2022年08月08日

『精霊幻想記 22.純白の方程式』

北山結莉 先生が贈る異世界転生譚。第22巻は「神のルール」に縛られない方法を模索する
“リオ”の願いと七賢神“リーナ”が託した布石が交錯し、一縷の望みを繋いでいきます。
(イラスト:Riv 先生)

https://firecross.jp/hjbunko/product/1532


あの後“セリア”だけが超越者となった“リオ”との記憶を繋ぎ止めている、という希望。
彼女が覚えた新魔法とあの仮面を託されたことで神のルールに抗えるのでは、という期待。
感動の再会から続くやり取りから一段と魅力的に映る彼女の描写は流石という他になくて。

“美春”たちと合流した“セリア”に同道する“ソラ”が“美春”に対しいちいちケチを
つける言動が微笑ましい。“セリア”の誘導もあってどうにか心を解していく姿も可愛い。
またみんなで一緒に暮らせるように願う皆の力に“ソラ”もなってほしい、と祈るばかり。

残る戦争の火種を危惧する“フランソワ”が勇者たちと対等にありながら、争いの抑止力
として助力を求める提案に“貴久”が理想論を掲げる姿。キャラクターに嫌悪感を与える
描き方も秀逸なのが 北山 先生の凄い所。エピローグが示す意味を求めて次巻を待ちます。

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2022年08月05日

『異世界忠臣蔵2 〜仇討ちのレディア四十七士〜』

伊達康 先生が贈る痛快討ち入りファンタジー。第2巻はレディア廃国を阻止するために
諸王国へ口添えを頼みに回る“クラノス”たちが、新たなトラブルと強敵に遭遇します。
(イラスト:紅緒 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094611618


いざ諸国漫遊、ということでプロダンサーの“モトフィフ”“アズカ”も加わって一段と
お色気ムードが高まる“キッチュ”周辺。下ネタを散りばめつつ、しっかり強いところも
魅せてくる演出が面白い。“マータ”が意外にも、というかちゃんと強い部分も驚きです。

嘆願活動の最中に「江戸会議」、即ち“ソーエン”を筆頭とする仇討ち急進派が退役した
“キーラ”のもとへ乗り込もうとする無謀をどう抑えるか。“クラノス”が案じた一計の
鍵を握る“アン”と“キッチュ”をそう易々と現地へと向かわせない話運びがまた熱くて。

いわゆる予言書のような存在の「忠臣吉」に“キッチュ”が依存しない、というか時には
忘れかけているのが本作の話を進めるにあたっても大切な所なのであろう、と思いながら
想定外な結末を見せた「江戸会議」の後で“クラノス”たちはどう動くのか気になります。

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2022年08月04日

『ネームレス・レコード Hey ウル、世界の救い方を教えて』

『今はまだ「幼馴染の妹」ですけど。』の 涼暮皐 先生が贈る新作は、機械生命群に支配
された世界を救う勇者に選ばれなかった青年が世界を救うべく人知れず戦う様を描きます。
(イラスト:GreeN 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/nameless/322203002004.html


滅びゆく星で子供たちに生きる術を授ける救道院で首席まで上り詰めた“レリン”の夢は
教会が決める《予言の英雄》になること。だが選ばれなかった彼は旧界遺物に望みを託し
人類文明圏外域へ単身旅立つ。そこで彼は機械少女“ウル”と運命の邂逅を果たすが──。

《予言の英雄》には救えない未来を“レリン”だけが救える、と豪語し補佐する“ウル”。
人類を脅かす機械生命をも圧倒する力を持つ彼女のどこか抜けた言動や、彼の無謀ぶりに
気が気でない“アミカ”の滑稽な素ぶりが数少ない救いなのではと思えるぐらいシリアス。

“ウル”が教会とは別に予言書を持つという真意。“アミカ”に迫る故人ヒロインの予兆。
そして“レリン”が運命に抗うため、人類を滅ぼす者と戦うため「アレ」を手にする因果。
彼は“ウル”と共に誰も知らない英雄譚をこの星に残せるのか、注目しておきたい所です。

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2022年08月03日

『薬屋のひとりごと12』

シリーズ累計1800万部を超える 日向夏 先生の大人気ミステリー。第12巻は“玉鶯”亡き
西都の後継問題に巻き込まれる“壬氏”が頭を悩ませ、“猫猫”が命の危機に晒されます。
(イラスト : しのとうこ 先生)

https://herobunko.com/books/hero14/13493/


“玉鶯”の長男“鴟梟”はならず者で後を継ぐ気がなく、長女“銀星”は政治には力不足、
三男“飛龍”と四男“虎狼”は帝王学を学んでいない。この中から後継者を育成しろとは
“壬氏”にも酷な話で。その上“鴟梟”の息子“玉隼”が示す敵意がまた煩わしいの何の。

