2020年07月06日

『Babel I 少女は言葉の旅に出る』

古宮九時 先生がWebサイトに公開していた珠玉の異世界ロードファンタジー。電撃文庫版
とは異なり、Web版に書き足しを加えて「電撃の新文芸」から改めての書籍化となります。
(イラスト: 森沢晴行 先生)

https://dengekibunko.jp/product/newrelease-shinbungei.html


大学1年生の“雫”が目にした謎の黒い穴。吸い込まれた先は異世界の砂漠。行き倒れた
彼女は助けられた国で言葉が伝わるのを頼りに新生活を始める。そこで彼女が使う文字に
興味を持つ“エリク”を道連れに元の世界へ帰る旅に出る。世界の変革へと誘う旅に──。

まずは本来の形で再始動することを決めた編集部に御礼を。再びイラストを担ってくれる
森沢 先生に感謝を。『Unnamed Memory V』と同時刊行を成し遂げた 古宮 先生に慰労を。
文庫版と比較してみるのも一興ですね。蛇が作品のアイコンになるのもなるほど納得です。

振り返ってみると“エリク”が見せる言動の数々は意味深長で、“ターキス”はウザ絡み
も目に付きますし、何より“雫”がか弱いはずなのに妙に逞しいのが古宮流な気がします。
「Unnamed Memory」を経てどんな仕掛けが明らかになるのかを楽しみに、次巻を待ちます。

posted by 秋野ソラ at 00:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年07月03日

『ちょっぴり年上でも彼女にしてくれますか?6 〜とびっきりの王子様〜』

望公太 先生が贈る甘くて尊い年の差純愛ラブコメ。第6巻は“薫”が“妃”との新生活を
スタートさせる中、文化祭の準備中に熱意を示す“浦野”が突如引きこもってしまいます。
(イラスト:ななせめるち 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815605636.html


“浦野”がやる気を見せる理由。推して知るべし、なそれを最悪のタイミングで知られた
彼の心情が、中学時代に彼らがこじらせた恋愛模様を浮かび上がらせる展開は心痛ましく。
そんな離散する想いを繋ぎ止めた“薫”の仲間意識、そして恋愛観に筋が通っていて熱い。

ただ自滅する“浦野”を優しく突き放す“薫”が彼の気持ちを吹っ切らせるために過去の
トラウマを活かす演出がまた小憎らしい。恋人持ちの余裕すら窺えます。“浦野”の幸せ
いっぱいな顛末の裏で、“遥”もまた過去を清算できた感が見受けられて微笑ましい限り。

今巻は出番少なめな“姫”。恋人が姉と共同生活を始めてイイ感じなのを妬むの様子や、
ここぞという場面であの衣装を選んでしまうあたり、相変わらず思わずニヨニヨします。
彼もまた愛する人にとっての「王子様」の一人として共に道を進めるものと信じてます。

posted by 秋野ソラ at 00:20 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年07月02日

『結婚が前提のラブコメ2』

栗ノ原草介 先生が贈るぜったい結婚したい系婚活ラブコメ。第2巻は交際候補が競合した
“結衣”と“カレン”を前に難しい舵取りを迫られる“縁太郎”が仲人の気概を示します。
(イラスト:吉田ばな 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518528


「お金持ちと結婚したい」“カレン”の本心はどこにあるのか。羽振りのよい“伊集院”や
破戒僧とも言えるチャラい男“玉置”とのやり取りから疑念を持ち始めた“縁太郎”がある
推論を導く中、彼女の悩みにつけ込もうとする“黒峰”が下衆な野郎で悪役っぷりがお見事。

「婚活は自分自身のためにやらなきゃダメだ」“縁太郎”がお金も労力も惜しまず、会員の
幸せを願って仲人をする姿勢が伝わってきて、思わず自分の婚活時代を想起させられました。
“黒峰”の秘書も、彼が宿敵にかなわない訳を知ってるくせに伝えないあたり底意地が悪い。

今回“玉置”をデートに誘うことを目標とする“結衣”に、彼が諭したあの一幕。いい人だ、
実にいい人だ。彼女も「いちゃいちゃするような関係」になる、というのはどういうことか
を学んでしまっただけに、“縁太郎”の悩みの種は増える一方で。次巻もお手並み拝見です。

posted by 秋野ソラ at 00:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年07月01日

『董白伝 〜魔王令嬢から始める三国志〜2』

伊崎喬助 先生が贈る打擲幼女の覇道ファンタジー。第2巻は生き残りを懸け“劉備”陣営
の取り込みを画策する“董白”が思わぬ危機と遭遇して戦略の変更を余儀なくされます。
(イラスト:カンザリン 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518474


叔父たちの目論みとして皇帝“劉協”との結婚工作に担ぎ出される“董白”。当人に直接
拒否の姿勢を見せる開けっ広げな態度や、幼いながらも相国として力量を発揮する言動に
惹かれていく彼の機微が変化してく様が微笑ましい。彼女も罪作りな面白い女子のようで。

「反董白連合」の盟主を務める“袁紹”が攻勢に転じないことに業を煮やして“孫堅”が
勇み足を踏んだり、と緊迫した情勢が続く中で登場する武将たちがどことなくヘンなのも
相変わらず面白い。“張飛”が酒でやらかす被害者に“馬超”がならぬことを願うばかり。

内憂外患、人材不足、問題山積な局面を長安へ遷都する計画を逆手に叔父たちに、連合に
対して“董白”が一矢報いる展開は熱い。彼女なりに乱世を治める指針が固まったことで
“貂蝉”の目的は果たせるのか、増える敵の執念は打ち払えるか、続く展開が楽しみです。

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2020年06月30日

『後宮妃の管理人 三 〜寵臣夫婦は繋ぎとめる〜』

廣本シヲリ 先生によるコミックス1巻も発売を迎えた、しきみ彰 先生が贈る後宮物語。
第3巻は陛下との離縁を示す賢妃“明貴”の真意を“優蘭”が探り、対策に乗り出します。
(イラスト:Izumi 先生)

https://lbunko.kadokawa.co.jp/product/kanrinin/322002001181.html
https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_FL00201451010000_68/


“明貴”にどす黒い感情を向けられる“優蘭”にとってはとばっちりでしかないこの案件。
「何やってんの“劉亮”!?」と言いたくなる夫婦喧嘩の背景に思わず“優蘭”を応援する
感情に一層の熱が入るというもの。彼女を気遣う“皓月”の男前ぶりも磨きが掛かります。

反旗を翻す勢いの“皓月”から、これまた精神的被害を被る“慶木”も陛下に近い考えを
見せたため“優蘭”たちからしっぺ返しを食らう顛末も興味深い。“明貴”にも非はある
ため「雨降って地固まる」形にどう持っていくのか、読み進めるにつれ期待が膨らみます。

離縁騒動に加えて難題が重なる中、“優蘭”のアイデアが見事に嵌まっていく結末は胸が
すくというもの。見ていてこそばゆくも、着実に仲を深めていく夫婦の行く末は見届ける
甲斐がありますし、“玄曽”が“皓月”を評したあの意味も見極めていきたいところです。

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2020年06月29日

『Unnamed Memory V 祈りへと至る沈黙』

越水ナオキ 先生によるマンガ化が決定した、古宮九時 先生が贈る愛と呪いの一大叙事詩。
第5巻は“オスカー”の呪いを解いた“ティナーシャ”が女王に即位する顛末を描きます。
(イラスト:chibi 先生)

https://dengekibunko.jp/product/unnamed/321906000053.html


“ティナーシャ”が明かした「一年間だけの女王」という真意。“オスカー”がその心を
汲んでいの一番に提案したあの潔さに報われる思いがしました。精霊たちの反応も素敵で。
抱き寄せて安堵する顏、抱きしめられて恥じらう顏、chibi 先生の挿絵に萌え転がります。

邪神を招き敵意を露にする「セザル」、その中で暗躍する“ヴァルト”が言及する魔法球。
“オスカー”に呪いをかけた“沈黙の魔女”、彼女が明らかにする彼に纏わる過去の改竄。
「苗床事件」においても世界の外からの意志を感じさせるだけに嫌な予感が胸に残ります。

“トラヴィス”に付きまとう“ファイドラ”への対応に巻き込まれる“ティナーシャ”が
“オスカー”と夫婦喧嘩? を繰り広げる顛末は世界の修正力を見せつけられる気がして。
尊厳、いや、人の心に問いかける「最後の変革」とは何か。最終巻からも目が離せません。

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2020年06月26日

『声優ラジオのウラオモテ #02 夕陽とやすみは諦めきれない?』

二月公 先生が贈る青春声優エンタメ。第2巻は“夕陽”と“やすみ”を執拗に叱咤する
先輩声優や学校にまで付きまとってくるファンによって2人の声優生命が窮地を迎えます。
(イラスト:さばみぞれ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/sayyouradio/322002000158.html


裏営業疑惑に決着をつけたがアイドル声優として経歴に傷をつけた“由美子”と“千佳”。
首一枚つながった彼女たちの安堵感に、執拗に釘を刺す“柚日咲”の言葉一つ一つが正論
であるだけに、腹は立つがぐうの音も出ないのが読者としてももどかしい展開が続きます。

“柚日咲”が“千佳”たちに怒り続ける理由。そこに「声優を好きになる」という一種の
業のようなものを、矛盾を抱えた感情のウラオモテを感じて“柚日咲”が憎めない存在へ
変わっていくのが興味深い。とは言え、そんな不安定さに親が口を出すのも自然な流れで。

今一度、声優人生を懸けて臨む通学路。良くも悪くもファンの熱量をぶつけられる2人が
声優となった責務を果たす決意を示すかのように声を張り上げ、号泣しながら走り抜ける
あの場面は挿絵を含めて圧巻の一言。次はどんなラジオで魅せてくれるのか、楽しみです。

posted by 秋野ソラ at 00:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル