最条真 先生の「第21回ライトノベル新人賞・佳作」受賞作。望みを叶えるために不死の
呪いを受けた少女が、彼女に告白してきた少年に殺されることを願う話の行方を描きます。
(イラスト:luna 先生)
【 https://mfbunkoj.jp/product/majyo_doku/322507001494.html 】
偶然の出会いから同級生へ、隣の席で話も弾むようになり“浅葱”が“胡桃沢”に恋心を
抱いて臨む2人きりの卒業旅行。意を決して告白した彼に彼女は刃物で首を切って応える。
溢れ出る青い血は死ねない魔女の証と明かす彼女は、殺してほしいと彼に懇願するが──。
“胡桃沢”を死なせない。大好きと言われて嬉しい心を抑えて、友達として好きだと貫く。
彼女からの積極的な態度を、心を鬼にして拒み続ける“浅葱”のやせ我慢ぶりには同情を
禁じ得ない。一見ラブコメさながらの日々を彼女の「告白」が台無しにする展開には驚嘆。
“浅葱”を助けたい。悪魔の力に振り回され続けた彼にそう思う人がいることに救われる。
“胡桃沢”の易怒性と向き合う力を得た彼が感情を曝け出し、ぶつけ合って辿り着く先に
待つ光景は更なる波乱の幕開けを感じさせて実に興味深い。続きが楽しみなシリーズです。
2025年12月17日
2025年12月16日
『殺されて当然と少女は言った。』
空洞ユキ 先生の「第21回ライトノベル新人賞・佳作」受賞作。県会議員を務める父親を
殺害された少女が、その死を容認したことで人生を狂わされていく人々の顛末を描きます。
(イラスト:博 先生)
【 https://mfbunkoj.jp/product/touzen_shoujyo/322507001482.html 】
「報道が事実であれば、父は殺されても仕方がないと思います」と会見で“理央”は話す。
父の殺害を許容する娘に母“由依”は拒絶反応を示し、倒れ込んでしまう。支えてくれる
刑事“祥子”に対し、彼女は娘の特殊性を示すべく中学時代の虐めの話を語り始める──。
“理央”を囲む相関図の中で“由依”や“祥子”、恋人の“北条”、暴露動画を配信する
“阿南”、そして父を殺した犯人“隅田”が彼女とどんな係わりを持ち、心を弄ばれるか。
当事者ごとに焦点を当ててドキュメンタリーとして描く内容が妙に現実的で驚かされます。
“理央”のことを本に纏めて出版したい、と考えるノンフィクション作家“西宮”の視点。
それすらもお見通しという彼女の人心掌握術に空恐ろしさを覚えつつ、理想を求める姿に
興味を抱かずにはいられない。世界との係わりを模索し続ける先に何が待つのか注目です。
殺害された少女が、その死を容認したことで人生を狂わされていく人々の顛末を描きます。
(イラスト:博 先生)
【 https://mfbunkoj.jp/product/touzen_shoujyo/322507001482.html 】
「報道が事実であれば、父は殺されても仕方がないと思います」と会見で“理央”は話す。
父の殺害を許容する娘に母“由依”は拒絶反応を示し、倒れ込んでしまう。支えてくれる
刑事“祥子”に対し、彼女は娘の特殊性を示すべく中学時代の虐めの話を語り始める──。
“理央”を囲む相関図の中で“由依”や“祥子”、恋人の“北条”、暴露動画を配信する
“阿南”、そして父を殺した犯人“隅田”が彼女とどんな係わりを持ち、心を弄ばれるか。
当事者ごとに焦点を当ててドキュメンタリーとして描く内容が妙に現実的で驚かされます。
“理央”のことを本に纏めて出版したい、と考えるノンフィクション作家“西宮”の視点。
それすらもお見通しという彼女の人心掌握術に空恐ろしさを覚えつつ、理想を求める姿に
興味を抱かずにはいられない。世界との係わりを模索し続ける先に何が待つのか注目です。
2025年12月15日
『やぁ“登校”に挑めニンゲン 〜ゲーマー共は武器を片手に歪んだ校舎を踏破する〜』
罠和ノワナ 先生の「第21回ライトノベル新人賞・最優秀賞」及び「鈴木大輔賞」受賞作。
AIが「触れるホログラム」を駆使して生成する迷宮を舞台にラブコメディを繰り広げます。
(イラスト:らうと 先生)
【 https://mfbunkoj.jp/product/ya-toukou/322507001490.html 】
eスポーツの超名門校へ進学した“晴斗”に訪れる恋の始まり。相手は生徒会長の“七姫”。
彼女が望む恋人は女性だという彼には為す術なし・・・かと思いきや《イーテル》、触れて
本物と区別がつかないホログラムを使えば女性にもなれるはずだと彼は覚悟を決める──。
知性と個性を獲得した人工知能が作る謎多き迷宮攻略に挑む少年少女たち、という背景を
置きながら、女の子も大好きな“白乃”が“七姫”にもたらした誤解や特殊な性的嗜好が
“晴斗”の恋路に回り道をさせるラブコメディが話の大筋を担う構成になっていて面白い。
人工知能に感じる得体の知れなさを演出する迷宮攻略の描写も抜かりなくて。“晴斗”の
スタイル、そしてセンスがもたらす戦いぶりが熱く、“七姫”の心も揺さぶる展開は見所。
彼の友人“蓮司”とのやり取りも興味深く注目要素が満載。続きが楽しみなシリーズです。
AIが「触れるホログラム」を駆使して生成する迷宮を舞台にラブコメディを繰り広げます。
(イラスト:らうと 先生)
【 https://mfbunkoj.jp/product/ya-toukou/322507001490.html 】
eスポーツの超名門校へ進学した“晴斗”に訪れる恋の始まり。相手は生徒会長の“七姫”。
彼女が望む恋人は女性だという彼には為す術なし・・・かと思いきや《イーテル》、触れて
本物と区別がつかないホログラムを使えば女性にもなれるはずだと彼は覚悟を決める──。
知性と個性を獲得した人工知能が作る謎多き迷宮攻略に挑む少年少女たち、という背景を
置きながら、女の子も大好きな“白乃”が“七姫”にもたらした誤解や特殊な性的嗜好が
“晴斗”の恋路に回り道をさせるラブコメディが話の大筋を担う構成になっていて面白い。
人工知能に感じる得体の知れなさを演出する迷宮攻略の描写も抜かりなくて。“晴斗”の
スタイル、そしてセンスがもたらす戦いぶりが熱く、“七姫”の心も揺さぶる展開は見所。
彼の友人“蓮司”とのやり取りも興味深く注目要素が満載。続きが楽しみなシリーズです。
2025年12月12日
『血脈のナイトメア 天久鷹央の事件カルテ』
知念実希人 先生が贈る本格医療ミステリー。TVドラマの放映も大好評の後に贈る新作は
臓器提供者の記憶と思われる夢を見るようになった、という男性を“鷹央”が診断します。
(イラスト:いとうのいぢ 先生)
【 https://www.j-n.co.jp/books/978-4-408-55987-2/ 】
【 https://www.tv-asahi.co.jp/ameku-takao/ 】
【 https://atdk-a.com/ 】
“北川”が夢に見る、森の中で見知らぬ誰かに鉄の棒で頭を殴られる光景。プロローグの
一面とも整合性が見られる点からも「臓器の記憶」があり得る可能性はどう否定されるか。
偶然の一つ一つが積み重なって必然へと転じていく事件の真相には毎度驚かされるばかり。
謎を解くための鍵「記憶」の有識者として、満を持しての登場となる“翼”。“鷹央”と
同族嫌悪ぶりを見せる所や、地の文と実際の台詞とで会話が成り立つことに“小鳥遊”が
驚異と脅威を感じる様子は面白い風景。事件を動かしてしまう“翼”の使われ方も絶妙で。
また「暴力団」というキーワードから、過去に『神話の密室』の書き下ろしでも登場した
“朝霧”が顔を覗かせるワケですが、“柊”の名も出てきたことから『リアルフェイス』
のクロスオーバーも『読心カルテ』に続き期待できそう。楽しみが増えるというものです。
臓器提供者の記憶と思われる夢を見るようになった、という男性を“鷹央”が診断します。
(イラスト:いとうのいぢ 先生)
【 https://www.j-n.co.jp/books/978-4-408-55987-2/ 】
【 https://www.tv-asahi.co.jp/ameku-takao/ 】
【 https://atdk-a.com/ 】
“北川”が夢に見る、森の中で見知らぬ誰かに鉄の棒で頭を殴られる光景。プロローグの
一面とも整合性が見られる点からも「臓器の記憶」があり得る可能性はどう否定されるか。
偶然の一つ一つが積み重なって必然へと転じていく事件の真相には毎度驚かされるばかり。
謎を解くための鍵「記憶」の有識者として、満を持しての登場となる“翼”。“鷹央”と
同族嫌悪ぶりを見せる所や、地の文と実際の台詞とで会話が成り立つことに“小鳥遊”が
驚異と脅威を感じる様子は面白い風景。事件を動かしてしまう“翼”の使われ方も絶妙で。
また「暴力団」というキーワードから、過去に『神話の密室』の書き下ろしでも登場した
“朝霧”が顔を覗かせるワケですが、“柊”の名も出てきたことから『リアルフェイス』
のクロスオーバーも『読心カルテ』に続き期待できそう。楽しみが増えるというものです。
2025年12月11日
『このクリニックはつぶれます!2 ─医療コンサル高柴一香の診断─』
午鳥志季 先生が現役医師として世に贈る医療お仕事エンタメ。第2巻は経営を立て直した
「いわざき内科クリニック」の勢いへ水を差す様にCOVID-19の変異株が猛威を振るいます。
(イラスト:456 先生)
【 https://www.shinchosha.co.jp/book/180318/ 】
高田馬場に開業した分院を新任の医師“時田”に委ねようと考える“岩崎”。その両者を
牽制する“高柴”の厳しさは相変わらずで。“岩崎”は慣れたものですが、“時田”には
それが堪えるのも無理はなく、結果、足元を掬われる要素に繋がるのが彼女の玉に瑕な所。
発熱外来は儲からない。金にがめつい“坂崎”は経営者としてやりたがらないのに対して
“岩崎”は医者として投げ出そうとはしない。そこが損益分岐点の分かれ目という厳しい
現実を突きつけられた上に冒頭のプロローグが示した事態に陥るのが絶望的すぎてつらい。
命は金よりも重い。それを証明すべく“岩崎”の知らない所で手を打っていた“高柴”の
手際の良さ、対策の効果は胸がすくばかりで。彼の「人たらし」ぶりを認識する人が他に
いる、というのが救いでもあります。エピローグも明るい未来が感じられて実に良いです。
「いわざき内科クリニック」の勢いへ水を差す様にCOVID-19の変異株が猛威を振るいます。
(イラスト:456 先生)
【 https://www.shinchosha.co.jp/book/180318/ 】
高田馬場に開業した分院を新任の医師“時田”に委ねようと考える“岩崎”。その両者を
牽制する“高柴”の厳しさは相変わらずで。“岩崎”は慣れたものですが、“時田”には
それが堪えるのも無理はなく、結果、足元を掬われる要素に繋がるのが彼女の玉に瑕な所。
発熱外来は儲からない。金にがめつい“坂崎”は経営者としてやりたがらないのに対して
“岩崎”は医者として投げ出そうとはしない。そこが損益分岐点の分かれ目という厳しい
現実を突きつけられた上に冒頭のプロローグが示した事態に陥るのが絶望的すぎてつらい。
命は金よりも重い。それを証明すべく“岩崎”の知らない所で手を打っていた“高柴”の
手際の良さ、対策の効果は胸がすくばかりで。彼の「人たらし」ぶりを認識する人が他に
いる、というのが救いでもあります。エピローグも明るい未来が感じられて実に良いです。