2009年11月28日

『C3 ─シーキューブ─(8)』

平積みする書店員さんの気持ちも考えましょう(苦笑)、ということでオビがあることで
かえって目を奪われてしまう さそりがため 先生の表紙イラストが目印のシリーズ第8巻。
ライトノベル界の 「美幼女」 こと 水瀬葉月 先生が今巻も魅力あるストーリーを綴ります。

http://dengekibunko.dengeki.com/new/bunko0911.php#new5


「ちゃんと着けてます。」って・・・・どう見ても「はいてない」ようにしか見えない。(w


時はクリスマス。サンタクロースにご執心な “フィア”。バイトでサンタ姿に身を装って
浮かれた雰囲気の陰に潜む 《サンタ狩り》 の存在。その行動の意味、そして犯人像に
迫る中で偶然手にした「呪われた道具」に秘められし死者をも蘇らせるという力。

その力の存在に気付いたとき、対象として結びついてしまった一人の少女。本当に願いが
叶うのなら「呪い」の力に頼ってもいいのか、という逡巡、そして葛藤。全てが見えて
相対する敵に向ける刃。心の迷いが勢いを殺ぎ、窮地を生み、希望を薙ぎ、そして──。

・・・という感じで、「人間臭さ」 が随分と身についてきた “フィア” たちの機微に、
そして明らかになった 「あの人(たち)」 の正体とそれを知るに至る過程。更にラストの
心温まる「クリスマスの贈りもの」に注目です。とても読み甲斐のある展開でした。


それにしても “錐霞” さんが益々もって可愛らしい。単独挿絵指定が2枚あっていずれも
ピンポイントでイイところを選んでるのがまた何とも。個人的にイチオシのシーンでした。

巻末特別企画「ラフイラスト集」もページ調整のためボリューム大きめでしたし、またまた
楽しませてもらいました。引き続き次巻以降の刊行、そして 東条さかな 先生のイラストで
1月刊行予定の新作『藍坂素敵な症候群』も気になるところで楽しみなことこの上ないです。

posted by 秋野ソラ at 00:16 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

『偽りのドラグーン(2)』

三上延 先生、椎名優 先生でお送りする、竜騎士と騎竜を養成する機関「騎士学院」を
舞台にした学園ファンタジーの第2巻が刊行されております。

http://dengekibunko.dengeki.com/new/bunko0911.php#new15


うぉお〜〜、有頂天になってんじゃねぇ〜〜、ウジウジしすぎだろぉ〜〜、と何度も
やきもきさせられるシーンを連発してくれる “ジャン” でしたが、“ティアナ”
だって実は・・・というところに気付いてようやく男らしいところを見せてくれました。

いやぁ、これはもう 三上延 先生にまんまと踊らされた、と言うしかありませんね。
中々に良質な話の運び方でした。ラストの風雲急を告げる展開、さらに明らかになった
大きな「偽り」がどう影響してくるのか、引き続き楽しみな流れとなっています。

・・・それにつけても “クリス” が一気に可愛さを帯びて参りました。椎名優 先生の
口絵と挿絵が示す何気ない仕草に垣間見えるそれが何ともたまらないと言いますか、
明らかにお気に入りなキャラです。“アダマス” に気を許すような人の良さも含めて。

posted by 秋野ソラ at 00:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

『血吸村へようこそ(3)』

阿智太郎 先生、あらきかなお 先生でお送りする、可愛い吸血鬼たちが織り成す
ドタバタ・コメディも文庫オリジナル展開へと進む第3巻の刊行を迎えております。

http://dengekibunko.dengeki.com/new/bunko0911.php#new9


第2巻の〆から雑誌掲載分とは袂を分かつ展開となったワケですが、今巻はほんの少し
コメディ色を落としてシリアス、というかやや重めな話2本が収められています。

吸血鬼になる前のことを何も覚えていない “エリ子” が “直樹” と共に見つけた
1つの証拠を元に過去を探り、その先に辿り着いた欲望まみれの陰謀の果て──。

長年放置されていた倉庫を演劇部の物置として使うべく “季代実” と “直樹” が
二人っきりで片付けをしている際に見つけた「十文字ワクチン」なる謎の液体。それが
英語担当の “平山” 先生が叶わぬ恋を成就できると信じていたのに──。

・・・と、適切な人に 「報告・連絡・相談」 することの大切さを説いた内容でした。(ぇ


そう言えば、初めに読んでいて違和感を感じていた何かが、読み返してみて分かりました。
本文中に挿絵指定が無いんです。口絵と表題、話が終わったあとの1ページに各キャラの
イメージにぴったりな あらきかなお 先生のイラストは挟んであるんですけど。

電撃文庫にしてはちょっと珍しいパターンかと感じました。

posted by 秋野ソラ at 00:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

『狼と香辛料(13) Side Colors III』

支倉凍砂 先生、文倉十 先生でお送りする『狼と香辛料』シリーズ13冊目は “ノーラ” を
主役とした中編のほか、計4本立ての短編集となります。

http://dengekibunko.dengeki.com/new/bunko0911.php#new2


“ロレンス” と “ホロ” の戯れぶりは相も変わらず見ていて微笑ましい、それこそ
犬も食わない某のようなほどですが、やはり今巻で注目すべきは “エネク” の視点で
綴られた中編 「羊飼いと黒い騎士」 ということになるかと思います。


時には人から妬まれるほどに勤めた羊飼いという職を廃業し、夢であった服の仕立て職人
となる道を探るべく向かった、疫病によって人口を半分にまで激減させられた街「クスコフ」。

そこで目にした現実は決して “ノーラ” にとって優しいものではなく、人間が持つ
むき出しとなったエゴを突きつけられる結果となりました。しかし、それに直面しても
お人好しで心優しい自我を忘れることなく振舞った彼女の言動はまさに誇り高きもの。

願わくば彼女の選んだ道に幸あらんことを。読了後にまず思ったのはその想いのみ。
彼女が扉を開けた先に何があるか。それに思いを馳せるためにも目を通しておいて
損は無いかと思います。

posted by 秋野ソラ at 00:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

『とある魔術の禁書目録(インデックス)(19)』

鎌池和馬 先生、灰村キヨタカ 先生でお送りする『とある魔術の禁書目録(インデックス)』
シリーズ21冊目。本編から軸を少しシフトして第15巻の「学園都市の暗部」続編となります。

http://dengekibunko.dengeki.com/new/bunko0911.php#new1


「アイテム」 の元構成員である “浜面” がここまでに出てくるとは思ってもいません
でしたが、熱い想いと勘違いで今回も「レベル0」らしからぬ活躍を見せてくれました。

また、その陰で “一方通行(アクセラレータ)” を始めとする 「グループ」 の総力戦が
行われており、こちらも息をつく間も与えぬような怒涛の展開を魅せてくれました。

ピンチとチャンスが何度も入れ替わり、悲劇と喜劇が何度もその立ち位置を変える。
そんな千変万化のストーリーは “上条” とは違う立場だからこそ生み出せるものかと。

更にここからお話は 「ロシア」 という共通の地へとそのベクトルを向けていくことに
なります。離散したラインが1つに交わるとどうなるのか。「禁書目録(インデックス)」
というキーワードに改めて焦点が定まる次巻の刊行が待ち遠しいところです。

posted by 秋野ソラ at 00:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル