2020年08月14日

『ビブリア古書堂の事件手帖II 〜扉子と空白の時〜』

三上延 先生が贈る“栞子”と“大輔”のその後を描く大人気ビブリオミステリ。第2巻は
間を空けて起きた存在しないはずの「横溝正史の幻の作品」を巡る事件の顛末を描きます。
(イラスト:越島はぐ 先生)

https://mwbunko.com/product/321911000211.html


元は男爵位を持つ上島家で亡くなった“秋世”が残した横溝正史の『雪割草』が盗まれた。
単行本化されていない幻の本を取り返してほしいと依頼された“栞子”は依頼人“清美”、
その母で容疑を疑われる“初子”、彼女を犯人と決めつける叔母の“春子”と会うが──。

冒頭に「後味の悪い」話とあるとおり、『雪割草』を見つけた後に残る謎を解決した先に
残る感情は「たかが本、されど本」という想いの交錯がもたらすやるせなさが実に切ない。
この結末を反面教師として、価値観の違いを大事にしたい、尊重したいと思い直した次第。

今回“智恵子”に誘導される形で「ビブリア古書堂の事件手帖」に残された謎を読み解き、
書かれた以上の真実を導き出されるか試された“扉子”。受け継ぐ者を見極める祖母も、
応える孫も空恐ろしい。両親が知る由もない“扉子”の予感がもたらす物語に注目です。

posted by 秋野ソラ at 00:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年08月13日

『ぼんくら陰陽師の鬼嫁 六』

秋田みやび 先生が贈る、退魔お仕事嫁物語。第6巻は凄腕の陰陽師でもある“鷹雄”の
北御門に対する呪詛により廃遊園地の中に閉じ込められた“芹”たちのその後を綴ります。
(イラスト:しのとうこ 先生)

https://lbunko.kadokawa.co.jp/product/bonkuraonmyouji/322004000606.html


一晩残って、うまくいけばそのまま解放する。危害を加える気がない“鷹雄”の意図が
見えない薄気味悪い展開。そんな中で1つずつ落ち続け観覧車のゴンドラ、更けていく
夜の闇、脱出を試みる“芹”たちの遭遇する霊障の数々がその雰囲気を加速させます。

何故か具合が悪化していく“鷹雄”、そして明るく振る舞ってはいるが熱っぽい“芹”。
はやる気持ちのままに現地へ急行する“皇臥”が“鷹雄”の真意を明らかにするまで
彼の行動原理は予想がつきませんでした。生き方が不器用すぎて実に紛らわしい方で。

シリアスなんだかコミカルなんだか、という興味深い結末へと落ち着いた今回の騒動。
陰陽道に対する知識の欠如を悔いて“史緒佳”にご教示願う“芹”の逞しさは健在で
ありながら“鷹雄”が指摘した彼女に対するある事実が今後どう影響するか注目です。

posted by 秋野ソラ at 00:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年08月12日

『魔王学院の不適合者7 〜史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う〜』

TVアニメが放送開始を迎えた、秋 先生が贈る「小説家になろう」投稿作の書籍化作品。
第7巻は地底世界を支える礎となる悲劇の預言を前に“アノス”たちが全力で抗います。
(イラスト:しずまよしのり 先生)

https://dengekibunko.jp/product/maougakuin/322003000242.html
https://maohgakuin.com/


未来を見る神眼をもつ“ナフタ”が告げる世界終焉の預言。“ディードリッヒ”は抗い
“アノス”を頼り、“シルヴィア”は強さを求め愛を捨て、“ヴィアフレア”は運命を
呪い神を否定する。それぞれの強い想いが交錯する様子が鮮烈で、接戦で、切なくて。

十万分の一という可能性を否定せず、自らその手に掴もうとする“アノス”の力強さ。
預言が進行していく中で“アルカナ”が見せる葛藤、言動の数々もこれまでの経緯が
あるゆえに印象深い。中でも“アヒデ”に下した決断には胸を打つものがありました。

それにしても「ファンユニオン」がここまで世界を救うための鍵になるとは驚きです。
酒杯竜戦の件もそうですけど、真面目なのか茶化しているのか分からないのも面白い。
皆が思い描く希望の未来へと辿り着けることを願いつつ、次巻の刊行を待つ次第です。

posted by 秋野ソラ at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年08月11日

『EDGEシリーズ 神々のいない星で 僕と先輩のウハウハザブーン〈下〉』

川上稔 先生が贈る、とある惑星の天地創造物語。2話下巻は奥多摩のキャンプ地で水妖
出現の謎とオリンポス勢力の介入に臨みながら“住良木”たちがバカンスを堪能します。
(イラスト:さとやす 先生(TENKY))

https://dengekibunko.jp/product/321910000105.html


話を進めようとしてくれている“桑尻”に対してボケ倒す“住良木”とポンコツぶりに
益々磨きが掛かる“先輩”とのやり取りが終始面白い。彼女には同情するばかりですが。
“雷同”と“ビルガメス”の相対がTRPGっぽくて印象深いのはリプレイ読みだからかも。

テラフォームの課題「惑星に水を発生させる方法」は、何やら力技だったり他力本願で
進めようとしたり詰みの連続な中、まさか物事を巨乳で例えるとは思いも寄らず笑みが。
その“住良木”が要所で確信を突く発言を魅せるからこのシリーズもキャラが侮れない。

「ゲロのオッサン」こと“ネプトゥーヌス”の話からオリンポス勢力の秘策、何よりも
明かされた“木戸”の秘密には驚きの連続。彼女の言動を振り返ると確かに得心のいく
結末で、“先輩”にとって新たな試練かも知れないと思いつつ、次なる一手に注目です。

posted by 秋野ソラ at 00:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年08月10日

『モンスター娘のお医者さん8』

TVアニメが放映を開始し、木村光博 先生によるスピンオフ・コミカライズもスタートした
折口良乃 先生のモン娘診察奮闘記。第8巻は“グレン”の里帰りに纏わる騒動を描きます。
(イラスト:Zトン 先生)

http://dash.shueisha.co.jp/bookDetail/index/978-4-08-631373-5
https://mon-isha-anime.com/
https://comic-ryu.jp/_monisha/
https://seiga.nicovideo.jp/comic/48999?track=official_list_s1


“グレン”の故郷で暗躍する、新興宗教とは名ばかりの盗賊集団。“アラーニャ”がその
一味と結びつきがあるのではないか、と彼の父から結婚に反対する理由を告げられる展開。
心当たりのある彼女は諦めを見せ、絶対に認めてもらうと諦めない彼との温度差がつらい。

逆境打破の鍵を握る盗賊たちを捕まえる、“アラーニャ”だからこそ掴んだ手懸りを境に
彼女が“グレン”と距離を取り直す顛末が、何か色々と救われる思いがしました。他人の
幸せを願うのも自由ですが彼女自身も幸福を感じてほしいと願うのは彼だけではないはず。

それにしても“サキ”の立ち回りが今回は絶妙。彼女への鍼治療、“アルルーナ”たちの
乱痴気騒ぎというか受粉行為、そしてあの接吻と生き生きとした描写は美少女文庫さんに
いつ出しても問題ない水準かと。皆で迎える春に幸あらんことを願いつつ次巻を待ちます。

posted by 秋野ソラ at 00:44 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年08月07日

『僕を成り上がらせようとする最強女師匠たちが育成方針を巡って修羅場』

『出会ってひと突きで絶頂除霊!』が絶好調の 赤城大空 先生が贈る新作は、婚期に焦る
最強の女戦士、女魔導師、女邪法聖職者が「若いツバメ」育成を計画する顛末を描きます。
(イラスト:タジマ粒子 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518597


有数のS級冒険者にして美貌をもつ3女傑、“リオーネ”“リュドミラ”“テロメア”。
「歩く天災」とも揶揄される強さ故に、3人に釣り合う男がなかなか見つからず幾年月。
冒険者学校に勇者の末裔が入学すると聞き、自分好みの男に育てることを目論むが──。

物語の鍵を握るのは勇者の末裔ではなく、レベル0でスキル0、「0点クロス」と侮蔑
される少年“クロス”。憧れの“エリシア”を目指し、努力を重ねるがいつも報われず、
天から授かった職業も「無職」と14歳にして人生お先真っ暗。容赦ない設定が心苦しい。

そんな“クロス”が3女傑の目に留まって、彼女たちの指導に応え、その思惑を超えて
強くなっていく過程が熱い。努力が報われるのは嬉しいものです。3女傑の毒牙以外に
“ジゼル”も含めたフラグの育ち具合も気になる本作、続きが気になるシリーズです。

posted by 秋野ソラ at 00:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年08月06日

『教え子に脅迫されるのは犯罪ですか? 7時間目』

さがら総 先生が贈る年の差ラブコメ。第7巻は書くべき物語を完成させた“天神”に対し
「面白いかどうか」以前に「出版できるかどうか」を問う編集者の視線が突き刺さります。
(イラスト:ももこ 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/oshiego-kyohaku/321912000701.html


感染症に罹患した“志辺里”に代わり、担当を受け持つ編集部のスーパーエース“久堂”。
彼女がお墨付きを出した作品に対して、彼が“天神”へ告げた言葉の一つ一つが世知辛い。
何より今巻の鍵を握る、“星花”に「天出太郎」であることを隠している指摘が胸に痛い。

まずSNSの活用、動画配信で活路を見い出す“天神”。彼の日常生活を支える“冬燕”の
彼に対する固執ぶりがまず印象深い。そして「気持ち悪い」やり方と言われても、彼女の
悔し涙を見ても、物語を「読者の心に触れるための道具」と再認識した彼の強さも同様に。

事案モノの顛末がある一方、“楓”と“凛”の睦まじい様子に心温める場面もありました。
プロローグ「堕落世界」が今巻の内容を代表するかのような意味合いを示していたのに
対してエピローグの意味するところは重く、「彼女」はどう受け止めるのか、見守ります。

posted by 秋野ソラ at 00:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年08月05日

『このぬくもりを君と呼ぶんだ』

悠木りん 先生の「第14回小学館ライトノベル大賞・優秀賞」受賞作。地下都市を作り移住
を余儀なくされた人類の「地上に似た世界」にてリアルを渇望する少女の葛藤を描きます。
(イラスト:仲谷鳰 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518542


空も食物も人間関係すらも。偽物だらけの日常にウンザリし本物に憧れを抱く“レニー”。
サボり仲間の“トーカ”と共に学校を抜け出してはリアル探しに明け暮れる彼女がある日
一瞬赤く燃えた不思議な玉を手にする。太陽のような温もりをもう一度と願う彼女は──。

“レニー”が「太陽の欠片」と名付けた玉をきっかけに、太陽に憧れる人々の主義主張が、
地下都市に移住した際に出来た人々の軋轢が、“トーカ”とのかけがえのないつながりを
嘘に嘘を重ねて塗りつぶしていくのが、偽りのぬくもりを頼ってしまう彼女がもどかしい。

「太陽の欠片」に踊らされて何がフェイクで、何がリアルなのかを見誤りかけた“レニー”
を“トーカ”が命懸けで救いにかかる場面は胸熱くなるものが。仲谷鳰 先生の巻末漫画で
2人の後日譚を描く構成も攻めの構成で、未来に希望を感じさせるまとめ方でありました。

posted by 秋野ソラ at 00:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年08月04日

『女子高生同士がまた恋に落ちるかもしれない話。』

「メディアワークス文庫」で作品を出す 杜奏みなや 先生が「電撃文庫」から贈る新作は
幼いころに助けてくれた女の子との再会から始まる、女の子同士の初恋やり直し物語です。
(イラスト:小奈きなこ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/koi_ochi/321909000026.html


寮生活を送る“愛梨咲”は、風呂が壊れたため別の寮に相部屋することに。雨の日に移動
する道すがら、彼女は傘も差さず虚空に手を伸ばす少女に目を奪われる。その少女が共に
生活する相手“佑月”で、“愛梨咲”に対して何やら思う所ある言動を見せるのだが──。

星が好き、という共通項を持つ“愛梨咲”と“佑月”。そこからさらに2人を結びつける
ある昔話に繋がることから互いに意識し合う関係へと変化する機微がこそばゆいというか
初々しいというか。ただし「好き」というよりは「敬愛」に近いような印象を受けました。

2人出会ったことで、互いに掛けた言葉に支えられて、欠けたと思っていた大切な何かが
自分の中にあることに気づいて、相手を「すごい」と認めることができて、そして大切な
今がある。星が結んだ絆の尊さを見守りたくなります。続刊も決まったようで楽しみです。

posted by 秋野ソラ at 01:19 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年08月03日

『女同士とかありえないでしょと言い張る女の子を、百日間で徹底的に落とす百合のお話2』

早々に かやこ 先生によるコミカライズが決まった、みかみてれん 先生の大人気ガルコメ。
第2巻は“鞠佳”が年上のバイト友達から告白を受けるイベントと騒動の顛末を描きます。
(イラスト:雪子 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815607104.html


“鞠佳”の“絢”に対する「ありえない」は尽きない。しかし“絢”の気持ちを受け入れ
愛を重ねる“鞠佳”が示すそれはプレイなのか、本気なのか。傍目からは区別がしにくい。
そんな繊細な機微を「セーフワード」に例え、物語のキーワードとする辺りが上手い演出。

下心満載の“カレン”が興味本位で見せた占いの結果。その凶兆を現実のものとする人物
については想像の枠内かと思います。しかし向けられた悪意を前に「ありえない」対応を
とるのが“鞠佳”流。驚かされる一方、“絢”がお仕置きに走るのも無理はないワケで。

“絢”に友だちを作ってほしい、と試行錯誤する“鞠佳”の願いも少しずつ身を結ぶのが
見て取れる展開にも注目。彼女も頑張っていることを、更に変化を受け入れていることを
短編からも感じてほしい所。誘い受けの“鞠佳”が次にどんな騒動を招くのか楽しみです。

posted by 秋野ソラ at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル