2008年07月16日

『電波的な彼女』シリーズ

前々から買っておいて「読もう、読もう」と思いながらも「積ん読」になっていた、

片山憲太郎 先生の「スーパーダッシュ小説新人賞」受賞作を読み終えました。

(イラストは 『紅』 と同じ 山本ヤマト 先生が担当)

http://dash.shueisha.co.jp/-denpa/


「3巻で終わるのはもったいない」という想いと「3巻で潔い終わり方をした」という

印象とが心の中でせめぎ合う、そんな読了感が今でも残っています。導入から結末に

至るまでの過程、背景、切り返しも筋が通っていて間違いなく良作だと思います。

人間関係は 『紅』 にも通じるところがありますし、そういった繋がりを感じ取って

楽しむという手もアリでしょうね。“紅香” なんかアレじゃ何してるヒトか、正直

分からないところはあるでしょうけど。


対峙する相手の凶行も、当人からすれば「筋は通っている」ワケですが周りからすれば

異常以外の何物でもないワケで。そのあたりの心象についてはワリと一般人寄りな主人公

“ジュウ” の視点から描くことで巧みに表現できていたような気がします。

“雨” も最初はただの 「電波な少女」 みたいな印象を受けましたけど、そんな彼女の

行動自体も 「筋は通っている」 ことに気がつくと 「健気なコやなぁ・・・」 といつの間にか

感触が好ましく変わっていたり。自分でもちょっとビックリしました。

3巻のラストは、また見事な切り返しでしたね。ついつい何度か読み返してしまいました。

「これで終わりか〜」と思わせておいてのアレですからねぇ。まさに「ヤラレタ!」という

感じでした。繰り返しますが、読んでおいて損はしない作品だと思います。

posted by 秋野ソラ at 19:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル