2021年09月17日

『ぼんくら陰陽師の鬼嫁 七』

秋田みやび 先生が贈る、退魔お仕事嫁物語。第7巻は廃遊園地の件が片付いてもなお続く
“芹”の不調をもたらす呪詛、その原因を探るべく“皇臥”たちが動く顛末を描きます。
(イラスト:しのとうこ 先生)

https://lbunko.kadokawa.co.jp/product/bonkuraonmyouji/322101000345.html


母“史緒佳”が“皇臥”に雷を落とした理由は、彼に同情を誘いつつも得心がいく内容で。
彼女から語られる呪詛に纏わる北御門の悲しい過去、彼の面子に関わる話を聞いてもなお
嫁として寄り添える“芹”の気丈ぶりに救われます。それゆえに呪詛の謎も深まるワケで。

“皇臥”の影武者としての役割も担う式神“如月”を呼び出しても手詰まりが続く調査の
行方を左右するのはやはり“貴緒”。そう易々と手は貸さない彼が弟に「アレ」を求める
あたりは実にあくどい、というかよく分かっているのが窺えてつい苦笑いせざるを得ない。

“皇臥”たちに心配をかけることが悪いこと、と今更ながらに気付いた“芹”の言動から
契約の枠を超えた家族の絆が見て取れて感慨深い。今回の顛末が二人の出会いに結びつく
設定の妙は先生のTRPGリプレイを読んだ時に似たものを感じました。続きも気になります。

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2021年09月16日

『魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい? 13』

手島史詞 先生が贈る、不愛想魔王と箱入りエルフによるラブコメファンタジー。第13巻は
<アザゼル>化してしまった“ネフテロス”を救うため“ザガン”が総力戦で対処します。
(イラスト/COMTA 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/981.html


負け戦、劣勢というキーワードで暗めの導入を、敵地に居ながら「愛で力」に打ち震える
“ゴメリ”のいつも通りなノリで楽観的な雰囲気へと昇華させていくのが本作らしい所。
“シアカーン”の軍勢も様々な繋がり、絆が何とかしてくれると信じられる、というもの。

“ネフテロス”を救う手立てはある、そう信じて突き進む者たちの中でも一際強い気概を
見せる“ネフィ”が迷わず手に取った力。今後、物語の鍵を握りそうな“フォル”の件も
含めて「魔王」周りの勢力図が書き換わった所は次巻以降も要注視な展開かと思います。

“ビフロンス”が「最高に楽しいゲーム」と評価した駆け引きを、“ネフィ”の誕生日を
祝うために制した“ザガン”。彼女の悔し涙が嬉し涙に変わるエピローグ、そしてついに
彼が欲しいものを得た瞬間は感慨深い、というか「愛で力」も爆発。次巻も楽しみです。

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2021年09月15日

『異世界迷宮の最深部を目指そう 16』

割内タリサ 先生が贈る異世界迷宮ファンタジー。 第16巻は“ラグネ”に殺され、肉体も
囚われた“渦波”を助け出せると信じる“ノスフィー”らがフーズヤーズ城に突入します。
(イラスト/鵜飼沙樹 先生)

https://over-lap.co.jp/Form/Product/ProductDetail.aspx?&pid=9784865549799


“ラグネ”が“渦波”を裏切ってでも目指す「一番」。背景に根差す母との関係が彼女の
矛盾だらけの生き様に現れていたのかと思うと物悲しい。求めた光が母に、“渦波”に、
そして“ノスフィー”に変移していく機微も彼女の想いを象徴していて印象に残ります。

“ノスフィー”が「お父様」と認めた“渦波”が死ぬはずがない、と千年前の希望である
本当の魔法で生き返らせるため何が何でも前に進み、その詠唱に必要な言葉を紡いでいく
姿が痛ましくて、いじらしくて。彼に「一緒に生きてくれ」と言われた時のあの顔は必見。

“渦波”は“ラグネ”と「親和」によって深層心理で繋がり、彼女の矛盾を理解した上で
一身に受けることにより、ようやく妹“陽滝”と対等に向き合う存在に登り詰めました。
異世界を巻き込み開かれる家族会議でどんな結論が導き出されるか、注目したい所です。

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2021年09月14日

『神は遊戯に飢えている。3』

細音啓 先生が贈る、人類VS神々の至高のファンタジー頭脳戦。第3巻は“ネル”を救う
“賭け神(ブックメーカー)”との戦いに勝利宣言する“フェイ”の真意に言及します。
(イラスト:智瀬といろ 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/kami_to_game/322104000808.html


“賭け神”との勝負前に眺めていた“フェイ”のメモ書き。そこに「神々の遊び」を達成
しようとする彼の油断なさ、あらゆる可能性を考慮して動く姿勢が窺えて感嘆するばかり。
それを踏まえて「勝ち確」を実現するイカサマ破りの動向は安心して見ていられました。

そんな運命の鍵を握る勝負とは別に、“フェイ”を巡る女性陣の駆け引きが実にコミカル。
何かと抜け駆けしようとする“パール”、ズルは見逃さないと用心する“レオレーシェ”、
後発だけに見せ場を狙いにいく“ネル”、三者三様のアプローチは引き続き注視したい所。

“ネル”の問題を解決したかと思えば突如去来する世界規模の緊急案件。敗北条件のない
迷宮脱出ゲームへ挑むにあたって「いまたくさんミスしよう」と指針を示す“フェイ”の
言葉が世知辛い社会を生きる私の胸に響きます。そして「彼女」の乱入も目が離せません。

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2021年09月13日

『忘れさせてよ、後輩くん。』

あまさきみりと 先生が贈る新作は、片思いしている先輩の女の子が兄に片思いをしている
という停滞した時間が兄の死、再会と選択によって動き始める忘れられない夏を描きます。
(イラスト:へちま 先生)

https://sneakerbunko.jp/product/kohaikun/322101000027.html


出会えたら【止まっている片思い】が動き出す、という幸運のイルカに縋りたいほど想い
を燻ぶらせる“夏梅”。その相手“春瑠”の帰省にあわせて再会したが気持ちは晴れない。
彼女が彼の姿に亡くなった兄、好きだった片思いの面影を追っているのが分かるから──。

好きな人の彼氏になれないなら一番の後輩でいたい、兄の代わりでいようとする“夏梅”。
そんな彼がオカルトじみた話で“春瑠”を失うかもしれないと聞き一歩踏み出せるか否か。
兄のお下がりであるスクーターが様々な背景を象徴するかのような展開が印象に残ります。

“夏梅”の気持ちを知っていてもなお「マネージャー」として彼を叱咤激励する“冬莉”
の振舞いが実に健気。彼女の恋が報われないのは互いの名に含まれる季節の距離感からか。
「秋」にあたる人物がいないのも、「彼女」がつぶやく最後の一言も気になる物語です。

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2021年09月10日

『リアデイルの大地にて7』

2022年1月からのアニメ放映が控えている、Ceez 先生が贈る大人気エルフファンタジー。
第7巻は闘技祭を村の皆と楽しむために“ケーナ”が世界中を駆け巡る顛末を描きます。
(イラスト:てんまそ 先生)

https://famitsubunko.jp/product/322104000016.html
https://leadale.net/


いわゆる「プロジェクター」になるものが欲しいね、ということで守護者の塔を渡り歩く
ところが“ケーナ”らしい。“オプス”とのやり取りを経てすっかり毒された、というか
システムへの順応が高まったと言って良いかもしれません。そういう描写もありましたし。

道中、“サハラシェード”と会うことができて“ケーナ”の新たな昔話や“カン・ウー”
との縁も描写されたことで更なる世界の広がりも予感させています。“オプス”はダメな
人にとってはとことん相性が悪いようで。だからこそ特殊なコンビだと印象づけてきます。

闘技祭では“オプス”だけ出しゃばるのかと思いきや“ケーナ”も意外な所で巻き込まれ、
しかも“マイマイ”に「暴君」と言われるほどえげつない振舞いを見せる場面もポイント。
そんな娘からある依頼を受ける“ケーナ”がどんな冒険に駆り出されるのか、楽しみです。

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2021年09月09日

『久遠の檻―天久鷹央の事件カルテ―』

知念実希人 先生が贈る新感覚メディカル・ミステリー。長編シリーズ7冊目は芸能活動を
していた少女が長い時を経ても姿を変えず、不老不死を体現する謎を“鷹央”が診断します。
(イラスト/いとうのいぢ 先生)

https://www.shinchosha.co.jp/book/180223/


初見では歳を取らなくなる疾患「ハイランダー症候群」を窺わせる“希津奈”。彼女から
妊娠や生まれ変わりを示唆する発言があったかと思えば「キヅナ様」と崇められていたり
父“源蔵”によるオンラインサロンで金も動いており、裏があることを匂わせる導入部分。

常識に縛られて犯人の術中に嵌る“小鳥遊”を“鷹央”が何度も叱責する描写が印象的で。
昔と今の“希津奈”は同一人物なのかを突き詰めていく犯人とのギリギリのせめぎ合いが
冷や冷やさせられます。逆転劇もさることながら、アフターケアも万全で流石の診断ぶり。

今巻では統括診断部に臨床研修医として“鴻ノ池”が加わりウザ絡みの機会も悩みも増す
“小鳥遊”。“鷹央”から新車の件で残念な目を向けられるなど泣きっ面に蜂な彼ですが
「診断」では先輩らしさを見せる場面もあり成長の跡が見て取れます。次巻も楽しみです。

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2021年09月08日

『僕が答える君の謎解き 明神凛音は間違えない』

紙城境介 先生が「星海社FICTIONS」から贈る本格ラブコメ×本格ミステリ。犯人を瞬時
に突き止められても証明できない少女とそれを推理する少年の物語を電子書籍で拝読です。
(イラスト/羽織イオ 先生)

https://www.seikaisha.co.jp/information/2021/01/26-post-bokukimi.html


「自明の理です」天啓と言われる無意識下の推理でどんな犯人も即座に理解する“凛音”。
「推定無罪だ」推定無罪を信条に弁護士を目指す“透矢”は証拠もなく犯人を決めつける
彼女が気に食わない。彼女の社会復帰と内申点獲得のため「彼女の推理」を推理する──。

答えがわかっても過程を示す証明ができない。ゆえに理解されることを諦める“凛音”を
僅かな手がかりから理詰めでその穴を埋めようと、彼女の思考を掴もうとする“透矢”の
指摘の応酬が新鮮で、しっかり惹き込ませてくれます。“紅ヶ峰”も良いラブコメ要素で。

間違えない“凛音”に対し、間違えてしまうこともある“透矢”。その人としての甘さを
正論で打ちのめす、彼女の姉でありスクールカウンセラーでもある“芙蓉”の容赦のなさ。
同じ責任を担うと決めた2人がそんな大人に吠え面をかかせられるのか、続きに期待です。

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2021年09月07日

『僕を成り上がらせようとする最強女師匠たちが育成方針を巡って修羅場3』

赤城大空 先生が贈るヒロイックファンタジー。第3巻は何かと注目が集まる“クロス”を
街の名物行事「喧嘩祭り」で潰そうと上位職の貴族から決闘を仕組まれる顛末を描きます。
(イラスト:タジマ粒子 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530247


“クロス”に惨敗した“カトレア”へ折檻することも容易い上位貴族の“ギムレット”。
彼が“ジゼル”にも嫌がらせをするものだから“クロス”が怒髪天を衝くのも当たり前。
今回は格上との戦い方を“テロメア”が教示するのでスキンシップ多めなのがまず印象的。

魔王の“ソルティ”すら“クロス”を成長させるために引っ張り出す“リオーネ”たちの
容赦のなさは言わずもがなですが、その期待に応えて成長し続ける彼の資質もまた異質で。
もちろん対策を怠っていない“ギムレット”に対しどう決闘を繰り広げるかが見ものです。

“ジゼル”にとっても負けられない戦いを経て、師匠らも含めた“クロス”への好感度が
うなぎ上りを見せる中で今回の勝利が何を意味するのか。卑怯なほど可愛い巻末の挿絵に
微笑ましさより殺伐とした展開を感じざるを得ないのが本作らしい所。次巻も楽しみです。

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2021年09月06日

『精霊幻想記 20.彼女の聖戦』

アニメ放送が始まった、北山結莉 先生が贈る異世界転生譚。第20巻は“エリカ”に導かれ
神聖エリカ民主共和国がガルアーク王国へ侵攻する顛末を描く《聖女編》山場を迎えます。
(イラスト/Riv 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/980.html
https://seireigensouki.com/


“エリカ”があれほどまでに世界を嫌い、世界に聖戦を挑む理由。それがプロローグにて
明かされたことで色々と得心がいきました。ある意味では勇者である、という「呪い」が
彼女をここまで苦しめ続けて、“リオ”に可能性すら見い出していたのだ、ということに。

“リーゼロッテ”の件で派閥争い、そのしわ寄せが“リオ”にいくのを“グレゴリー”が
言葉と態度で如実に示してくる訳ですがこれが小賢しいの何の。聖戦でとばっちりを食う
展開には「ざまあみろ」と思ってしまうほど。王国にとっては国難に及ぶ一大事ですけど。

“アイシア”が記憶を失っていた理由、彼女が担っていた役目。“エリカ”と相まみえる
死闘を経て、彼女の願望を叶えるため“アイシア”が“リオ”に託した力。彼女らが言う
「竜の王」とは何か。最後の一言が告げる決別の予兆が不穏すぎて続きが気になります。

posted by 秋野ソラ at 00:31 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル