2020年05月26日

『日和ちゃんのお願いは絶対』

岬鷺宮 先生が贈る新作は、紛争が絶えない世界で、どんな人も逆らえない「お願い」が
できる能力をもつ少女と、その恋人となる少年の数奇な運命を描くセカイ系の恋物語です。
(イラスト:堀泉インコ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/hiyori_onegai/322002000075.html


高校で隠れファンも多い級友“日和”から感じる好意を、告白という形で受ける“深春”。
気持ちは嬉しいが断るつもりでいた彼だが、彼女が落とした「お願い帳」を拾い目にした
文面からある可能性を思い浮かべるが、それを超える秘密を彼女から打ち明けられる──。

普通の少女に見える“日和”が、今や世界を密かに左右する要人であるということ、命の
やり取りする覚悟すら持つという立場であるということを、恋人という距離感で目にする
“深春”。彼が彼女を好きでい続けられるか、を問い詰めていく緊迫感が見どころの一つ。

2人の絆を結ぶ鍵を握る“深春”の幼なじみ“卜部”がもうホントにいい子で、隣にいる
ことが自然すぎるのがネックになるのはもったいないと思える存在。彼女に後押しされた
彼が“日和”の「お願い」とどう向き合うか決心した、その顛末に仄かな救いを見ました。

posted by 秋野ソラ at 00:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年05月25日

『楽園ノイズ』

約2年ぶりとなる 杉井光 先生の電撃文庫新作はボーイ・ミーツ・ガールズ・ストーリー。
女装して演奏した動画をきっかけにして高校生活が活気づいていく少年の青春を描きます。
(イラスト:春夏冬ゆう 先生)

https://dengekibunko.jp/product/paradise_noise/322001000035.html


演奏動画の閲覧数を上げるため女装していることを知られた弱みから音楽教諭の手伝いを
する羽目になった“真琴”。その教諭に嫌がらせ満載の編曲をした譜面を渡そうとしたら
それを完璧に弾いてしまう少女と出会う。プロ級の技量をもつ彼女は訳アリのようで──。

“凛子”を始めとして、技巧を持ちながらもその音を楽しめない悩みを抱える少女たちを
手助けする“真琴”。“詩月”や“朱音”も交え「Musa男」として世に送り出す彼の曲に
惚れ込み、衝突しながら心を通わせる展開は懐かしくも新しい、先生ならではの青春物語。

音楽好きが集まれば自然と向かっていく流れ。プレイヤーとして彼女らをリスペクトする
彼の振舞い、その心情を知りながら活を入れる“美沙緒”の本音、そしてQRコードの演出。
読んで心震わせる先生の音楽青春モノに再び出会えた幸運に感謝を。オススメの一作です。

posted by 秋野ソラ at 00:26 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年05月22日

『着せ替えは心変わりを呼び起こさない!』

古宮九時さんが「Unnamed Memory Act.2」を舞台に日常の事件を描く書き下ろし同人小説。
競売に掛けられる「人の心を変える」指輪を巡って“オスカー”たちが首を突っ込みます。
(イラスト:藤崎ゑる(くん) さん)

https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=651846


片づけていたヴェールをたまたま着けていた“ティナーシャ”。その艶姿を見た流れから
“オスカー”が彼女を着せ替え人形のように扱うやりとりが面白い。けれどその胸の内に
秘める焼けつくような熱量を表に出さずにいる彼の気丈さは立派でありながら実に切ない。

服の仕立てで世話になっている商家に纏わる「人の心を変える」という指輪。事の真偽を
確かめるべく競売の席に踏み込む2人が場を荒らしまくる展開が楽しい。もちろん彼女の
無邪気な言動に心かき乱されながらも、立場を弁え達観する彼には同情を禁じ得ない訳で。

「人の心を変える」指輪を見よう見まねで自作できてしまう“ティナーシャ”のすごくて
ポンコツな実力が、この騒動の意外な真実を見抜く結末。心も着せ替えることができたら、
タイトルにそんな願いも込められているのではと感じさせるのが本作らしくて絶妙でした。

posted by 秋野ソラ at 00:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | 同人誌

2020年05月21日

『神城リーリャは白百合の香りに恋焦がれる』

ちょきんぎょ。先生が「DIVERSE NOVEL」から贈る新作はガールズラブコメ。名門女学園に
通う特待生に迫る窮地を救ったお嬢様がある言葉を境に一線を超えてしまう様を描きます。
(イラスト:つるこんにゃく 先生)

http://diverse-novel.media-soft.jp/?pid=148552998


成績優秀で陸上競技に秀でる“明日葉”。学年トップで家柄も申し分ない“リーリャ”。
互いに尊敬し合う2人だが、明朗快活な“明日葉”に影が差すのを“リーリャ”は見る。
奇しくも“リーリャ”に助けられた“明日葉”はその恩をどう返すか頭を悩ませて──。

「ボクにできることなら、なんでもする」そう告げる“明日葉”の言葉に、我慢ならない
“リーリャ”が彼女匂いを嗅ぐ、という性癖を晒すギャップが可愛い。相手との距離感と
自分の性格を見誤るほど思慕を重ねる“リーリャ”の葛藤と吹っ切れ方がまた微笑ましい。

そんな“リーリャ”の想いを心で、更に体で受け止める“明日葉”の機微の移り変わりも
見どころの一つ。本気で“リーリャ”を愛することで立場の違いを思い知らされた彼女が
導き出した結論は2人の関係を揺るぎないものにしてくれると期待せずにはいられません。

posted by 秋野ソラ at 00:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年05月20日

『1LDK、そして2JK。II 〜この気持ちは、しまっておけない〜』

福山陽士 先生が贈るサラリーマン×二人の女子高生ホームラブコメ。第2巻は“駒村”が
“奏音”と“ひまり”の想いを感じ取りつつある中、“友梨”がその気持ちを伝えます。
(イラスト:シソ 先生)

https://fantasiabunko.jp/product/2019121ldk2jk/321908000685.html
https://kakuyomu.jp/works/1177354054889696577


“ひまり”のバイト練習につきあってもらい、その可愛らしさを見せつても彼女の想いは
“駒村”には届かない。ついケンカしたりする“奏音”とも、同じ人を好きでいるという
ある意味「戦友」のように心の繋がりを深めていくのが微笑ましいやら、もどかしいやら。

“奏音”も文化祭で“駒村”に晴れ姿を見せたり、恋愛観を探ってみたりとアプローチを
欠かさないワケですが・・・まさか「あの場面」を目の当たりにするとは。運命は実に残酷。
さらに母親との関係にも涙を誘う悲しい出来事があり、同情を禁じ得ないとはこのことで。

まともに考えれば“駒村”に対して“友梨”にアドバンテージがあるのは至極当然な話。
女性陣の気持ちを認識した“駒村”がどう結論を出すのか。家の関係者が迫る“ひまり”
も含めて共同生活の行方はどうなるのか。次巻は大きく話が動きそうで目が離せません。

posted by 秋野ソラ at 00:11 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年05月19日

『少女願うに、この世界は壊すべき 〜桃源郷崩落〜』

小林湖底 先生の「第26回電撃小説大賞・銀賞」受賞作。祈る神からの守護も無く妖魔に
支配される人間の村で迫害を受け続ける妖狐少女の願いを通して世界の命運を描きます。
(イラスト:ろるあ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/syojonegau/321910000144.html


榮凜島に封印された最強の聖仙“彭寿星”。千年の時が経ち、復活して妖魔らを祓うと
信じる巫女“かなめ”の言葉も虚しく、けれど世界を壊す行動も起こせず心を腐らせる
“かがり”。ある日「力が欲しいか?」と幻聴が聞こえたと思えば謎の男が現れて──。

“神津彩紀”の圧倒的な力を見て、不撓不屈の精神で不遇な環境を改善しようと躍起に
なる“かがり”に頑張ってほしいと願う一方で、その力をもってしても覆せない人間の
心の弱さや強敵の猛威に晒される彼女に同情を禁じ得ない展開が続くのがつらいの何の。

“かなめ”に向けられる邪な想い、“神津彩紀”に掛けられる妄執など、様々な苦境を
乗り越える“かがり”が彼と共にこの世界をどう生き抜くのか。彼女だけでなく誰もが
壊したいと図るこの世界が辿り着くのはどの先か。続きに興味が沸く作品だと感じます。

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2020年05月18日

『育ちざかりの教え子がやけにエモい』

鈴木大輔 先生が「ガガガ文庫」から贈る初めての作品はエモ×尊みラブコメ。14歳にして
異彩を放つ早熟な少女をあしらう教師、お隣さんな距離感で複雑な2人の関係を描きます。
(イラスト:DSマイル 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518436


「男子、三日会わざれば刮目して見よ」と言うが、10年もあれば女は化ける。“達也”が
家族ぐるみで交流のあるお隣さんの娘“ひなた”の世話を続けて、いつしか彼女の担任を
務める間柄に。思わせぶりな言動を繰り返す彼女を前に彼は教師として覚悟を決める──。

気さくに話しかけてくれる“ひなた”に憧れを抱く内気な“美優”。彼女の気高さを胸に
刻まれた先輩の“海斗”。性的にも進んでいると噂される彼女の恋愛に興味を示す級友の
“菜月”と“彩夏”。様々な評価を経て醸成される彼女の特異性、不穏な空気が印象深い。

そして“ひなた”を巡って起こる騒動と、その解決に至る顛末を見ても“達也”が彼女を
教職としてベストを尽くす対象と見定める、軸のぶれない考え方に感心と興味が沸きます。
彼と“明日香”との関係や、“ひなた”が見つけた「何か」を見守りたいと思う作品です。

posted by 秋野ソラ at 00:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル