2022年05月23日

『ひきこまり吸血姫の悶々8』

小林湖底 先生が贈るコミカルファンタジー。第8巻は「常世」に飛ばされた“コマリ”が
“ヴィル”にやたら気のある少女との出会いを契機として、新たな事実に触れていきます。
(イラスト:りいちゅ 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815616427/


「常世」の“コレット”に昔いた幼馴染も“ヴィルヘイズ”。違うと分かっていながらも
一縷の望みに賭ける彼女のアプローチに“コマリ”も気が気ではない姿を晒すのが面白い。
“ヴィル”も満更ではない様子のこのやり取りが後々に響いてくるところが興味深い展開。

そんな中で【パンドラポイズン】が示した一週間後には“コマリ”が死ぬ、という未来視。
その要因が、冒頭で“スピカ”が熱弁していたにもかかわらず、どうにも的を得ない話が
関係してくるのも、もはや【孤紅の恤】だけで対応できない敵の存在にも驚かされる構成。

今回、傭兵団としてチームを組んだ「コマリ倶楽部」の面々をもってしても回避できない
決定的な瞬間に直面した“ヴィル”が動揺するのも無理はなく、その上で混乱の極みとも
言える置いてけぼりな結末に彼女たちは対応することはできるのか。続きが気になります。

posted by 秋野ソラ at 00:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年05月20日

『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件6』

2023年にTVアニメ放送を迎える、佐伯さん 先生が贈る甘く焦れったい恋の物語。第6巻は
帰省した“周”が過去のしがらみを吹っ切り、“真昼”と共に在る道を意識していきます。
(イラスト:はねこと 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815612009/
https://otonarino-tenshisama.jp/


“修斗”や“志保子”にからかわれながらも、しっかり開き直って“真昼”いちゃつける
“周”の胆力。それでいて一線は超えない真摯に紳士な応対。感慨深いったらないですね。
まだ彼女をドキドキさせる機会が多いものの、いつ逆転してもおかしくない距離感が絶妙。

“周”といるのが当たり前、といった“真昼”の幸せいっぱいな様子を見守るのが楽しい。
その雰囲気に水を差す一通の封筒が、彼女の表情に暗い影を落とすのは見ていて心苦しい。
切るにも切れない親子というしがらみを彼女は本当の意味で昇華できるのか気掛かりです。

夏祭りでの一幕も“周”と“真昼”のいちゃつきぶりに思わずニヨニヨしっぱなしですが、
その合間に語られる“樹”と“千歳”の円満な絆にも思わぬ障害が立ちはだかってそうで、
ここまで来てまだ一筋縄ではいかないのかと思うと同情を禁じ得ない。続刊も要注視です。

posted by 秋野ソラ at 01:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年05月19日

『美少女エルフ(大嘘)が救う! 弱小領地 2 〜金融だけだと思った? 酒と女で作物無双〜』

長田信織 先生が贈る、爽快経済無双ファンタジー。第2巻はエルフフェアー商会の更なる
発展を目指し“アイシア”がドワーフの邑にある砂糖でひと儲けしようと手を伸ばします。
(イラスト:にゅむ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/jakusyouryoti/322112000008.html


冒頭から“ディエナ”に対する仕打ちが容赦ない“アイシア”。その彼女の介入を良しと
しないドワーフの邑、現族長の“エドゥリカ”の頑なで強気な態度をどう崩すか。言葉は
相変わらず悪い所があるものの、しっかり相手の状況を考慮している点は褒めるべきかと。

頼みの綱となるはずの砂糖も問題あり、と見るや高品質なものを、効率よく、更に安全に
作るためにはどうすればいいかを模索する“アイシア”の考え方には感心しました。かの
ニュートンに関する逸話の数々をふんだんに盛り込んで話を進めていく構成が今巻も絶妙。

“エドゥリカ”が頑張り続ける訳。そこに寄り添った“アイシア”や“ダリオス”以上に
“ディエナ”が残した功績が“アイシア”に対する仕返しへと繋がっていく展開も面白い。
影の薄かった“エルエス”の動向も気にしつつ、次にどう話を転がすのか注目したいです。

posted by 秋野ソラ at 01:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年05月18日

『天使は炭酸しか飲まない2』

丸深まろやか 先生が贈る青春物語。第2巻は「久世高三大美女」の一人“御影”に恋する
“志田”を後押しする“伊緒”が、その彼女からもある依頼と相談に乗る顛末を描きます。
(イラスト:Nagu 先生)

https://dengekibunko.jp/product/tenshihatansan/322112000016.html


“志田”が“御影”に惚れたきっかけとなる話からも、彼女が他人を思い遣れる魅力的な
少女であることは窺えます。ここで彼女からの依頼がバッティングしても“伊緒”が恋を
実らせることではなく、恋に決着をつけさせようとする方針に忠実な姿勢がまず印象的で。

誰の告白も受け入れない“御影”が好きな人とは誰なのか。“伊緒”が目を向けた所から
見えてくる、彼女が身につけてしまった処世術とも言える、寂しくて苦しい生き様を否定
してあげられるか。彼が放つ熱い言葉の数々が彼女へ届く度に胸が熱くなるのを覚えます。

惚れ癖が直った“湊”の抱く新たな悩みに喜ぶ“詩帆”が茶々を入れる様子も微笑ましく。
“御影”の件で“伊緒”がトラブルに巻き込まれそうなのを気遣う“日浦”も意味深長で。
そこに“志田”へ“御影”が返答した際の思惑も加わって眩しいほどに青春真っ盛りです。

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2022年05月17日

『わたし、二番目の彼女でいいから。3』

西条陽 先生が描く少年少女の不健全な恋愛模様。第3巻は“桐島”を共有する、という
問題先送り、かつ時限爆弾を抱えた“早坂”と“橘”の関係が更に泥沼へ嵌っていきます。
(イラスト:Re岳 先生)

https://dengekibunko.jp/product/nibanmenokanojo/322110000052.html


「抜け駆け禁止」と言ったものの“桐島”といちゃいちゃする“早坂”を見て嫉妬の念を
隠せない“橘”の矛盾した心。そこに諦めない“柳”のしたたかなアプローチも影響して
三角関係ヒロインとして自分を落とし込んでしまう彼女の壊れっぷりが泥沼すぎてつらい。

一方の“早坂”も“桐島”に依存し続けるのは良くないと言いながら“酒井”に不合格を
もらうほど彼からの卒業には程遠い矛盾を胸に抱え続ける。クリスマスで最後にしようと
切り出したはずが、彼に究極の選択を求めるあたり崖っぷち極まる感じでこれまたつらい。

バイト先や恋愛ノートの件が“桐島”に思いがけない繋がりを見せる中、ラブホテルでも、
幸せの白い粉をキメても、“早坂”や“橘”への独占欲を抱いても「選ぶ」という行為に
至らなかった彼と抜け駆けした結果のペナルティは発動するのか、次巻も目が離せません。

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2022年05月16日

『サキュバスとニート(2) 〜くえないふたり〜』

有象利路 先生が贈るギャグコメディ。第2巻は“和友”の部屋にある召喚陣から新たに
美少女な妖怪が現われ、“イン子”と共に騒がしい日々を過ごしていく様子を描きます。
(イラスト:猫屋敷ぷしお 先生)

https://dengekibunko.jp/product/succubustoneet/322111000154.html


“乃艶”が言う「飛縁魔」とは何か。もしご存じなければ追々わかるので、ぜひ調べずに
そのまま読み進めて、あるがままの彼女を受け止めてほしいと思います。彼女が“茉依”
の抱く夢にもつながっていく話の構成もお見事。今巻の副題も含みの持たせ方が絶妙です。

“和友”が好きすぎるあまり奇行に及んでしまう“茉依”もさることながら“琥太郎”が
その上をいくアレを見せつけてくるのが興味深い。気づいた“久遠那”の悩みもお察しで。
そんな日常を口絵、挿絵で演出する 猫屋敷 先生の作品愛が良い相乗効果を生んでいます。

兎角、世知辛い昨今だからこそギャグラノベで笑いを届けようとする 有象 先生の気概は
称賛に値すると思います。そのギャグを下地にした上で、読ませる物語としての完成度も
しっかりと用意されていて今巻も文句なしにオススメ。続刊されることを強く期待します。

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2022年05月13日

『小説 異世界居酒屋「げん」』

蝉川夏哉 先生の異世界グルメファンタジー『異世界居酒屋「のぶ」』公式スピンアウト作。
閉業を決めた店主の店が異世界につながったことで営業再開に至る顛末を小説で描きます。
(イラスト:碓井ツカサ 先生)

https://tkj.jp/book/?cd=TD028594


父“草平”が一人で営む、自身の思い出も溢れる居酒屋を閉めると“ひなた”は耳にする。
長年患っている腰痛が原因か。はたまた再開発の影響で客足が遠のいたか。とにかく急ぎ
店に戻ってみると、異国情緒のある客に料理を振る舞っている父の元気な姿があって──。

料理を介した異世界人との交流やいざこざ、神の御使いとの縁、異世界人の雇い入れなど
「のぶ」でもあった異世界に出入口が繋がってからの重要な要素を覗かせつつ「げん」の
お家事情を踏まえるとどうなるか、というスピンアウトらしい一面でも魅せてくれます。

“草平”なのに店の名前が「げん」、という理由。店を譲ってほしい、という“正太郎”
が抱える料理人としての悩みを“草平”が受け止める一幕。異世界を通じて現世界の人々
の考えるしあわせのかたちを印象深く見届けながら、続きに思いを馳せたいと思います。

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2022年05月12日

『100日後に死ぬ悪役令嬢は毎日がとても楽しい。』

ゆいレギナ 先生の「小説家になろう」投稿作が書籍化。許嫁の王太子殿下に浮気をされ
婚約破棄も目前の公爵令嬢が、神様に死の予告を受けてから送る意欲的な日々を描きます。
(イラスト:いちかわはる 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815614508/
https://ncode.syosetu.com/n8024hd/


「あなたは百日後に死にます」と神々しい青年から告げられる“ルル−シェ”。ほかにも
お家断絶、婚約者も悲惨な末路を辿ると聞き、彼女は回避不能の何とも惨めな人生の末路
を前に、最高に美しい死を遂げるために、自身に出来ることをやり遂げると決意する──。

どこか人間味あふれる“神様”の思惑とは裏腹に、彼しか理解できない“ルル−シェ”が
取り組む施策の数々を“サザンジール”たちが悪役令嬢のような振舞いとしか受け止める
ことのできないもどかしさ。そして切なさたるや。こんな良いお嬢さん、中々いませんよ。

“ルル−シェ”の奇行を受け止める渦中の人“レミーエ”がどう感じていたのか、などの
視点を交えて少しずつ未来が変遷していく兆しが見えてきた残り40日弱。“ザフィルド”
も呆れるほど独りよがりな“ルル−シェ”が思い描く人生の終着点を見届けたいものです。

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2022年05月11日

『処刑少女の生きる道(バージンロード)7 ―ロスト―』

TVアニメが放映開始を迎えた、佐藤真登 先生が贈るファンタジー作品。第7巻は世界中で
追われる身となった“メノウ”が“アカリ”を取り戻す手がかりを求めて北へ向かいます。
(イラスト:ニリツ 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815613990/
https://virgin-road.com/


“メノウ”と“アビィ”の旅に“マヤ”が加わることで賑やかになる様子は、“モモ”と
“アカリ”の時とは違うにしても、緊張の糸を解してくれるかのようでどこかありがたい。
そんな“マヤ”が思うところあって問題行動に出てしまうのが話の軸になるのが興味深い。

“メノウ”が退けた“教官”が語る、処刑人という立場の変化。“ハクア”や“マヤ”の
フラッシュバックする過去。立ちはだかる“ミシェル”の狙いと圧倒的な力。いやな予感
しかしない状況を“メノウ”が食い止められるか、緊張感の続く展開に焦りすら覚えます。

“メノウ”が“マヤ”を必要としていないわけじゃない。迷い続ける“マヤ”を諭すかの
ように告げた“サハラ”のあの一言が今巻では深く印象に残ります。“アビィ”の思惑が
未だ疑わしい点と、エピローグで見たやり取りの行方が気になります。次巻も要注目です。

posted by 秋野ソラ at 00:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年05月10日

『負けヒロインが多すぎる! 3』

雨森たきび 先生が贈る負け確ラブコメ。第3巻は学園祭を迎えるにつれて先輩たちとの
別れが迫ってしまうを考えずにはいられない“小鞠”の心に“温水”が触れていきます。
(イラスト:いみぎむる 先生)

https://www.shogakukan.co.jp/books/09453064


“玉木”と“月之木”そして“小鞠”の3人で過ごした日々をどれだけ大切にしていたか。
それは次期部長として学園祭の準備を任された彼女の根を詰める姿からも見て取れる話で。
けれど頑張りすぎたが故に、彼女が思い描いた形で本番に至れなかったのは実に切なくて。

“小鞠”が部長としての初仕事、人前で話すのが苦手ゆえに悩ましい部長会での自己紹介。
練習に付き合う“温水”が、“玉木”たちから託された想いも踏まえてどう振る舞うのか。
彼女の怒りが、ただ単に彼の「やらかし」に対してだけではないのがまたもどかしい所で。

“小鞠”にとって文芸部という場がいかに大切か、を知る“温水”だからこそ掛けられる
言葉の数々に救われます。告白したことを後悔したくない、と“月之木”たちも驚かせる
ほどに成長した彼女の笑顔、その意味を彼が理解できるかは神のみぞ知る、ということで。

posted by 秋野ソラ at 01:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル