2021年10月15日

『サイレント・ウィッチ II 沈黙の魔女の隠しごと』

依空まつり 先生が贈るファンタジー作品。第2巻は学園生活を通じて新たな出会いや挑戦
に臨む“モニカ”の預かり知らぬ所から“フェリクス”を狙う新たな陰謀が動き始めます。
(イラスト:藤実なんな 先生)

https://kadokawabooks.jp/product/silentwitch/322105000092.html
https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_EB03202357010000_68/
https://ncode.syosetu.com/n8356ga/


“ラナ”や生徒会メンバーとの距離感も少しずつ縮まり、新しく出会った“グレン”や
“ケイシー”も加わり“モニカ”の日常がより騒がしく変化していく展開が微笑ましい。
そんな中、結界に守られる学園に忍び寄る悪意に彼女が気付く所から話が動き始めます。

“マクレガン”先生に身バレしそうになったり、と相変わらず油断ならない“モニカ”。
“クローディア”にも意味ありげな言動をされて振り回される流れが印象的で、その後
フォローに回る“イザベル”の悪役令嬢っぷりが遺憾なく発揮される場面も見所の一つ。

“フェリクス”の身の安全を脅かす犯人は誰か。聡明な“モニカ”だからこそ辿り着き、
思わず冒頭のモノローグを想起させる構成が切ない。それに負けじと“ルイス”に対し
駆け引きを持ち出す彼女の姿には驚きと成長を感じずにいられません。続きも期待です。

posted by 秋野ソラ at 00:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2021年10月14日

『サイレント・ウィッチ 沈黙の魔女の隠しごと』

依空まつり 先生の「小説家になろう」投稿作が書籍化。魔術行使に詠唱が必要な世界で
唯一、無詠唱魔術が使える超人見知りだけど最強な魔術師に纏わるファンタジー作品です。
(イラスト:藤実なんな 先生)

https://kadokawabooks.jp/product/silentwitch/322012000450.html
https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_EB03202357010000_68/
https://ncode.syosetu.com/n8356ga/


過去に王国を半壊した黒竜の再来。その竜害に晒されるはずだった領民らを救った者こそ
15歳で七賢人の一人となった〈沈黙の魔女〉こと“モニカ”。隠棲していた彼女に王国の
第二王子を護衛する密命が下されるものの、重度のあがり症である彼女には荷が重く──。

〈沈黙の魔女〉であることを隠しつつ、顔も知らない第二王子“フェリクス”をどう護衛
するのか。“モニカ”に大恩を感じる“イザベル”の助けを皮切りに、学生の一人として
悪戦苦闘の日々を送る姿を見守るのが面白い。“ルイス”の表裏ある言動も興味深い所で。

やがて“フェリクス”を巡る陰謀に巻き込まれていく“モニカ”が自身の力を使い解決へ
導いていく展開も見事な上に、彼が彼女を普通の学生ではないと見抜きながらも正体には
気付かない加減が実にいい塩梅で。どこまで隠しごとが通用するのか、続きが楽しみです。

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2021年10月13日

『勇者刑に処す 懲罰勇者9004隊刑務記録』

ロケット商会 先生の「カクヨム」投稿作が書籍化。突如、魔王軍が現れる「魔王現象」に
対抗する「勇者」として死ぬことも許されず最前線で戦い続ける罪人たちを描く物語です。
(イラスト:めふぃすと 先生)

https://dengekibunko.jp/product/322103001933.html


懲罰勇者9004隊で動けるのは“ザイロ”“ドッタ”と役立たずの『指揮官』だけ。対する
魔王の軍団は五千。決死の作戦を前にしても盗み癖が絶えない“ドッタ”が奪った棺桶に
いたのは《女神》。契約すれば力は借りれるが“ザイロ”にとっては因縁深い存在で──。

戦いに誇りを持ち、人の役に立とうとする承認欲求が強い《女神》たち。その悲劇を知る
“ザイロ”が女神“テオリッタ”とどう接していくか。守ること、守られることの狭間で
魔王だけでなく、人間世界の暗部との戦いも余儀なくされる彼の振舞いが見どころの一つ。

“ザイロ”“ドッタ”以外にも次々に難題を課せられる懲罰勇者たち。その罪状は様々で、
それ故に見せるキャラクター性もクセが強く、特に“ノルガユ”は実際に居たら手に余る
ことうけあい。勇者刑に処せられた彼らに終わりは、救いはあるか。続きが気になります。

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2021年10月12日

『株では勝てる俺も、カワイイ女子高生には勝てない。2』

砂義出雲 先生が贈る、人間不信デイトレーダーと夢を追う女子高生の同居生活を描く物語。
第2巻は“理人”が師匠と呼ぶ少女の登場と同居宣言に戸惑う“灯香”の機微を描きます。
(イラスト:えーる 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/kabudehakateru/322104000805.html


まるで伴侶のように“理人”と気が置けない関係であることを見せつけてくる“吟子”。
気が気でない“灯香”の様子に同情しかない一方、その彼女への理解が追い付かない彼。
3人での同居生活に不安を覚える滑り出しをコミュニケーションで乗り切る所に一安心。

“理人”がデイトレーダーとして活動を始めた理由。“吟子”から語られる師弟の絆を
結んだエピソードから「なるほど」と得心がいきます。そこから更に転じて今回の件が
発生した彼女の生き様が明らかに。これが冒頭のノリとは対称的で重め。驚かされます。

“灯香”が手を出してしまった株取引で発生した損失を補填しようと“理人”らが動く
過程で影を覗かせてきた「機関」存在が気になるところ。ですがそれ以上に彼女の夢は
タイムマシンを作ることが本当の目的地となるのか、その点も注視しておきたい話です。

posted by 秋野ソラ at 00:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2021年10月11日

『君の足のためなら死ねる』

刈野ミカタ 先生が贈る新作は、元天才サッカー少年がフットサルチームのワケあり少女
たちが持つ足に魅了され、コーチとして彼女たちを導いていく青春スポーツコメディです。
(イラスト:BLADE 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/ashitame/322106000742.html


リフティングし続ける少女を見かけた“行真”。その足を見て「サッカーをするのに完璧」
と絶賛した彼は思わず触りまくって足蹴にされる。足フェチの彼に怯える彼女の名は“結”。
人が苦手な彼女にぜひサッカーをやらせてあげたい、と決心した彼はあるツテを頼るが──。

BLADE 先生の艶やかな挿絵、章題や二つ名のつけ方、そして冒頭のくだり・・・と足の魅力に
こだわりながら、様々な背景から学校に通えていない「妹」たちをチームとして躍進させる
ために試行錯誤を繰り返していく真摯な“行真”の描写に惹かれます。足フェチですけど。

そんな“行真”に懐疑的な面もあった「妹」たちが交流を経て次第に心ほだされていく過程、
物語の鍵となる“結”の言動からも「スポ根」や「ラブコメ」要素で楽しめる兆しが窺えて
続きが実に楽しみ。彼に託した“絶火”の目論見がどこにあるのかも注目しておきたいです。

posted by 秋野ソラ at 00:16 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2021年10月08日

『九龍後宮の探偵妃』

蛙田アメコ 先生が贈る新作は中華後宮ミステリー。卓越した観察癖と推理癖を持つことで
知られる女士が後宮内に纏わる謎多き死の数々について原因を探っていく顛末を描きます。
(イラスト/Nardack 先生)

https://www.seikaisha.co.jp/information/2021/08/25-post-kowloon.html


死の理由を知れば、死に対する恐怖を和らげられる。幼き日にそう教えられた“紅玉”は
死体の声を聴き、その死の謎を解き明かす者と人から噂され、気味悪がられる令嬢に育つ。
そんな彼女に示された後宮への出仕。渋っていた彼女に応と答えさせたその条件とは──。

宦官“緑文”に支えられつつ、慣れない後宮暮らしの中で、ずっと慣れることのない死体
に推理を働かせる“紅玉”が辿り着く真実。話の一つ一つが、出てくる人物、その特性が
単発で終わらず、意外なところで結びついてく構成が見せ方としても面白いと感じました。

偽りだらけの世界において繰り広げられる陰謀劇が思いがけない形で一件落着となった時、
“紅玉”がその胸に抱え続けていた恐怖心に勝る心地よさを覚えた瞬間が印象に残ります。
いつかその感情が“光華帝”の思い描く通りになるか、続く物語を見てみたいと思います。

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2021年10月07日

『誰も死なないミステリーを君に 眠り姫と五人の容疑者』

井上悠宇 先生が贈る青春ミステリー小説。3冊目は誰も信じられない“志緒”と出会い、
“佐藤”が誰も死なないミステリーの可能性を信じる契機となった事件の顛末を描きます。
(イラスト:syo5 先生)

https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000014923/shurui_3/page1/order/


“志緒”が動画を見て好きになった歌い手“奏音”に見える死線。その動画を撮っていた
仲間の“白雪”が、同じく“鉄太”によって殴られ意識の戻らぬ重体となり、殺したい程
恨んでいることが“奏音”を死に誘うのか・・・と思えば他の仲間が語る証言がちぐはくで。

“白雪”が眠り姫となった毒林檎の噂。五人の容疑者に見える死線と、そのレベルの違い。
真相に迫るほどに強まる“奏音”の死の予兆。暴力事件が起きた時系列を整理することで
見えてくる矛盾を突いた“佐藤”が望んだミステリーに“志緒”を導く手腕は見事の一言。

犯人を見つけて断罪することが目的ではなく、“志緒”が見える死の運命は覆せない、と
他人が、世界が信じられない彼女を救う猫の手のようなきっかけを与え、それを証明して
見せた“佐藤”の格好良さを再認しました。名探偵を目指す2人の未来に期待が募ります。

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2021年10月06日

『公務員、中田忍の悪徳』

立川浦々 先生の「第15回小学館ライトノベル大賞・優秀賞」受賞作。他人に厳しく、己に
より厳しい、恐ろしく知恵が回るだけの男性地方公務員がエルフと遭遇した顛末を描きます。
(イラスト:楝蛙 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530292


中田忍、32歳男性。生活保護制度に関する業務に携わる区役所福祉生活課、支援第一係長。
独身、交際相手なし。責任感が強く、合理主義者。陰で機械生命体とも噂される彼の家に
突如エルフの美女が現れたら彼はどう対処するか。彼は友人に頼るべく電話をかける──。

異世界から来たと思われるエルフに対し、何者であるかを探る前にまず彼女が持つ常在菌
を恐れて対策を考える“忍”の見解は「なるほど」と思う一方で、極論に走る彼を止める
“義光”のフォローもまた労いたくなる展開。彼らのやり取りには色々考えさせられます。

道にかなった行いとしての「美徳」に対し、道徳にそむいた悪い行ないとしての「悪徳」。
“義光”たちを巻き込んで、コミュニケーションもままならないエルフを匿った“忍”の
行いは世界にどう影響するのか。彼に干渉する“由奈”の動向と共に注視したい物語です。

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2021年10月05日

『スパイ教室06 《百鬼》のジビア』

竹町 先生が贈る痛快スパイファンタジー。第6巻は任務継続不可となったチーム「鳳」に
掛けられた要人暗殺未遂の容疑を、そして無念を晴らすべく「灯」の面々が動き出します。
(イラスト:トマリ 先生)

https://fantasiabunko.jp/product/202001spy/322105000774.html


行方不明の“ラン”を探す“ジビア”を捕らえ、“ラン”に対して一方的に皇太子暗殺の
嫌疑をかける「ベリアス」のトップ“アメリ”。共に調査を進める中でフラッシュバック
していく「鳳」との思い出の数々が居ない者たちの面影を鮮明にする構成が何とも切ない。

自分たちの正義に則り「鳳」を襲撃した者たちに、弔い合戦が如く復讐の牙をむく「灯」。
「これ以上、あたしから何も奪わないでくれ」と告げた“ジビア”が示す勇気と優しさに
彼女たちの想いが詰まっている気がして。「鳳」と「灯」が組んだ強さがまたむなしくて。

「焔」壊滅の謎に迫っていく“クラウス”たちに対して「蛇」が仕掛けてきた次なる一手。
「鳳」が残してくれた手がかりで一歩前進、かと思えばラストで迎えるとんでもない局面。
「彼女」が呟いた一言に込められた想いを探るべく、次巻の刊行を待ちたいと思います。

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2021年10月04日

『王様のプロポーズ 極彩の魔女』

『デート・ア・ライブ』の 橘公司 先生と つなこ 先生のコンビで贈る新作は滅亡の危機
に瀕する世界を救ってきた最強の魔女と、彼女に恋した少年が辿る数奇な運命を描きます。
(イラスト:つなこ 先生)

https://fantasiabunko.jp/product/202109propose/322012001025.html


“無色”少年が恋したのは名も知らぬ美少女。それも血まみれで倒れた、世界最強の魔女。
誰にやられたのか探る間もなく胸を貫かれ、共に死を迎えるはずの彼が感じた接吻と血潮。
気が付けば彼は見知らぬ場で目覚め、胸元にはあるはずのない柔らかな感触があって──。

合法的に性転換する、という先々の展開で可能性を感じる設定。好きな人と「合体」する
という非常事態にも関わらず、まず“採禍”の個人情報に目を向ける“無色”の異常ぶり。
なのにデートどころかプロポーズすることすら叶わない彼の境遇がもどかしくもあって。

“黒衣”たちとの微笑ましいやり取りを楽しんだはずが、いつの間にやら滅ぶ運命にある
世界を守る戦いに巻き込まれた“無色”が“採禍”と共に見せたその覚悟、力、そして愛。
彼がいつの日かプロポーズする権利を得るであろう、その瞬間を見届けたいと思います。

posted by 秋野ソラ at 00:20 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル