2010年10月30日

『断罪のイクシード ―白き魔女は放課後とともに―』

「第2回GA文庫大賞」 優秀賞を受賞された 海空りく 先生のデビュー作です。
想いと魔術が交錯する現代学園異能バトル、ということで読ませて頂いております。
(イラスト:純珪一 先生)

http://ga.sbcr.jp/novel/danzai/


過去を無くし、過去に救われたからこそ人に何かできる人間たることを望む “大和”。
過去に過ちを犯し、過去を清算するべく彼の住む街に現れた美しき魔術師 “静馬”。
2人の出会いが日常を非日常へと誘う、まさしく異能な者たちが引き起こす物語。

街で頻発する「台東市連続猟奇殺人事件」、6年前に突如生まれた「人食い屋敷」。
二つの点を結んだ先にある、全ての始まりにして終わりを迎えた東雲家の謎──。
見えていた過去、見えなかった想いの絡ませ方が上手くて読みやすかったです。

・・・それにしても、何気にインパクトがあったのは “大和” の妹 “ましろ” かと。
いくら兄が心配だからってあんなことや「おしおき」までしようとするなんて。
彼の幼なじみ “穂波” も艶っぽい妖しさを見せていて気になる存在だったり。


そんなキャラクターたちのやりとりも面白さを見せたところで続刊の刊行予定あり、
とのことですので楽しみにしつつ、その時を待たせてもらおうかと思うところです。

posted by 秋野ソラ at 00:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

『かんなぎ家へようこそ!』

「第6回MF文庫Jライトノベル新人賞」 佳作、ならびに 「第2回GA文庫大賞」 奨励賞
を受賞された 冬木冬樹 先生のデビュー作、ということで読ませていただいております。
(イラスト:すまき俊悟 先生)

http://ga.sbcr.jp/novel/kannagi/


縦横無尽に繰り出されるボケと、それに喰らいついていくツッコミ。それらの応酬。
笑いのツボは人によって違う、と言いますがこのテンションに付き合っていけるか。
それがこの本を読む上での1つの鍵になると思います。

百目鬼の “めーちゃん”、犬神の “ハナ”、人間の “珠樹”。この3姉妹に長男
の位置付けとなる座敷童子の “遍” が加わって 「かんなぎ家」 は形成されます。
人の幸せを求める彼らに、不幸な少女 “帯” が加わるところから話は始まります。

“遍” の一人称で語られるひたすらコメディなノリと、幸せを求める背景のシリアスさ。
何ともギャップが激しいところではありますが、意外と真面目に 「幸せとは何か」 を
突き詰めているところは評価に値するのではないかと思います。楽しませてもらいました。

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2010年10月23日

『とある魔術の禁書目録<インデックス>(22)』

TVアニメ第二期も始まりました。ガイドブック『アニメ「とある魔術の禁書目録」ノ全テ』
も発売になっています。まだまだ勢いのある 鎌池和馬 先生の「禁書」最新の第22巻です。
(イラスト/灰村キヨタカ 先生)

http://dengekibunko.dengeki.com/new/bunko1010.php#new2


・・・あ〜、もう「凄い」としか言いようがないくらいの熱い展開が連続して去来してくるのが
たまりません。誰かの窮地をその場に居ない別の誰かが救ったり、とか “当麻” だけ
ではない登場人物全員の活躍に目を奪われることしきりです。

“当麻” が振るった拳が、“一方通行” の差し伸べた手が、“浜面” が引いた引き金が、
それぞれ信じるものを、守りたいものを思うが故の象徴であったかのように思います。
本当に一般人、「レベル0」としての代表たる “浜面” が一番頑張っている気はします。

その彼が欲していた 「学園都市」 の秘部、「交渉材料」 も見えてきて気になるところ
ですが、その更に上を行く “上条当麻” という少年の秘密とその行方。第三次世界大戦が
終結した世界がどうなっているのか。明かされるその時を楽しみに待ちたいと思います。

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『ハロー、ジーニアス』

「電撃小説大賞」 に応募した作品を改稿した 優木カズヒロ 先生のデビュー作。
天才少女と脚を故障した少年による青春物語、ということで読ませて頂きました。
(イラスト/ナイロン 先生)

http://dengekibunko.dengeki.com/new/bunko1010.php#new15


陸上競技の特待生として高校に進学し、陸上部でその才を発揮していた “高行” が
脚の怪我を理由に自分の行く末を改めて見つめ直さなければいけない事態に陥る。
そんな中で 「第二科学部」 部長、“八葉” からの勧誘を突如受けるワケですが──。

今や居る理由もない、と高校を辞める決意をした “高行” を、それこそ体を張ってまで
求めた “八葉” の真意。彼女の研究 「空を泳ぐ魚」 を手伝うことになった彼がそれを
知ってから気持ちを、想いを入れ替えるまでの流れが何とも瑞々しい。

剣も魔法もメイドも猫耳も出てこない、確かに地味な内容に見えるかもしれませんが
舞台背景を元にして地道に、そしてしっかりと少年少女の機微を描いた青春ストーリー
として評価に値すると感じました。10月刊の新作での推奨作品として挙げておきます。

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『ロウきゅーぶ!(6)』

ドラマCD化が決定した 蒼山サグ 先生のさわやかローリングスポコメディ最新巻。
オビにある時雨沢恵一 先生の推薦文が何とも言えない雰囲気を醸し出しています。
(イラスト/てぃんくる)

http://dengekibunko.dengeki.com/new/bunko1010.php#new5


純心無垢な少女たちを描いているんだ、と思いつつも「アウト」っぽい挿絵が多い
気がするんだよなぁ。というか、そういう目でしか見れない自分が邪なだけなのだ
と言えばそれまでなんですが。まぁ、美麗な絵であることに変わりはないのですが。

今巻は短編集っぽい構成で場面はころころと変わりますが、全体を通してみると
“智花” の家族背景を描きつつ、彼女と “昴” との距離が家族公認でより一層
近くなったのではないかな、と思います。

まぁ、他の女子バスケメンバーとの距離もだいぶ狭まっているとは思いますけど。
その分 “葵” が不憫で仕方が無いんですがね。出番的にも、というかページ数的に
見ても。次巻はまたバスケの話で魅せてくれるのかな、と期待しておきます。

posted by 秋野ソラ at 00:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル