2025年12月08日

『全滅エンドを死に物狂いで回避した。パーティが病んだ。III』

雨糸雀 先生が贈る、ハッピーエンド至上主義な転生者の【曇らせ】異世界譚。第3巻は
“ウォルカ”が眼帯義足姿になった原因、ダンジョン踏破承認事故の真相へと迫ります。
(イラスト:kodamazon 先生)

https://www.kadokawa.co.jp/product/322508001037/


“シャノン”が自責の念に駆られる姿は見るほどにつらくて、“リゼル”たちと仲直りが
できた時の安堵感もひとしお。“シアリィ”の件も“ルエリィ”の心配も吹き飛ばす位に
喜劇的に収められたのが救いと言えます。〈炎龍爪牙〉の審判と向き合う緩衝材としても。

“フリクセル”が罪の意識に苛まれるのも道理の審判結果。“ユーリ”や“アルカ”の力
も相当なものでしたが、まさかその呵責が限界突破してあの結果に至るとは露にも思わず。
余波を受けた“アンゼ”のクソデカ感情に“ディア”が今後を憂う姿も苦笑せざるを得ず。

“ラムゼイ”が“ウォルカ”にやたら突っかかっる背景も押さえる“フュジ”の曲者具合
にも目を見張りつつ、その御託に愛刀をもって応える雄姿は圧巻、そして超然。ギルドの
ごだごたも一段落、かと思えば義足の件は難航。いよいよ「彼女」が出張るのか注目です。

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2025年12月05日

『猫と竜 冒険猫の帰還と王都の日常』

2026年7月よりTVアニメが放送予定となる、アマラ 先生のファンタジー作。シリーズ累計
120万部を突破して贈る新作は猫と人間、そして竜の絆を描く4小篇を収録した一冊です。
(イラスト:大熊まい 先生)

https://tkj.jp/book/?cd=TD073631
https://nekoryuu-pr.com/


「冒険猫の冒険」では、珍しい飛行船に乗って街を訪れた“シチヘンゲ”なる猫について
旅の目的や数々の冒険譚などからその猫物像へ迫っていく中で、“猫竜”が目上に言葉を
荒げる貴重な場面を見ることができる印象深い小編。しかし口絵はネタバレすぎましたな。

「探偵猫ハッカの事務所」でも“ハイブチ”の観察眼が猫と人の縁を結ぶ契機となる小編。
価値観の違いを交えながら、観察眼がもたらす様々な気遣いを経て“ハッカ”が事務所を
構える過程が覗けるのが面白い。“猫竜”が厄介者としてあしらわれていて思わず苦笑い。

「王女と猫あるある」で文化の違いに衝撃を受ける“メイルプルーナ”の姿でコミカルさ
を演出しつつ、「ぐうたら少女の里帰り」で更に珍しい縁結びへと繋がる締め括りが見事。
“スタン”が直面する嬉しくも悩ましい顛末、その先にも期待が高まります。楽しみです。

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2025年12月04日

『紅茶とマドレーヌ バノフィーパイの教え』

野村美月 先生が贈る、紅茶と焼き菓子の店で雇われ店長を務めるシングルマザーの物語。
第2巻は“姫乃”へ不機嫌な態度を示す娘“笑里”の真相に様々な憶測が飛び交います。
(イラスト:たかまるゆうか 先生)

http://www.kadokawaharuki.co.jp/book/detail/detail.php?no=7643


“華通子”の斜め上な力の入れ方に今回も苦笑い。“笑里”の件もそうですが間に入る
“ルツ”の立ち回りが堂に入るようで心強い。本人の前で「愛されエピソード」を語る
“姫乃”も中々の傑物と思いつつ、彼女だからこそ場を収められたと感じる納得の展開。

“真冬”の息子“恵司”が自分のことを平凡だと痛感させられるエピソードからまさか
“泪”の家庭事情に再び踏み込むことになるとは。型破りで、取り付く島もなさそうな
“高雅”にすごい人と言わしめる“泪”の想いを後押しする“姫乃”の心遣いもお見事。

“笑里”の周りも何やら面映ゆい雰囲気が醸し出されている中、先輩の“永遠”が母の
昔話を連れてくる話運びも驚きで。大切な思い出は似ているようで人それぞれなことを
マドレーヌに例えて伝える“姫乃”にも新たな恋は芽生えるのか目が離せない流れです。

posted by 秋野ソラ at 00:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2025年12月03日

『フルメタル・パニック! Family3』

賀東招二 先生が贈るSFアクション「フルメタ」新シリーズ。第3巻はギャングのパーティ
に潜入する作戦を“テッサ”が“宗介”と偽装夫婦を演じながら遂行する顛末を描きます。
(イラスト:四季童子 先生)

https://fantasiabunko.jp/product/202401fullmetaFamily/322412000957.html


“安斗”が表紙でなぜあの格好をしているのか。読み進めると分かる「身から出た錆」感。
独断専行は事故の元、ということで彼にとって良い薬になったのではないかと思いたい所。
“夏美”も荒事はいざとなればASで片づけようとするクセが出てきて苦笑いするしかなく。

“テッサ”が満を持しての登場、ということで“宗介”との当時を振り返る描写など実に
感慨深いものがあります。オトナの女性として魅力あふれる姿になろうとも、本質は何ら
変わらないことが窺えるのは複雑な胸中。でも“かなめ”にちょっかい出せたので良いか。

“大貫”がまさかの登場。用務員を辞めたあとの転身ぶりには驚くしかない。それでいて
一度スイッチが入ればあの狂暴ぶりを見せつける所は年齢を重ねても変わりなくて何より。
彼に熱い眼差しを向ける“夏美”の行く末が新たな楽しみにつながって次巻も要注視です。

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2025年12月02日

『名前のない英雄』

宮下愚弟 先生の「第19回小学館ライトノベル大賞・優秀賞」受賞作。邪族と戦う勇者が
欲する「勇者の剣」を探し、届けるために命を懸ける者たちを描くファンタジー作品です。
(イラスト:カラスロ 先生)

https://www.shogakukan.co.jp/books/09453269


勇者“アステラ”は考える。「希望という灯火を受け継いできた者はみな英雄なのだ」と。
彼が放つ魔法は人に仇をなす怪物「邪族」を圧倒するも武器が耐えられず、壊れてしまう。
それを解決する「勇者の剣」発見の知らせを聞き、彼はその到着を信じて待ち続ける──。

「名前のない英雄」は誰だったのかと想いを馳せて、口絵にある「辺境の少年」のことを
振り返ると「俺」「兄ちゃん」「君」「あなた」「あんた」「お前さん」などの指示語で
しか呼ばれていない。けど言った人物の文脈で意図は伝わる。なるほどに絶妙なタイトル。

「必ず帰る」と“メノウ”と交わした約束。「死相が視える」と“ライラ”が告げた予知。
邪族から執拗に勇者の剣、そして命も狙われる緊迫感の中で垣間見える仲間たちの人間性
にも心を奪われながら、どちらが勝ったかを示すエピローグの演出も見事。オススメです。

posted by 秋野ソラ at 00:27 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル