TVアニメの放映も開始している「オーガスト」原作の「FA」コミカライズ第5巻、
そしてそのコミカライズを担当する 児玉樹 先生が描くハートフルコメディの
最終巻が同時刊行となっております。
【 http://www.kadokawa.co.jp/comic/bk_search.php?pcd=201006000609 】
【 http://www.kadokawa.co.jp/comic/bk_detail.php?pcd=200907000146 】
「FA」5巻では東儀家のしきたり、伽耶の過去、伊織の嘘、瑛里華の告白・・・・と
だいぶ色々なところが見えてきてシリアス一直線、というところ。そんな余韻を
巻末の4コマ漫画が気持ちいいほどに吹き飛ばしてくれますが、それもまた良し。
もう何度も言ってますがコミカライズ作品としての出来の良さには敬服します。
ということで「コンプティーク」のアンケートハガキで一番良かったコンテンツ
に毎回投票するのは継続中です。翌年3月刊行予定の次巻も楽しみにしています。
そして 『てるてる天神通り』 最終巻では “八雲” に憑く 「疫病神」 が顕現。
“天志” が体調不良に陥って寝込み、原因を探ろうとした “おフク” は攫われ、
そこに “五十鈴” の複雑な胸中も相まって 「天神通り」 の一大事へと話は進展。
そんな窮地を救ったのは “御菓子” の信じる心であったり、「天神通り」 の皆を
信頼する “天志” の想いであったり。それを裏打ちするように真っ直ぐな言動が
何とも潔い。ラストも何ともハートフルで心温まる感じがしました。
ここで幕を引かれるのは惜しいところではあるのですが、ひとまずは連載の無事終了を
一読者の身から心よりお祝い申し上げます。そしてお疲れさまでございました。
児玉 先生の次回作に出会えることを期待しつつ、筆を置くことにします。
2010年10月30日
『10歳の保健体育(2)』
「10歳のお子様の目の届かないところでこっそり読んでほしい本」ランキング堂々1位と
オビで高らかに宣言された 竹井10日 先生の問題作(笑)。懲りずに第2巻の登場です。
(絵 : 高見明男 先生)
【 http://data.ichijinsha.co.jp/book/booksearch/booksearch_detail.php?i=75804184 】
・・・なんか色々と、伏字じゃなくて大丈夫なのカナ? カナ? って気もしますけど。(^^;
“静姫” はどんだけ女の子に好かれれば気が済むのか、というくらい言い寄られますが
あまり嫌味に感じないのは女性に対して淡白に見える言動からか、ボケなんだかとぼけて
いるんだか分からない言動ゆえか。何にしても独特なキャラクターだと思います。
“綾音” のバカ姉っぷりや “翠蓮” の超デレ具合、“はみる” の純真さ、と女性陣も
それに負けないほどのキャラクター性を発揮しております。今巻で登場した “和恋” も
同様に。・・・というかこの人が大活躍したらそれこそ大変なことになりそうな予感が。
正直に言うと万人向けではありません。ですがこのセリフ回し、話の動かし方こそが
竹井10日 先生の真骨頂。先生の本気が見たいのなら読むべし、と言わねばなりますまい。
・・・というかこのラストで続くの!? 狙いが読めなさすぎて気になります。(w
#「ちなうんです」 ってここまで何回も言わせてくるのがマジでハンパない。(w
オビで高らかに宣言された 竹井10日 先生の問題作(笑)。懲りずに第2巻の登場です。
(絵 : 高見明男 先生)
【 http://data.ichijinsha.co.jp/book/booksearch/booksearch_detail.php?i=75804184 】
・・・なんか色々と、伏字じゃなくて大丈夫なのカナ? カナ? って気もしますけど。(^^;
“静姫” はどんだけ女の子に好かれれば気が済むのか、というくらい言い寄られますが
あまり嫌味に感じないのは女性に対して淡白に見える言動からか、ボケなんだかとぼけて
いるんだか分からない言動ゆえか。何にしても独特なキャラクターだと思います。
“綾音” のバカ姉っぷりや “翠蓮” の超デレ具合、“はみる” の純真さ、と女性陣も
それに負けないほどのキャラクター性を発揮しております。今巻で登場した “和恋” も
同様に。・・・というかこの人が大活躍したらそれこそ大変なことになりそうな予感が。
正直に言うと万人向けではありません。ですがこのセリフ回し、話の動かし方こそが
竹井10日 先生の真骨頂。先生の本気が見たいのなら読むべし、と言わねばなりますまい。
・・・というかこのラストで続くの!? 狙いが読めなさすぎて気になります。(w
#「ちなうんです」 ってここまで何回も言わせてくるのがマジでハンパない。(w
『終わる世界のアルバム』
『さよならピアノソナタ』、『神様のメモ帳』 と 「電撃文庫」 で秀作を上梓し続ける
杉井光 先生がハードカバーの単行本を初めて出す、ということでフライング・ゲットして
読ませていただきました。
【 http://dengekibunko.dengeki.com/new/tankobon.php#t1010_1 】
出だしはいつもの 杉井 先生作品らしいキャラクター同士のやりとり。ただ、次第に
「生きた痕跡ごと人間が消滅し、記憶にも残らない」 という、読み手からすれば
非日常な現実が、例外的に記憶を保持できる少年 “マコ” たちの日常に去来する。
“マコ” たちのいる世界の異常性が描かれていく中、突如現れた “奈月” という
少女に 「人が消えても平然としていること」 に対する異常性を指摘される。そして
記憶を記録するための 「写真撮影」 という代償行為の本質に気付かされる。
やがて近しい人が消えた時、“マコ” は自分自身の異常さと向き合い、絶望する。
さらに “奈月” の秘密が明らかになったとき、彼が失っていた記憶と想いが蘇る。
全てを捨てるために、消えるために、その象徴たる「海」へ向かう二人──。
「人が消える」 という異常性を表現するのに 「音楽」 を用いたりだとか、それでも
スターシステムは健在だったりとか、物語のキー・オブジェクトやキー・パーソンの
設定であったりとか、随所に見られる 杉井光 節が幾度と心の琴線に触れてきます。
また、失うことの恐ろしさであるとか、大切な人を想う気持ちであるとか、機微の
描写が瑞々しくて好感が持てます。水平線の彼方に沈んでいく夕陽を、2人はどんな
気持ちで見つめていたのだろうかと、馳せる思いは尽きません。
“マコ” が本当に大切な人を憶えていたいと思ったのか、忘れたいと思ったのか。
ぜひ読んで確かめてみてほしいところです。良い話が読めた幸せをいま、改めて
じんわりと噛み締めながらこの筆を走らせた次第です。
#ページ数もテキスト量もそんなにないですから読みやすいと思いますよ。
杉井光 先生がハードカバーの単行本を初めて出す、ということでフライング・ゲットして
読ませていただきました。
【 http://dengekibunko.dengeki.com/new/tankobon.php#t1010_1 】
出だしはいつもの 杉井 先生作品らしいキャラクター同士のやりとり。ただ、次第に
「生きた痕跡ごと人間が消滅し、記憶にも残らない」 という、読み手からすれば
非日常な現実が、例外的に記憶を保持できる少年 “マコ” たちの日常に去来する。
“マコ” たちのいる世界の異常性が描かれていく中、突如現れた “奈月” という
少女に 「人が消えても平然としていること」 に対する異常性を指摘される。そして
記憶を記録するための 「写真撮影」 という代償行為の本質に気付かされる。
やがて近しい人が消えた時、“マコ” は自分自身の異常さと向き合い、絶望する。
さらに “奈月” の秘密が明らかになったとき、彼が失っていた記憶と想いが蘇る。
全てを捨てるために、消えるために、その象徴たる「海」へ向かう二人──。
「人が消える」 という異常性を表現するのに 「音楽」 を用いたりだとか、それでも
スターシステムは健在だったりとか、物語のキー・オブジェクトやキー・パーソンの
設定であったりとか、随所に見られる 杉井光 節が幾度と心の琴線に触れてきます。
また、失うことの恐ろしさであるとか、大切な人を想う気持ちであるとか、機微の
描写が瑞々しくて好感が持てます。水平線の彼方に沈んでいく夕陽を、2人はどんな
気持ちで見つめていたのだろうかと、馳せる思いは尽きません。
“マコ” が本当に大切な人を憶えていたいと思ったのか、忘れたいと思ったのか。
ぜひ読んで確かめてみてほしいところです。良い話が読めた幸せをいま、改めて
じんわりと噛み締めながらこの筆を走らせた次第です。
#ページ数もテキスト量もそんなにないですから読みやすいと思いますよ。
『雑魚神様』
鳥村居子 先生の 「第2回メガミノベル大賞」 金賞受賞作品が上梓されております。
水無月冬弥 さんのレビューを見て気になったので読ませていただきました。
(絵: 月神るな 先生)
【 http://shop.gakken.co.jp/shop/order/k_ok/bookdisp.asp?code=1390354700 】
人から忘れ去られ、力も無くし、記憶すらもあやふやで不安定な雑魚神 “おまがり様”。
いつしか人や神を嫉み、厭み、ダンボールの中に隠れて過ごすようになってしまった一柱。
彼女の残念さ、切なさ、物悲しさが、従者 “八咫烏” の想いに乗せて伝わってきます。
そんな彼女たちが1枚のハガキをきっかけに訪れた地、福岡にある 「古守八幡神社」。
その神社でもうすぐ行われるのは 「神幸祭」。祀られるのは御名が同じ 【おまがり様】。
お祭りを成功させようと奮闘する “齊” との出会い。その影で暗躍する “桜” との邂逅。
騒動に巻き込まれていく中にあって、別の神を食い殺そうとするほどに弱く、狂いそうに
なってもなお “おまがり様” が最後まで忘れなかったもの。それは「人の願い」。それに
気付いてから起こる奇跡の数々には思わず気持ちが昇華して涙が出そうなほどでした。
日本独特の 「神」 に対する考え方があってこそ成り立つ物語、ということでなかなかに
楽しませてもらいました。お時間があればお読みいただくのも一興かと存じます。
水無月冬弥 さんのレビューを見て気になったので読ませていただきました。
(絵: 月神るな 先生)
【 http://shop.gakken.co.jp/shop/order/k_ok/bookdisp.asp?code=1390354700 】
人から忘れ去られ、力も無くし、記憶すらもあやふやで不安定な雑魚神 “おまがり様”。
いつしか人や神を嫉み、厭み、ダンボールの中に隠れて過ごすようになってしまった一柱。
彼女の残念さ、切なさ、物悲しさが、従者 “八咫烏” の想いに乗せて伝わってきます。
そんな彼女たちが1枚のハガキをきっかけに訪れた地、福岡にある 「古守八幡神社」。
その神社でもうすぐ行われるのは 「神幸祭」。祀られるのは御名が同じ 【おまがり様】。
お祭りを成功させようと奮闘する “齊” との出会い。その影で暗躍する “桜” との邂逅。
騒動に巻き込まれていく中にあって、別の神を食い殺そうとするほどに弱く、狂いそうに
なってもなお “おまがり様” が最後まで忘れなかったもの。それは「人の願い」。それに
気付いてから起こる奇跡の数々には思わず気持ちが昇華して涙が出そうなほどでした。
日本独特の 「神」 に対する考え方があってこそ成り立つ物語、ということでなかなかに
楽しませてもらいました。お時間があればお読みいただくのも一興かと存じます。
『断罪のイクシード ―白き魔女は放課後とともに―』
「第2回GA文庫大賞」 優秀賞を受賞された 海空りく 先生のデビュー作です。
想いと魔術が交錯する現代学園異能バトル、ということで読ませて頂いております。
(イラスト:純珪一 先生)
【 http://ga.sbcr.jp/novel/danzai/ 】
過去を無くし、過去に救われたからこそ人に何かできる人間たることを望む “大和”。
過去に過ちを犯し、過去を清算するべく彼の住む街に現れた美しき魔術師 “静馬”。
2人の出会いが日常を非日常へと誘う、まさしく異能な者たちが引き起こす物語。
