひとりごと 番外編」や
「裏リプレイ」 とか。田中 GMガンバ! という気に、思わずなってしまいます。(^^;
そういった裏事情も含めてシナリオを振り返ってみると、ダンジョン・アタックという
『たのだん』 らしいところに話の軸を置きつつ、人族と蛮族との存在意義を問いかけあう
「SW2.0」 のキャラクター性を活かした話運びだったのだなぁ、と思うことしきりです。
ドラマCDとはまた違う 「TRPGリプレイ」 の新たな形を、可能性を確かめさせて頂きました。
十分に「アリ」だと思います。「キネティックノベル」 でこうした試みができるのであれば
「神曲奏界ポリフォニカRPG」 でも実現できそうだと、淡い期待を寄せてみることにします。