前作 『ピクシー・ワークス』 を刊行して注目を集めたあの日から一年。南井大介 先生が
世に送り出すちょっと変わった戦闘機乗りと天才科学者の物語、読ませていただきました。
(イラスト/大槍葦人 先生)
【 http://dengekibunko.dengeki.com/new/bunko1009.php#new15 】
泥沼の様相を呈してきた 「サピア共和国」 の内紛状態を打破すべく登場した二人。
片や 「レヴェトリア」 に現れた美少女にして天才科学者、“アンナリーサ”。
片や 「ヴェストニア」 に現れた老獪にして狂気の科学者、“アジャンクール”。
彼女に夜間戦闘のトップでありながら予備役を志願する “クラウゼ” が付いたこと、
そして彼に “クラウゼ” を仇敵と狙う “エマ” がとある理由で涙を見せたことから
物語は少しずつ動き出します。
まず、各々の動向を対比させながら “アンナリーサ” と “アジャンクール” が戦争を
舞台に壮大なケンカをしまくりつつ、“クラウゼ” と “エマ” が二人の舞台裏で苦労
させられるというコミカルさが小気味良くて面白い。
更に面白半分で挑んだ戦争というものの現実を心から思い知らされた “アンナリーサ” と
“アジャンクール” が選んだ人としての道、科学者としての道が対照的で、かつどちらも
理に適っていると感じられるシリアスな展開は見事と言うほかに無く。
「人類という種が高貴で素晴らしい性質を備えていること」
“クラウゼ” が “アンナリーサ” を諭すべく吐露した彼自身の本心が、彼女の改心を促し
世界大戦への突入を阻止すべく動き出すラストまでの話運び。そして導いた一つの結末。
「シュナウファーッ!」 と叫ぶ彼女の声音が少しずつ柔らみを帯びていくのを感じたとき、
このお話を読めて良かった、と心からそう思えることができて何とも幸せでした。
“イングリッド(リード姉様)” や “メリエル” も魅力的なキャラクターですし、何よりも
大槍葦人 先生のイラストがその魅力を更に押し上げる形になっていて、まさに絶妙でした。
9月の新作、オススメの一冊と申し上げて差し支えないかと思います。
2010年09月18日
『狼と香辛料(15) 太陽の金貨〈上〉』
「ヨイツ」 を目前にする “ホロ” と “ロレンス”。巻も重ねて15巻目、佳境を
迎えつつある雰囲気をひしひしと感じる 支倉凍砂 先生の新刊を読了しております。
(イラスト/文倉十 先生)
【 http://dengekibunko.dengeki.com/new/bunko1009.php#new2 】
「デバウ商会」 の動向を探るべく 「レスコ」 の町へと入った “ロレンス” たちが
まず訪れたのは 「ミューリ傭兵団」 の団長。その彼から受け取った何十年、何百年の
時を経た遺物と言伝。思わず感極まる “ホロ” の姿が何とも印象的でした。
気の沈む彼女を慮り、視察も兼ねて繰り出した町の様子は活気があって心なしかそれに
引きずられて気持ちも高揚する最中に見つけた、“ロレンス” のその身を、未来をも
揺るがすかのような一つの契機。
「デバウ商会」 に戦意が見えない中、職人を規制するものが何も無く、市壁も税金も
無い理想的な町に想いを募らせつつも一人の両替商がもたらした話から抱きはじめた
疑念がやがてとある結論を導き出す。その過程と “ホロ” とのやりとりがまた絶妙で。
更にはこの先どういう風に話が進んでいくんだろう? と思わずにはいられない引き具合。
これは下巻の登場が早くも楽しみで仕方が無い、という状況です。
迎えつつある雰囲気をひしひしと感じる 支倉凍砂 先生の新刊を読了しております。
(イラスト/文倉十 先生)
【 http://dengekibunko.dengeki.com/new/bunko1009.php#new2 】
「デバウ商会」 の動向を探るべく 「レスコ」 の町へと入った “ロレンス” たちが
まず訪れたのは 「ミューリ傭兵団」 の団長。その彼から受け取った何十年、何百年の
時を経た遺物と言伝。思わず感極まる “ホロ” の姿が何とも印象的でした。
気の沈む彼女を慮り、視察も兼ねて繰り出した町の様子は活気があって心なしかそれに
引きずられて気持ちも高揚する最中に見つけた、“ロレンス” のその身を、未来をも
揺るがすかのような一つの契機。
「デバウ商会」 に戦意が見えない中、職人を規制するものが何も無く、市壁も税金も
無い理想的な町に想いを募らせつつも一人の両替商がもたらした話から抱きはじめた
疑念がやがてとある結論を導き出す。その過程と “ホロ” とのやりとりがまた絶妙で。
更にはこの先どういう風に話が進んでいくんだろう? と思わずにはいられない引き具合。
これは下巻の登場が早くも楽しみで仕方が無い、という状況です。
『血吸村へようこそ(5)』
阿智太郎 先生が送るイヤウレ系コメディ第5弾。今巻も2章立て、「吸血鬼の眠り病」
「牛乳が出ない!? 血吸村の大ピンチ!」 を収録しております。
(イラスト/あらきかなお 先生)
【 http://dengekibunko.dengeki.com/new/bunko1009.php#new12 】
巨星落つ、ということでフォントを弄ってくるあたりが彼女の想いの強さを物語っている
かと思います。しかも 「心さえモノに出来れば」 という吸血鬼として軸のブレた結論に
至ってしまったあたりはかなり強敵と言わざるを得ません。・・・どうする “直樹”。(w
そして、あわや変態共(友?)の慰みものになるかもしれない “季代実” の窮地を
救ったのは今さら誰と言うこともありませんが、「どういう理由付けでくるかな〜」 と
思ったら 「そうきましたか」 という感じで。・・・鈍感にもほどがあるよ “直樹”。(^^;
さて、“直樹” を取り巻く女性陣の思惑が決まったところで次巻がいよいよ最終巻。
村の住民に疑念を抱かれつつも、やはりこの距離感を維持する(=誰とも結ばれない)
のでは? という展開を予想しつつラストを見届けたいと思う次第です。
「牛乳が出ない!? 血吸村の大ピンチ!」 を収録しております。
(イラスト/あらきかなお 先生)
【 http://dengekibunko.dengeki.com/new/bunko1009.php#new12 】
巨星落つ、ということでフォントを弄ってくるあたりが彼女の想いの強さを物語っている
かと思います。しかも 「心さえモノに出来れば」 という吸血鬼として軸のブレた結論に
至ってしまったあたりはかなり強敵と言わざるを得ません。・・・どうする “直樹”。(w
そして、あわや変態共(友?)の慰みものになるかもしれない “季代実” の窮地を
救ったのは今さら誰と言うこともありませんが、「どういう理由付けでくるかな〜」 と
思ったら 「そうきましたか」 という感じで。・・・鈍感にもほどがあるよ “直樹”。(^^;
さて、“直樹” を取り巻く女性陣の思惑が決まったところで次巻がいよいよ最終巻。
村の住民に疑念を抱かれつつも、やはりこの距離感を維持する(=誰とも結ばれない)
のでは? という展開を予想しつつラストを見届けたいと思う次第です。
『C3 -シーキューブ-(10)』
祝! 二桁到達、ということで人気の高さに裏打ちされた結果を目の当たりにしつつ
水瀬葉月 先生が送る呪われない少年と呪具たちの物語、第10巻です。
(イラスト/さそりがため 先生)
【 http://dengekibunko.dengeki.com/new/bunko1009.php#new4 】
新たな敵 “エルシー” の登場と、とある一人の少女を連れて戻ってきた “日村”。
“フィア” たちをも凌駕する “エルシー” の強敵ぶりと口絵に示された過激な妄想が
どう結びつくのかと思っていたらそれがどんでん返しに繋がってまさに驚きの展開に。
さらに “日村” の想いと “錐霞” の過去が顕在することで予想もしていなかった
流れに突き進んでいく今巻は殊更に読みごたえがありました。“錐霞” もようやく
吹っ切れてくれて何よりでしたし。
また、“エルシー” との対峙で見せた、“春亮” は未だ知る由も無い “フィア” と
“このは” の心に現れた本当の気持ちが今後どう関わってくるのか、“春亮” 争奪戦の
行方と共に気になるところです。引き続き期待しつつ、見守っていく次第であります。
水瀬葉月 先生が送る呪われない少年と呪具たちの物語、第10巻です。
(イラスト/さそりがため 先生)
【 http://dengekibunko.dengeki.com/new/bunko1009.php#new4 】
新たな敵 “エルシー” の登場と、とある一人の少女を連れて戻ってきた “日村”。
“フィア” たちをも凌駕する “エルシー” の強敵ぶりと口絵に示された過激な妄想が
どう結びつくのかと思っていたらそれがどんでん返しに繋がってまさに驚きの展開に。
さらに “日村” の想いと “錐霞” の過去が顕在することで予想もしていなかった
流れに突き進んでいく今巻は殊更に読みごたえがありました。“錐霞” もようやく
吹っ切れてくれて何よりでしたし。
また、“エルシー” との対峙で見せた、“春亮” は未だ知る由も無い “フィア” と
“このは” の心に現れた本当の気持ちが今後どう関わってくるのか、“春亮” 争奪戦の
行方と共に気になるところです。引き続き期待しつつ、見守っていく次第であります。
『花×華(2)』
岩田洋季 先生が送る二人の「はな」の物語 ── だぶるはな・ラブコメディの第2巻。
“園端夕” の2作目として美桜町の夏を映像に収めるべく、今度は撮影合宿に挑みます。
(イラスト/涼香 先生)
【 http://dengekibunko.dengeki.com/new/bunko1009.php#new6 】
岩田 先生が惚れ込むのもムリはない、と言いますか 涼香 先生のイラストが二人の
「はな」、“花” と “華” の魅力をより一層引き立てております。海水浴の他に
露天風呂にも入りますし。挿絵指定にも抜け目はありませんことよ。(w
“夕” に対する “花” と “華” の時に大胆で、時に繊細なアプローチの数々は
相変わらず見ていて楽しいところ。加えて 「演じる」 ということに関する “花” の
変化、それに対する “華” が感じた想いの吐露、と繊細な機微の描写が何とも素敵で。
“華” の演技を知るが故に「どうして、ダブル主演なの?」問いかけた “蘭子” も
クランクアップを迎えた二人の熱の入れ様に 「だぶるはな」 の必要性を認識したこと
でしょう。“夕” 自身もそれを改めて強く思い直したことと思います。
そんな彼が次に挑むのは・・・・ということでカメラマンとして、監督として胸に抱いた
一つの願いがどういった実を結ぶことになるのか、続きを楽しみにしておきます。
“園端夕” の2作目として美桜町の夏を映像に収めるべく、今度は撮影合宿に挑みます。
(イラスト/涼香 先生)
【 http://dengekibunko.dengeki.com/new/bunko1009.php#new6 】
岩田 先生が惚れ込むのもムリはない、と言いますか 涼香 先生のイラストが二人の
「はな」、“花” と “華” の魅力をより一層引き立てております。海水浴の他に
露天風呂にも入りますし。挿絵指定にも抜け目はありませんことよ。(w
“夕” に対する “花” と “華” の時に大胆で、時に繊細なアプローチの数々は
相変わらず見ていて楽しいところ。加えて 「演じる」 ということに関する “花” の
変化、それに対する “華” が感じた想いの吐露、と繊細な機微の描写が何とも素敵で。
“華” の演技を知るが故に「どうして、ダブル主演なの?」問いかけた “蘭子” も
クランクアップを迎えた二人の熱の入れ様に 「だぶるはな」 の必要性を認識したこと
でしょう。“夕” 自身もそれを改めて強く思い直したことと思います。
そんな彼が次に挑むのは・・・・ということでカメラマンとして、監督として胸に抱いた
一つの願いがどういった実を結ぶことになるのか、続きを楽しみにしておきます。
『Baby Princess(5)』
著者/公野櫻子
カバーイラスト/みぶなつき
口絵・本文イラスト/若月さな
以上敬称略、ということで 「電撃G'sマガジン」 でも連載企画が好評進行中となる
『Baby Princess』 ノベライズも巻を重ねて5巻目の刊行を迎えております。
【 http://dengekibunko.dengeki.com/new/bunko1009.php#new14 】
海へ泳ぎに行って、温泉につかって・・・・と読者ならびに “陽太郎” にとってみれば
至福の時、と言いますか眼福の時というイベント尽くしではありますが、それと同じ
くらい深刻かつ重大なトラブルに見舞われてもいるところで。
“麗” の水着騒動であったり、“綿雪” が心許しているのを見て嫉妬する “氷柱”
との一幕であったり、“螢” との距離の縮み具合であったりと姉妹たちとの仲も更に
良好なものとなってきているところで
「オマエと──私は家族じゃない」
・・・と深く、静かに言い切った “ヒカル” の一言。内に秘めた決意の吐露が、彼女の
思いもよらぬ事態へと波及して、“陽太郎” が19人の姉妹と共に在ることへの改めての
問いかけに繋がりつつの引き具合。どちらに話が倒れるのか、続刊が待ち遠しい所です。
カバーイラスト/みぶなつき
口絵・本文イラスト/若月さな
以上敬称略、ということで 「電撃G'sマガジン」 でも連載企画が好評進行中となる
『Baby Princess』 ノベライズも巻を重ねて5巻目の刊行を迎えております。
【 http://dengekibunko.dengeki.com/new/bunko1009.php#new14 】
海へ泳ぎに行って、温泉につかって・・・・と読者ならびに “陽太郎” にとってみれば
至福の時、と言いますか眼福の時というイベント尽くしではありますが、それと同じ
くらい深刻かつ重大なトラブルに見舞われてもいるところで。
“麗” の水着騒動であったり、“綿雪” が心許しているのを見て嫉妬する “氷柱”
との一幕であったり、“螢” との距離の縮み具合であったりと姉妹たちとの仲も更に
良好なものとなってきているところで
「オマエと──私は家族じゃない」
・・・と深く、静かに言い切った “ヒカル” の一言。内に秘めた決意の吐露が、彼女の
思いもよらぬ事態へと波及して、“陽太郎” が19人の姉妹と共に在ることへの改めての
問いかけに繋がりつつの引き具合。どちらに話が倒れるのか、続刊が待ち遠しい所です。