前々から買っておいて「読もう、読もう」と思いながらも「積ん読」になっていた、
片山憲太郎 先生の「スーパーダッシュ小説新人賞」受賞作を読み終えました。
(イラストは 『紅』 と同じ 山本ヤマト 先生が担当)
【 http://dash.shueisha.co.jp/-denpa/ 】
「3巻で終わるのはもったいない」という想いと「3巻で潔い終わり方をした」という
印象とが心の中でせめぎ合う、そんな読了感が今でも残っています。導入から結末に
至るまでの過程、背景、切り返しも筋が通っていて間違いなく良作だと思います。
人間関係は 『紅』 にも通じるところがありますし、そういった繋がりを感じ取って
楽しむという手もアリでしょうね。“紅香” なんかアレじゃ何してるヒトか、正直
分からないところはあるでしょうけど。
対峙する相手の凶行も、当人からすれば「筋は通っている」ワケですが周りからすれば
異常以外の何物でもないワケで。そのあたりの心象についてはワリと一般人寄りな主人公
“ジュウ” の視点から描くことで巧みに表現できていたような気がします。
“雨” も最初はただの 「電波な少女」 みたいな印象を受けましたけど、そんな彼女の
行動自体も 「筋は通っている」 ことに気がつくと 「健気なコやなぁ・・・」 といつの間にか
感触が好ましく変わっていたり。自分でもちょっとビックリしました。
3巻のラストは、また見事な切り返しでしたね。ついつい何度か読み返してしまいました。
「これで終わりか〜」と思わせておいてのアレですからねぇ。まさに「ヤラレタ!」という
感じでした。繰り返しますが、読んでおいて損はしない作品だと思います。