10月22日より 「ファミ通コミッククリア」 にて CUTEG(カム) 先生による漫画連載が
スタートする 庵田定夏 先生のデビュー作を3巻まで一気に読ませてもらいました。
(イラスト:白身魚 先生)
【 http://ebten.jp/eb-store/p/9784047262904/ 】
【 http://ebten.jp/eb-store/p/9784047265370/ 】
【 http://ebten.jp/eb-store/p/9784047267756/ 】
【 http://www.enterbrain.co.jp/fb/pc/02sp/1010a_kokoro/ 】
【 http://www.famitsu.com/comic_clear/se_kokoro/ 】
まずは 「〜ヒトランダム」。最初、それぞれのキャラクターを掴みきっていないところで
「人格入れ替わり現象」 が始まったので何が何やら、という感じでした。ただ、その現象が
あったからこそ 「文研部」 5人それぞれの悩みや問題が顕在化できることが分かってきて。
そして 「決して人には見せたくないもの」 まで晒されることに恐れをなすヤツもいれば
受け入れるヤツも、向き合っていくヤツもいる。上手くいかないかもしれない。でも気持ちを
ぶつけ合うからこそ本当の友だちになれる。それに気付いたからこそ5人の絆は強く、輝く。
現象を引き起こした 〈ふうせんかずら〉 が最後に提示した宣告と5人の決断、そして結末。
なかなかやってくれますなぁ、という読了感でした。存分に青春を謳歌している5人の物語に
惹き付けられたのは否めない事実です。
「〜キズランダム」 では 〈ふうせんかずら〉 が引き起こした 「欲望解放現象」 に5人が
巻き込まれることで、「知られたくない気持ち」 まで露呈してしまうのが最大のポイント。
引き篭もれば回避はできますが、それは学生という立場では生活に支障をきたす選択肢。
前巻よりも更に激しい衝突があって、これは本当に5人がバラバラになってもおかしくない
という状況にまで陥りますが、それでも 「皆といっしょに居たい」 という想いを強くした
“太一” の行動力が再び全員の心を動かし、大団円へと繋いでいく展開は天晴れの一言。
前巻は “伊織” を、今巻は “姫子” をピックアップしていたような感じでしょうか。
その中でも各キャラクターの心情を掘り下げるところはしっかりと押さえていて、これまた
読了感としてはかなりプラスに印象づけられた1冊でした。
で、最新巻となる 「〜カコランダム」 では過去の自分が露呈するという事態に。しかも
“太一” だけ例外で 〈ふうせんかずら〉 もちょっと様子が違う・・・・という捻りが加わって
おります。話としては “唯” と “青木” の関係を掘り下げるのにピッタリな現象でした。
最後は “伊織” にも焦点を当てつつ今度こそ収拾がつかないところまでいってしまうのかと
ヒヤヒヤさせられましたが、残り数十ページというところでこれまた切り替えしてくるあたり
三度 「してやられた」 という心地良い読了感を残す形となりました。
前巻で決意した “姫子” のその後は特集ページに掲載されている 「稲葉姫子の孤軍奮闘」
で補完させて頂きました。再掲載の 「スクープ写真の正しい使い方」「桐山 唯の初体験」 も
合わせて読んでますがこれもまた面白いですね。未読な方は読んでおいて損はないかと。
・・・それにしても、全巻通して “藤島” さんの実力者ぶりが凄い。「文研部」 の5人が
この異常な現象に巻き込まれながらも乗り切ってきた影には “藤島” さんの目に見えたり
見えなかったりする助力も少なからずあることは忘れてはいけないと思います。
ということで “伊織” にまた少し気持ちの変化が訪れたことで5人の関係にどういった
違いが現れてくるのか、次巻の展開に期待したいと思います。
2010年10月16日
『なれる!SE(2) 基礎から学ぶ?運用構築』
SE(システムエンジニア)の就業経験がある 夏海公司 先生だからこそ綴ることが
できるワリと嘘偽り無い業界の一端・・・・が覗けるかも知れないシリーズの第2巻です。
(イラスト/Ixy 先生)
【 http://dengekibunko.dengeki.com/new/bunko1010.php#new9 】
とある記事によると最近、平均給与額が過去最高の下落幅を見せる 「給与破壊」 とも
言える厳しい現実が日本という国には到来しているそうです。・・・そのやり玉として
真っ先に上げられてる業種だと思いますけどね、私個人としては。
そんな厳しい世界に飛び込んだ “工兵” も少しずつSEの仕事が見えてきたところで
直面するシステムを 「作る」 側と 「維持する」 側の思惑。“室見” さんの言い分も
“梢” さんの言い分も良く分かるだけに我が心中も複雑な思いが去来するワケで。
両極に位置する二人が互いを敵視するまで泥沼化した関係をなだめすかして WIN-WIN な
結果にプロジェクトを動かしていった彼の分析力、説得力はなかなかどうして立派なもの
だと思ったりしました。・・・最後は実にうらやまけしからん関係に陥っておりますが。
#現実にはまず有り得ないからね!(^^ヾ
また、「酒は飲んでも飲まれるな」 とか、「ドキュメンテーションの大切さ」 とか、
「文章だけでやりとりすることの限界」 であるとか、「報・連・相」であるとか、SEに
限らず仕事をする上での大切な教訓を、物語という実例をもって学べるかも知れません。
ということで読んだお子さんが父親、母親との意思疎通にも役立てられるかもしれない
本作を、私は引き続きオススメしておきたいと思います。同業種の方との話のタネにも
出来そうですし(w。番外編も溜まったら是非1冊にまとめてほしいところです。
#よろしくお願いしま〜す。 → 「週刊アスキー編集部」様 &「電撃文庫編集部」様
できるワリと嘘偽り無い業界の一端・・・・が覗けるかも知れないシリーズの第2巻です。
(イラスト/Ixy 先生)
【 http://dengekibunko.dengeki.com/new/bunko1010.php#new9 】
とある記事によると最近、平均給与額が過去最高の下落幅を見せる 「給与破壊」 とも
言える厳しい現実が日本という国には到来しているそうです。・・・そのやり玉として
真っ先に上げられてる業種だと思いますけどね、私個人としては。
そんな厳しい世界に飛び込んだ “工兵” も少しずつSEの仕事が見えてきたところで
直面するシステムを 「作る」 側と 「維持する」 側の思惑。“室見” さんの言い分も
“梢” さんの言い分も良く分かるだけに我が心中も複雑な思いが去来するワケで。
両極に位置する二人が互いを敵視するまで泥沼化した関係をなだめすかして WIN-WIN な
結果にプロジェクトを動かしていった彼の分析力、説得力はなかなかどうして立派なもの
だと思ったりしました。・・・最後は実にうらやまけしからん関係に陥っておりますが。
#現実にはまず有り得ないからね!(^^ヾ
また、「酒は飲んでも飲まれるな」 とか、「ドキュメンテーションの大切さ」 とか、
「文章だけでやりとりすることの限界」 であるとか、「報・連・相」であるとか、SEに
限らず仕事をする上での大切な教訓を、物語という実例をもって学べるかも知れません。
ということで読んだお子さんが父親、母親との意思疎通にも役立てられるかもしれない
本作を、私は引き続きオススメしておきたいと思います。同業種の方との話のタネにも
出来そうですし(w。番外編も溜まったら是非1冊にまとめてほしいところです。
#よろしくお願いしま〜す。 → 「週刊アスキー編集部」様 &「電撃文庫編集部」様
『MiX! お姉様と呼ばないで』
昨今、一定の認知度を得てきた 「オトコの娘」 が主役となる 岩佐まもる 先生の
新シリーズ第2巻も、イラストと共に可愛らしさ満載でお送りしております。
(イラスト:CARNELIAN 先生)
【 http://www.kadokawa.co.jp/lnovel/bk_search.php?pcd=200912000599 】
なし崩し的に “須賀蘭” として新体操を続けることとなった “諏訪蘭丸”。
物腰といい、言動といい、相変わらず女の子にしか見えませんね。絵的にも。(w
新体操部に新たな部員が入部して団体戦にも出場できる見込みが立ったところで
“涼子” は大会には出る意思が無いこと。それもこれまでずっと出場していない
という事実が判明し、“蘭” はその理由を探るべく動き出す──。
いつしか見えてきた思いも寄らぬ過去、そして予想だにしなかった衝突。それでも
自分はどうしたいのか、という悩みを突き詰めた結果として表出した本当の想い。
ちゃんと男の子として青春してるじゃないですか〜、と申し上げる他ないでしょう。
部の活動もそうですが、部内の人間関係もなかなか面白い様相を呈しているので
このまま続きを出してもいいんじゃないかと思うのですが、どうでしょうかね。
よろしくお願いしてもよろしいでしょうか、「角川スニーカー文庫」 編集部様?
新シリーズ第2巻も、イラストと共に可愛らしさ満載でお送りしております。
(イラスト:CARNELIAN 先生)
【 http://www.kadokawa.co.jp/lnovel/bk_search.php?pcd=200912000599 】
なし崩し的に “須賀蘭” として新体操を続けることとなった “諏訪蘭丸”。
物腰といい、言動といい、相変わらず女の子にしか見えませんね。絵的にも。(w
新体操部に新たな部員が入部して団体戦にも出場できる見込みが立ったところで
“涼子” は大会には出る意思が無いこと。それもこれまでずっと出場していない
という事実が判明し、“蘭” はその理由を探るべく動き出す──。
いつしか見えてきた思いも寄らぬ過去、そして予想だにしなかった衝突。それでも
自分はどうしたいのか、という悩みを突き詰めた結果として表出した本当の想い。
ちゃんと男の子として青春してるじゃないですか〜、と申し上げる他ないでしょう。
部の活動もそうですが、部内の人間関係もなかなか面白い様相を呈しているので
このまま続きを出してもいいんじゃないかと思うのですが、どうでしょうかね。
よろしくお願いしてもよろしいでしょうか、「角川スニーカー文庫」 編集部様?
『オワ・ランデ! ヤレない貴族のオトシ方』
「第9回 SD小説新人賞」 大賞を受賞した 神秋昌史 先生の栄えあるデビュー作。
同受賞作 「オワ・ランデ 〜夢魔の貴族は焦らし好き〜」 を改稿しての登場です。
(イラスト/イチリ 先生)
【 http://dash.shueisha.co.jp/new/1009.html#b02 】
昨今、各レーベルともにエッチな描写に対する許容範囲が広がり、ものによっては
ジュブナイルポルノをも髣髴とさせるようなタイトルもちらほらと見受けられます。
青少年にはちょっと刺激が、とか思いつつ自分もエロコメとか読んでいるワケですが。
本作の主人公 “直純” もサキュバスである “ロセリー” を召喚してあれやこれやと
ヤリたい強固な姿勢を示すも、命を奪われるほど強力な、まさに必死と言える彼女の力
に何度も阻まれ、それでも果敢に挑戦し続ける──。
そんな単純なお話に見えて実はその姿勢そのものがフェイクで本当の目的は・・・・という
話の切り返しがなかなか面白いなぁ、と思いました。モノローグの入れ方も伏線らしく
機能して良かったと思います。「オワ・ランデ」 な結末も含め、楽しませてもらいました。
同受賞作 「オワ・ランデ 〜夢魔の貴族は焦らし好き〜」 を改稿しての登場です。
(イラスト/イチリ 先生)
【 http://dash.shueisha.co.jp/new/1009.html#b02 】
昨今、各レーベルともにエッチな描写に対する許容範囲が広がり、ものによっては
ジュブナイルポルノをも髣髴とさせるようなタイトルもちらほらと見受けられます。
青少年にはちょっと刺激が、とか思いつつ自分もエロコメとか読んでいるワケですが。
本作の主人公 “直純” もサキュバスである “ロセリー” を召喚してあれやこれやと
ヤリたい強固な姿勢を示すも、命を奪われるほど強力な、まさに必死と言える彼女の力
に何度も阻まれ、それでも果敢に挑戦し続ける──。
そんな単純なお話に見えて実はその姿勢そのものがフェイクで本当の目的は・・・・という
話の切り返しがなかなか面白いなぁ、と思いました。モノローグの入れ方も伏線らしく
機能して良かったと思います。「オワ・ランデ」 な結末も含め、楽しませてもらいました。
『星刻の竜騎士(2)』
第1巻に続いて緊急重版のかかった 瑞智士記 先生の『星刻の竜騎士(ドラグナー)』、
第2巻は表紙を飾る、風紀の “シルヴィア” に話の焦点が移ります。
(イラスト:〆鯖コハダ 先生)
【 http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/books.php?id=26084 】
──〆鯖コハダ 先生が原画のエロゲが、頭の片隅に思い浮かぶ・・・。(w
──いや、口絵とか、比較的たくさんある挿絵のアレやコレやがもう。(w
──粘膜的な何かなんて、青少年の皆さま方にはどうなの!? 的な。(w
まぁ、それはさておき。本編は “シルヴィア” がコンプレックスを抱く対象となる姉
“ヴェロニカ” の登場で、“シルヴィア” のみならず生徒会の面々もどこか調子を
外されつつ、姉の立場ゆえに引き起こされる騒動に巻き込まれていく・・・という流れ。
その影で 〈銀麗の騎士(シルバーナイト)〉 と “アッシュ” の関係がバレないよう
動かなければならない事情や “エーコ” が起こすトラブルも小気味良く挟んできて、と
スラップスティックな中での話の動かし方は前巻に引き続いてとても読みやすいところ。
今回も “アッシュ” の窮地を間接的に救うこととなった “ナヴィー” の正体は未だ
明らかではありませんが、“エーコ” との近いような外れているような微妙な距離感を
見ていると今はまだいいか、とそんなことを思いつつ続きに備えるのであります。
第2巻は表紙を飾る、風紀の “シルヴィア” に話の焦点が移ります。
(イラスト:〆鯖コハダ 先生)
【 http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/books.php?id=26084 】
──〆鯖コハダ 先生が原画のエロゲが、頭の片隅に思い浮かぶ・・・。(w
──いや、口絵とか、比較的たくさんある挿絵のアレやコレやがもう。(w
──粘膜的な何かなんて、青少年の皆さま方にはどうなの!? 的な。(w
まぁ、それはさておき。本編は “シルヴィア” がコンプレックスを抱く対象となる姉
“ヴェロニカ” の登場で、“シルヴィア” のみならず生徒会の面々もどこか調子を
外されつつ、姉の立場ゆえに引き起こされる騒動に巻き込まれていく・・・という流れ。
その影で 〈銀麗の騎士(シルバーナイト)〉 と “アッシュ” の関係がバレないよう
動かなければならない事情や “エーコ” が起こすトラブルも小気味良く挟んできて、と
スラップスティックな中での話の動かし方は前巻に引き続いてとても読みやすいところ。
今回も “アッシュ” の窮地を間接的に救うこととなった “ナヴィー” の正体は未だ
明らかではありませんが、“エーコ” との近いような外れているような微妙な距離感を
見ていると今はまだいいか、とそんなことを思いつつ続きに備えるのであります。
『モンスター・コレクション 烙印ゼミナール(3)』
「グループSNE」 の社長である 安田均 先生の原案を 大井雄紀 先生が1つの物語へと
花膨らませた 『烙印ゼミナール』。そのエンディングを見届けさせてもらいました。
(イラスト:7010 先生)
【 http://www.kadokawa.co.jp/lnovel/bk_detail.php?pcd=201004000027 】
とても綺麗な大団円で、読了感はとても爽やかで清々しく。“アッシュ” が、そして
“ルファ” が辿り着いた結末は、途中の過程があったからこそまた自然で。見ている
こちらも微笑ましく思えるほどでした。
「七星魔道師」 と 「黒曜剣」 の秘密を知り、それでもなお “ガルークル” に、更に
「精霊王」 に立ち向かう “アッシュ” たちの生き様も良かった。彼の居ぬ間にすっかり
様変わりした 「バラン」 を救ったエピソードも人間味が溢れていて素敵でした。
今巻で魅力的な言動を見せた “メディア” がなかなかいい立ち位置で。あれだけの
アプローチをしておきながら最終的には一歩引けるなんていじらしいとしか言えません。
ラストにおける変質魔法の使い方も一本取られた感じでまさに助演女優賞モノ。
こうして3巻で幕を引かれてしまうのが何とも惜しいところではありますが、ひとまずは
無事完結を心よりお祝い申し上げたいと思います。執筆、お疲れさまでございました。
次なる作品の登場を期待、そして祈念しつつ筆を置くことに致します。
花膨らませた 『烙印ゼミナール』。そのエンディングを見届けさせてもらいました。
(イラスト:7010 先生)
【 http://www.kadokawa.co.jp/lnovel/bk_detail.php?pcd=201004000027 】
とても綺麗な大団円で、読了感はとても爽やかで清々しく。“アッシュ” が、そして
“ルファ” が辿り着いた結末は、途中の過程があったからこそまた自然で。見ている
こちらも微笑ましく思えるほどでした。
「七星魔道師」 と 「黒曜剣」 の秘密を知り、それでもなお “ガルークル” に、更に
「精霊王」 に立ち向かう “アッシュ” たちの生き様も良かった。彼の居ぬ間にすっかり
様変わりした 「バラン」 を救ったエピソードも人間味が溢れていて素敵でした。
今巻で魅力的な言動を見せた “メディア” がなかなかいい立ち位置で。あれだけの
アプローチをしておきながら最終的には一歩引けるなんていじらしいとしか言えません。
ラストにおける変質魔法の使い方も一本取られた感じでまさに助演女優賞モノ。
こうして3巻で幕を引かれてしまうのが何とも惜しいところではありますが、ひとまずは
無事完結を心よりお祝い申し上げたいと思います。執筆、お疲れさまでございました。
次なる作品の登場を期待、そして祈念しつつ筆を置くことに致します。