街で頻発する「台東市連続猟奇殺人事件」、6年前に突如生まれた「人食い屋敷」。
二つの点を結んだ先にある、全ての始まりにして終わりを迎えた東雲家の謎──。
見えていた過去、見えなかった想いの絡ませ方が上手くて読みやすかったです。
・・・それにしても、何気にインパクトがあったのは “大和” の妹 “ましろ” かと。
いくら兄が心配だからってあんなことや「おしおき」までしようとするなんて。
彼の幼なじみ “穂波” も艶っぽい妖しさを見せていて気になる存在だったり。
そんなキャラクターたちのやりとりも面白さを見せたところで続刊の刊行予定あり、
とのことですので楽しみにしつつ、その時を待たせてもらおうかと思うところです。
想いと魔術が交錯する現代学園異能バトル、ということで読ませて頂いております。
(イラスト:純珪一 先生)
【 http://ga.sbcr.jp/novel/danzai/ 】
過去を無くし、過去に救われたからこそ人に何かできる人間たることを望む “大和”。
過去に過ちを犯し、過去を清算するべく彼の住む街に現れた美しき魔術師 “静馬”。
2人の出会いが日常を非日常へと誘う、まさしく異能な者たちが引き起こす物語。
街で頻発する「台東市連続猟奇殺人事件」、6年前に突如生まれた「人食い屋敷」。
二つの点を結んだ先にある、全ての始まりにして終わりを迎えた東雲家の謎──。
見えていた過去、見えなかった想いの絡ませ方が上手くて読みやすかったです。
・・・それにしても、何気にインパクトがあったのは “大和” の妹 “ましろ” かと。
いくら兄が心配だからってあんなことや「おしおき」までしようとするなんて。
彼の幼なじみ “穂波” も艶っぽい妖しさを見せていて気になる存在だったり。
そんなキャラクターたちのやりとりも面白さを見せたところで続刊の刊行予定あり、
とのことですので楽しみにしつつ、その時を待たせてもらおうかと思うところです。
『かんなぎ家へようこそ!』
「第6回MF文庫Jライトノベル新人賞」 佳作、ならびに 「第2回GA文庫大賞」 奨励賞
を受賞された 冬木冬樹 先生のデビュー作、ということで読ませていただいております。
(イラスト:すまき俊悟 先生)
【 http://ga.sbcr.jp/novel/kannagi/ 】
縦横無尽に繰り出されるボケと、それに喰らいついていくツッコミ。それらの応酬。
笑いのツボは人によって違う、と言いますがこのテンションに付き合っていけるか。
それがこの本を読む上での1つの鍵になると思います。
百目鬼の “めーちゃん”、犬神の “ハナ”、人間の “珠樹”。この3姉妹に長男
の位置付けとなる座敷童子の “遍” が加わって 「かんなぎ家」 は形成されます。
人の幸せを求める彼らに、不幸な少女 “帯” が加わるところから話は始まります。
“遍” の一人称で語られるひたすらコメディなノリと、幸せを求める背景のシリアスさ。
何ともギャップが激しいところではありますが、意外と真面目に 「幸せとは何か」 を
突き詰めているところは評価に値するのではないかと思います。楽しませてもらいました。
を受賞された 冬木冬樹 先生のデビュー作、ということで読ませていただいております。
(イラスト:すまき俊悟 先生)
【 http://ga.sbcr.jp/novel/kannagi/ 】
縦横無尽に繰り出されるボケと、それに喰らいついていくツッコミ。それらの応酬。
笑いのツボは人によって違う、と言いますがこのテンションに付き合っていけるか。
それがこの本を読む上での1つの鍵になると思います。
百目鬼の “めーちゃん”、犬神の “ハナ”、人間の “珠樹”。この3姉妹に長男
の位置付けとなる座敷童子の “遍” が加わって 「かんなぎ家」 は形成されます。
人の幸せを求める彼らに、不幸な少女 “帯” が加わるところから話は始まります。
“遍” の一人称で語られるひたすらコメディなノリと、幸せを求める背景のシリアスさ。
何ともギャップが激しいところではありますが、意外と真面目に 「幸せとは何か」 を
突き詰めているところは評価に値するのではないかと思います。楽しませてもらいました。