2025年06月20日

『一途な彼女がフラれてくれない』

丸深まろやか 先生のWeb小説投稿作が書籍化。恋愛を忌避して自由でいたい平凡な少年と、
そんな彼に一目ぼれした完璧美少女が恋愛を巡り攻防を繰り広げる青春ラブコメディです。
(イラスト:ものと 先生)

https://dash.shueisha.co.jp/bookDetail/index/978-4-08-631602-6
https://ncode.syosetu.com/n1137fz/


「行動を制限しない」「好きになることを期待しない」「周りに関係をバラさない」この
3点を条件に“碧人”は“静乃”と付き合うことに合意した。一人の時間を優先する様な
素の自分を見せれば諦めるだろうと踏んだ彼だが、彼女の好き度合いは増すばかりで──。

“碧人”のちょっとした親切に端を発する“静乃”の空回り気味な恋模様。彼からすると
はた迷惑でしかない彼女の押せ押せムードを押し返しきれない彼の心模様。とある過去を
引きずって凝り固まった彼の価値観を覆せるか、彼女の果敢な戦いぶりには舌を巻きます。

“藍奈”が兄“碧人”の頑なな姿を諫めることなく、彼を好きだという“静乃”に肩入れ
することなく、けれど未来を憂う兄想いな振舞いを見せてくれたのが強く印象に残ります。
彼が“静乃”との関係をどう整理するか、様々な思惑と共に見守ってもらいたい物語です。

posted by 秋野ソラ at 00:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2025年06月19日

『義妹なら本気になってもいいよね? 1』

「魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?」の 手島史詞 先生が
贈る新作は、兄に恋する妹が義妹と知った日に記憶を失う所から始まるラブコメディです。
(イラスト:Kuro太 先生)

https://firecross.jp/hjbunko/product/2030


高校生になった“真人”は妹“悠凛”と話をする機会もなく嫌われている・・・のは誤解で
彼女が兄のことを異性として好きだという秘密を抱えて苦悩していることを知る由もない。
交通事故で記憶喪失となり、義兄妹だと告げられた彼女に生じる心の変化についても──。

感情もリセットされた“悠凛”が“真人”を「血は繋がらずともとても優しいお兄さん」
と認識し直すのに対して、彼が義妹を「嫌われてたはずなのに距離が近いのなんで?」と
身近な同年代の異性として意識せざるを得ずに葛藤する姿が微笑ましくて、こそばゆくて。

記憶は失っても“真人”が好きだった事実は消えない。“悠凛”を激推しする“月見里”
との会話などから自身の過去を知った時、“悠凛”はどんな決断をするのか。恋に関して
時に暴走気味な“悠凛”を“真人”は受け止めきれるのか。続きが楽しみなシリーズです。

posted by 秋野ソラ at 00:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2025年06月18日

『こちら、終末停滞委員会。4』

逢縁奇演 先生が贈る、終わりゆく世界を護る者たちの物語。第4巻は救ってくれた人の名
を失い、銃痕が使えなくなった“心葉”が打開を図るべく他学園への短期転校に臨みます。
(イラスト:荻pote 先生)

https://dengekibunko.jp/product/shumatuteitai/322501000112.html
https://comic-walker.com/detail/KC_006615_S


カウス・インスティトゥートが今回の舞台とあって“レア”と“心葉”のやり取りがもう
こそばゆい。とは言え仲が悪い学園下とあって油断ならない“奈々”、危ない“ダナエ”
と彼との絡みも目を見張る中で明かされる「髑髏仮面の男」の正体にいきなり驚愕の嵐。

“心葉”への愛、絶対的な信頼がもたらす衝突してほしくない人たちの戦いが見ていて
やるせない思いが募ります。各々に譲れない願いがあるだけに。腰抜けでも、根性なし
でも運命の奴隷にはならないと決めた、求めた彼の渇望が熱い展開へと繋がるのは必見。

“心葉”たちの運命を弄ぶ黒幕、悲劇的で圧倒的な終末に打ち勝つという悲願。やはり
ここぞという場面で頼りになる「あの人」の活躍が目を惹きます。思いがけない旅立ち
が引き起こす心の揺らぎ、エピローグの気になりすぎる引きを踏まえ続きが楽しみです。

posted by 秋野ソラ at 00:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2025年06月17日

『天嬢天華生徒会プリフェイズ』

「楽園ノイズ」新刊と同時刊行を迎える 杉井光 先生の新作は極大学園ラブコメミステリ。
独立学園都市を治める生徒会長と、その学園に赴任する新任教師の運命の邂逅を描きます。
(イラスト:パイレーツキャット 先生)

https://dengekibunko.jp/product/PRIFAES/322401000384.html


生徒の自主性を重んじる、というお題目のもと立法により国から独立を果たした天涯学園。
それを統べる生徒会長となるため“凰華”は関係者に自身の権威を認めさせる必要がある。
そこで彼女が「あること」を教わるために外部から最適な教師を雇う。その人物とは──。

いきなり先生にベタ惚れな会長“凰華”、気丈夫なのに迂闊な副会長“竜胆”、気が荒く
気が利く書記“アルテ”、新任で影の薄い庶務“緋奈乃”を受け持つ先生とは何者なのか。
脛に傷持てば笹原走る、と思わせつつの種明かしで再読必至。この演出にはやられました。

こんなに奇天烈な設定でもいつもながらの登場人物が魅せるやり取りで楽しませてくれる
杉井光 先生らしさが詰め込まれた作品で早くも大満足。「プリフェイズ」の意味を踏まえ
“凰華”の悲願達成に向けてチーム一丸となって突き進められるのか、続きが楽しみです。

posted by 秋野ソラ at 00:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2025年06月16日

『楽園ノイズ7』

杉井光 先生が贈る青春バンドストーリー。第7巻は新たな曲作り、またアルバム作成に
向けて“真琴”が“凛子”たちと夏合宿に臨む中、ある未来予想図を頭にちらつかせます。
(イラスト:春夏冬ゆう 先生)

https://dengekibunko.jp/product/paradise_noise/322312000504.html
https://comic-walker.com/detail/KC_003884_S


無響(デッド)、レコーディング時に求められる反響がない状態。その環境で掻き鳴らす
音がPNOの中にいながらも孤独感を覚える“真琴”の姿を暗喩するかのような描写が印象的。
そんな彼を「憑りつかれてる」「いつかバンドを抜ける」と評する“拓斗”の慧眼たるや。

“真琴”はなぜPNOを棄てるのか。彼自身が認識できていなかったその訳を“キョウコ”が
こだわるあのスタジオで、エンジニア“稲森”とやり取りする中で掴むのも因果なもので。
音楽の録音と再生について語らせることで彼の心情を浮き彫りにする演出は端的かつ的確。

刹那を思わせる夏の合宿は不安な気持ちを忘れさせてくれるかのように賑やかで姦しくて。
水着姿の“凛子”たちを見て奏でる音に思いを馳せる“真琴”の姿が彼の奇異な存在感を
再認識させてくれます。そして秀逸すぎる表紙イラストでも。次巻が待ち遠しい限りです。

posted by 秋野ソラ at 00:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル