田口仙年堂 先生が綴る、残酷な世界に抗う青年と子供達の、痛みと優しさの物語。
イラストレーターの交代、という止む無い事態を乗り越えついに終幕の時を迎えます。
(イラスト:鉄雄 先生)
【 http://www.enterbrain.co.jp/fb/pc/08shinkan/08shinkan.html#_06 】
そもそも 「魔人」 とは何なのか。「魔王」 や 「英雄」 とはどこから生まれたのか。
二十年前に起こった 「魔王戦争」 の真実が明らかになっていくにつれ、人の罪深さと
責任を果たす上で起きてしまった事象へのやるせなさが “エイゴ” たちに、そして
“ハイナート” の胸に去来します。もちろん、読み手にも伝わるものがありました。
それでも 「魔人」 と呼ばれ蔑まれてきた子供たちを救おうと立ち向かう “エイゴ”。
「英雄」 を神聖視するあまり、その事実が受け入れられず鬼神と化す “ハイナート”。
二人の自我が相対する王宮での一幕は熱く、胸に残るシーンであったと思います。
罪深きを認め、されど臆することなく未来へと進もうとする想い。これを体現せしめた
象徴とも言える存在が “アプリール” だったのではないかと読み返してみて思います。
最終的に大団円な形で幕を引いて下さったのでとても心地良い読了感でした。
そんな秀作を生み出してくれた 田口 先生と、この挿絵が無かったら手に取らなかった
かもしれないとも思える 鉄雄 先生、そして 朝未 先生に厚く御礼申し上げる次第です。
そして 田口 先生の既シリーズ刊行、新作の発表を楽しみに待たせてもらうことにします。
2010年08月14日
『星図詠のリーナ(3)』
『桐野くんには彼女がいない!?』 の刊行を挟みつつ 川口士 先生が送るマッピング・
ファンタジー。惜しまれるところではありますが最終巻という位置付けとなります。
(絵 : 南野彼方 先生)
【 http://www.shop.ichijinsha.co.jp/book/booksearch/booksearch_detail.php?i=75804164 】
海図の知識を習得すべく 「ビクラード王国」 へと向かった “リーナ” たちの行動を
妨げる要因、祖国 「イーデン王国」 との確執からくる妨害を深慮遠謀ではねのける
“パルヴィ” の頼もしさが目を見張ります。
そんなゴタゴタの中で、“ダール” も “リーナ” へと向く意識を内心誤魔化しきれなく
なったり、“サラ” の思わぬ過去と資質が明らかになったり、“パルヴィ” の “リーナ” に
対するわだかまりの本質とそれの解けていく様子が垣間見えたり、と見所も多いです。
ニヴルと呼ばれる海の妖精 “ティファーネ” に導かれて出会った古き時代の白き竜
“ロヒカール” から語られた 「星図詠」 という存在、彼の願いである虚空での死が
意味するもの。それらがいかにも幻想的で素敵な情景を生み出してくれていました。
ラストもまぁ、前向きな終わり方をしてくれているのですが・・・・やっぱりここで終幕
というのが勿体無い気がしてなりません。とは言え、ひとまずここは 川口士 先生に
お疲れ様でした、のお声掛けと次作品への出会いを心待ちにすることと致します。
ファンタジー。惜しまれるところではありますが最終巻という位置付けとなります。
(絵 : 南野彼方 先生)
【 http://www.shop.ichijinsha.co.jp/book/booksearch/booksearch_detail.php?i=75804164 】
海図の知識を習得すべく 「ビクラード王国」 へと向かった “リーナ” たちの行動を
妨げる要因、祖国 「イーデン王国」 との確執からくる妨害を深慮遠謀ではねのける
“パルヴィ” の頼もしさが目を見張ります。
そんなゴタゴタの中で、“ダール” も “リーナ” へと向く意識を内心誤魔化しきれなく
なったり、“サラ” の思わぬ過去と資質が明らかになったり、“パルヴィ” の “リーナ” に
対するわだかまりの本質とそれの解けていく様子が垣間見えたり、と見所も多いです。
ニヴルと呼ばれる海の妖精 “ティファーネ” に導かれて出会った古き時代の白き竜
“ロヒカール” から語られた 「星図詠」 という存在、彼の願いである虚空での死が
意味するもの。それらがいかにも幻想的で素敵な情景を生み出してくれていました。
ラストもまぁ、前向きな終わり方をしてくれているのですが・・・・やっぱりここで終幕
というのが勿体無い気がしてなりません。とは言え、ひとまずここは 川口士 先生に
お疲れ様でした、のお声掛けと次作品への出会いを心待ちにすることと致します。
2010年08月13日
2010年08月07日
『カンピオーネ!(7) 斉天大聖』
丈月城 先生が銘打つ 「東映まんが祭り的クロスオーバー」 な話の後半部であり、
ラブコメ的に確変状態へと突入する 「草薙護堂のターン」 な展開を見届けました。
(イラスト/シコルスキー 先生)
【 http://dash.shueisha.co.jp/-campione/#b07 】
“護堂” さんマジでハンパ無い。そして彼の所業が如何に凄いかを 丈月 先生による
文字の描写を元に、最終的に シコルスキー 先生のイラストへ至るまでどれだけ想像
できるか、という読み手の妄想力を今までで一番試されたような気がします。
・・・というか 「弟」 で来るとは。「決定的な仕事をやってのける。まさしく怪物」と
“リリアナ” が認めざるを得ないのも納得というか。知らぬのは本人ばかりなり、にも
ほどがあると思うんですが、まぁ、ぶっちゃけ面白いのでGO!GO!ってトコですね。
神と神殺し、カンピオーネとの闘いも形勢がひっくり返されての連続で、本作を単なる
ラブコメに留めない熱さが十二分に内包されていたと思います。ラストではまだまだ
見えざる敵の存在も見え隠れしていて、まさに先が楽しみと言うしかないでしょう。
ラブコメ的に確変状態へと突入する 「草薙護堂のターン」 な展開を見届けました。
(イラスト/シコルスキー 先生)
【 http://dash.shueisha.co.jp/-campione/#b07 】
“護堂” さんマジでハンパ無い。そして彼の所業が如何に凄いかを 丈月 先生による
文字の描写を元に、最終的に シコルスキー 先生のイラストへ至るまでどれだけ想像
できるか、という読み手の妄想力を今までで一番試されたような気がします。
・・・というか 「弟」 で来るとは。「決定的な仕事をやってのける。まさしく怪物」と
“リリアナ” が認めざるを得ないのも納得というか。知らぬのは本人ばかりなり、にも
ほどがあると思うんですが、まぁ、ぶっちゃけ面白いのでGO!GO!ってトコですね。
神と神殺し、カンピオーネとの闘いも形勢がひっくり返されての連続で、本作を単なる
ラブコメに留めない熱さが十二分に内包されていたと思います。ラストではまだまだ
見えざる敵の存在も見え隠れしていて、まさに先が楽しみと言うしかないでしょう。
『迷い猫オーバーラン!(9) わたしがみんなに護られてるの♪』
TVアニメの放映も終了し、Blu-ray&DVDのリリースが続く 松智洋 先生、ぺこ 先生の
『迷い猫オーバーラン!』 原作第9巻。加速する恋の嵐を体感してきたところです。
【 http://dash.shueisha.co.jp/-mayoineko/#b09 】
“乙女” の求婚騒動で “巧” にも心境の変化が。その表れとして “心” と真摯に
向き合って誠実な回答を寄越してきた、と思っていますが。“千世” も偶然とは言え
キスしただけじゃ一歩リードにはならないんだゾ? 的な側面もあるかも知れません。
“巧” が成長していこうとやっきになっている描写の連続で思わずそういった展開も
考えましたけど、まぁ、何と言いますか、“乙女” さんは周りをよく見ちょる、という
ことで良いオブザーバーだなぁ、と感じたり。
それにしても “柴田” の立ち位置が明確になっていませんねぇ。この巻のあの流れ
からすれば何か仕掛けてきてもいいのでは、と思ったんですが。“千世” と “文乃”、
そして “希” の関係がどう変化するのかも含めて続きに期待、でしょうか。
『迷い猫オーバーラン!』 原作第9巻。加速する恋の嵐を体感してきたところです。
【 http://dash.shueisha.co.jp/-mayoineko/#b09 】
“乙女” の求婚騒動で “巧” にも心境の変化が。その表れとして “心” と真摯に
向き合って誠実な回答を寄越してきた、と思っていますが。“千世” も偶然とは言え
キスしただけじゃ一歩リードにはならないんだゾ? 的な側面もあるかも知れません。
“巧” が成長していこうとやっきになっている描写の連続で思わずそういった展開も
考えましたけど、まぁ、何と言いますか、“乙女” さんは周りをよく見ちょる、という
ことで良いオブザーバーだなぁ、と感じたり。
それにしても “柴田” の立ち位置が明確になっていませんねぇ。この巻のあの流れ
からすれば何か仕掛けてきてもいいのでは、と思ったんですが。“千世” と “文乃”、
そして “希” の関係がどう変化するのかも含めて続きに期待、でしょうか。