そんな中で“猫猫”は食中毒騒動や異国娘の診断に駆り出されて、挙句に“雀”と利害が
一致する人物によって何処へと連れ去られる始末。“雀”が覚えさせた異教の経典の一節、
それが“猫猫”の命運どころか、“雀”の生き様をも左右する鍵となる構成には只々驚嘆。

つかみどころのない“雀”が今に至るまでの昔話。後継問題の裏で息づく「一族」の意図。
錯綜する想いが至る折衷案は「なるほど」ですし、“小紅”が見せた成長の兆しに苦笑い。
そして仕返ししない“猫猫”にニヨニヨ。遂に都へ戻る皆を待ち受ける騒動に要注目です。

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2022年08月02日

『春夏秋冬代行者 夏の舞 下』

暁佳奈 先生が贈る、四季を顕現する者たちに纏わる物語。夏を綴る下巻は「暗狼事件」を
解決して凶兆扱いの払拭を図る“葉桜”姉妹、代行者たちに命を狙う陰謀が牙を剥きます。
(イラスト:スオウ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/syunkasyuuto/322105000015.html


「暗狼事件」解決のために“葉桜”姉妹と手を結ぶ“輝矢”。彼が出した宣戦布告が如き
声明に胸が熱くなります。鍵を握る彼の守り人“慧剣”が暗狼となった理由は聞くほどに
情状酌量の余地が生まれるのは否めないかと。“月燈”の献身もまた目頭を熱くさせます。

“あやめ”の婚約者“連理”が示す愛もさることながら、“瑠璃”の相手“雷鳥”が抱く
激情には驚嘆するばかり。彼が馬鹿をやらかしたからこそ夏の里長“青藍”が培ってきた
悪意にも抗えたと思えば御の字で。元の鞘に収まる夏の代行者と護衛官の姿に感慨も一入。

今回思い悩む立場にあった“さくら”に対して“凍蝶”が、そして“雛菊”がしっかりと
想いを伝えた点も、保守派「老獪亀」と革新派「一匹兎角」の衝突で暗躍した“伏竜童子”
の正体も今後どう影響するか気になる所です。総じて夏の話も印象深く素敵な物語でした。

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2022年08月01日

『春夏秋冬代行者 夏の舞 上』

暁佳奈 先生が贈る、四季を顕現する者たちに纏わる物語。“葉桜”姉妹が夏の双子神と
なったことを凶事だと、代行者たちを悪し様に言う者共が更なる悪意を巡らせてきます。
(イラスト:スオウ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/syunkasyuuto/322105000016.html


“あやめ”が抱いた恋の始まりを知ったからこそ、婚約破棄を下した里の無情と天罰説を
流布して追い打ちをかける者共の台頭に憤りすら覚えて。生き返った“瑠璃”も同じ立場
にありながら姉に距離を置かれ「死んだほうが良かった」と悔いる言動が続いてつらくて。

季節とは別に、朝と夜を顕現する者がいる。黄昏の射手“輝矢”の逸話でそれを知りつつ、
彼を護る“月燈”とのどこか気が置けない関係に癒しすら覚えて。その2人に水を差した
「暗狼事件」、謎の狼と“輝矢”の関係や「夏」の話とどう関わってくるのか興味深くて。

中傷に苦しむ“葉桜”姉妹へ入れ知恵をした者は誰か。“雛菊”の腹違いの兄“残雪”が
“さくら”へ提示した話は「春」と「冬」の関係をどう揺らすか。夏の双子神による舞が
「竜宮」の地で運命の出会いをもたらすことに希望と吉事を託しつつ、下巻を拝読します。

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2022年07月29日

『EDGEシリーズ 神々のいない星で 僕と先輩の超能力学園OO〈下〉』

川上稔 先生が贈る、とある惑星の天地創造物語。3話下巻は立川で発生した謎の水害を
どうにかするはずが、さらに怪現象も加わって混迷を極める一連の騒動に決着をつけます。
(イラスト:さとやす 先生(TENKY))

https://dengekibunko.jp/product/kamigami/322111000141.html


“ポセイドン”と相対する“団”が持つ策と、それが後々の対応で利いてくる話の構成に
二度驚かされます。“ポセイドン”が「オネエニキ」という設定にもしっかり裏があって、
そこを突いてくる“住良木”が冴えてます。普段は乳のことばかり考えている彼ですけど。

渦中に“TJ”が“バランサー”に示した提案。その意図と実現の難度を察した“宗子”の
一人語りが度々差し込まれる意味。折々で触れられる「コミケ」の話題が牙を剥く展開に
なるのが面白いですし、“TJ”と“宗子”の相対を見届ける“住良木”のやり取りも見所。

話の決着に向けて塀洲夫妻、特に“奮登”が奮起する一連の顛末も「ようやく来たか」と
盛り上がる局面です。要所で“木戸”無双なのはもう驚きませんが、都度圧倒はされます。
“先輩”のうっかりな私生活の乱れで纏まった所から物語がどう続くか注目しておきます。

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2022年07月28日

『あおとさくら』

伊尾微 先生の「第14回GA文庫大賞・金賞」受賞作。クラスに馴染めず一人図書館で過ごす
少年と、彼を気にかける屈託ない少女が織り成す青春ボーイミーツガールストーリーです。
(イラスト:椎名くろ 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815616281/

高校二年生の春を迎えても放課後になれば公立図書館に通い、一人で読書に勤しむ“蒼”。
ある日、彼と打ち解けたいという少女“咲良”が現われ、何度となく声を掛ける様になる。
「笑ってほしい」と言う彼女に「笑えないんだ」と返す彼。その理由を聞いた彼女は──。

なし崩し的に“咲良”と言葉を交わす仲になった“蒼”が日常生活でも振り回されていく
うちに変わっていく自分がいることに、そして淡い想いを抱いていることに気が付く展開。
まさに青春ど真ん中、こそばゆいです。あるきっかけを境に彼女と音信不通になるまでは。

“咲良”について知らない話が山ほどある。いなくなって愕然と思い知らされた“蒼”が
「彼女が彼を笑わそうとした本当の理由」を告げられて何を思うか、どう動くのかをぜひ
見届けていただきたい。2人がどんな自分の姿を形作っていくか、興味深い所であります。

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2022年07月27日

『スパイ教室08 《草原》のサラ』

2023年のTVアニメ放送に向け準備が進む、竹町 先生の痛快スパイファンタジー。第8巻は
「蛇」そして“白蜘蛛”の執念で窮地に陥る「灯」を目にした“サラ”が覚悟を決めます。
(イラスト:トマリ 先生)

https://fantasiabunko.jp/product/202001spy/322203002018.html


「灯」に対し“アメリ”は冷静に構えるものの、CIM全体としては蔑視の対象でしかなく。
“白蜘蛛”の備えとしてCIMに裏切者がいることを想定する“グレーテ”の打診も響かず。
“モニカ”が問うた「理想のスパイ像」を掴む“サラ”の決意も及ばないのがもどかしい。

“白蜘蛛”が“クラウス”必殺を誓う「人類史上最悪の極罪を犯す」とはどういうことか。
「蛇」の一員となる過程や錚々たるスパイたちを裏切らせてきた能力、そして確執を抱く
決定的瞬間の流れから“クラウス”や「灯」の面々が窮地に陥った理由も得心がいきます。

“モニカ”が「蛇」を倒すために頼れと言った「炯眼」とは誰なのか。かの人物は本当に
「灯」の切り札となるのか。最後まで優劣が入れ替わり、手に汗握る話運びには只々驚嘆。
生き延びた「灯」掴んだ「焼闇計画」の一端がどんな嵐を巻き起こすか、次巻も注目です。

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2022年07月26日

『サマータイム・アイスバーグ』

新馬場新 先生の「第16回小学館ライトノベル大賞・優秀賞」受賞作。三浦半島に突如出現
した氷山を契機にかけがえのない一度きりの夏を経験する少年少女の恋と青春の物語です。
(イラスト:あすぱら 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530803


夏は叔父“鉄矢”の家で過ごすのが恒例となった“進”。近所の三浦海岸に現れた巨大な
氷山で世間が大騒ぎする中、浜辺に倒れている少女を助けた彼はその姿を見て言葉を失う。
交通事故で昏睡状態にある幼馴染“天音”の小さい頃に瓜二つな彼女は一体誰なのか──。

「“天音”=“日暈”」という可能性を求める“進”。彼の想いを前に卑屈になる“羽”。
彼女の思慕を配慮して、“天音”不在でも3人で過ごせる夏という道を模索する“一輝”。
ちぐはぐな3人が“日暈”に振り回されながら過ごす日々の様子が、どこかもどかしくて。

氷山の謎を探る人々の思惑が“進”たちを巻き込み、散逸していた物語の要素が結びつけ、
構築されていく少し不思議な世界観の中で各々が「夏の主役」を全うしていく展開は圧巻。
また冒頭と結末で思いを馳せる「私」に哀愁を覚えずにはいられない。お見事な一作です。

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