2020年03月27日

『猫と竜 竜のお見合いと空飛ぶ猫』

シリーズ累計22万部を超す、アマラ 先生が贈る猫と竜そして人間が紡ぐファンタジー作品。
4冊目は母猫が猫竜たちのお見合い実現に向けて奔走するなど、賑やかな日常を描きます。
(イラスト:大熊まい 先生)

https://tkj.jp/book/?cd=TD002501


楽をするための苦労は進んでする魔法使い“ガリー”の相変わらずな姿や、彼女が進路に
悩む様子を知りつつ冒険者への勧誘に余念がない王子“スタン”のこだわりが微笑ましい。
紆余曲折を経て決まった彼女の勤め先には長く続く縁を感じさせて思わずニヨニヨします。

“グレーターデーモン”がふと呟く「母猫が育てた」という彼や“猫竜”の兄や姉の存在。
彼らだけでも一冊の本にまとまるくらいの驚くべきエピソードにも関わらず、その兄姉も
超弩級。これはもはや、母猫が世界の命運を握っているといっても過言ではありません。

そんな母猫が“アンネロッサ”と意気投合して年寄りのお節介ぶりを披露して周囲を困惑
させる一方、“ゼバスタフ”と“トルクラルス”が寄る年波に勝てぬと気落ちする様子は
対称的・・・かと思えば騎士道精神を貫く頑健さには脱帽しました。見習いたいくらいです。

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2020年03月26日

『GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン NEXT BOX 序章編』

川上稔 先生が贈る大人気戦国学園ファンタジー。「電撃文庫」にて完結を迎えた本作が
「電撃の新文芸」にて再スタート。ダイジェストやアイコントークなど新要素も満載です。
(イラスト:さとやす 先生(TENKY))

https://dengekibunko.jp/product/horizon/321910000102.html


「歴史再現」とは何ぞや。話の軸を担う設定の数々をB6判に広がった紙面を活用し、要約
しながら分かりやすく魅せることによりここからでもシリーズを読み始められる親切設計。
アイコン表示で話し手を可視化することで、登場人物の多さをカバーしてくれるのも救い。

末世解決の後、世に溢れた情報が地脈に負荷を掛けたことで発生する様々な怪異を鎮める。
手始めとして武蔵内の歴史再生に臨むことで29冊に渡る物語を「再履修」しながら武蔵の
面々も「過去をどう認識していたか」を示してくれて、既読者も追加要素で楽しめる構成。

厚い紙幅を読み進めた中で蓄積したお気に入りの場面を思い出させてくれて感慨深いです。
さとやす先生が描いてきた挿絵も数多く収録されており画集として見る楽しさもあるかと。
「どこから読んでもいいスタイル」からどんなエピソードが生まれるのか、興味津々です。

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2020年03月25日

『本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜第五部「女神の化身1」』

香月美夜 先生が贈る大人気ビブリア・ファンタジー。 第五部最1巻は“フェルディナンド”
を送り出した“ローゼマイン”が貴族院3年生となり、野望に向けて忙しなく動き回ります。
(イラスト:椎名優 先生)

https://tobooks.shop-pro.jp/?pid=146959864


“ローゼマイン”を疎ましく思う勢力の悪意、「粛清」の顛末をもってしても衰えを知らず。
それでも自分の図書館を充実させるべく邁進する彼女の姿は頼もしくもあり勇ましくもあり。
血気盛んな彼女に遠く離れた身でありながら釘を刺す“フェルディナンド”には流石の一言。

神の加護を得る儀式で多くの加護を得る、という“ローゼマイン”も体験した不思議話から
ある事実を突き止めたエピソード。その影響がもたらす彼女の変化、そして価値の底上げは
今後の更なる騒動に向けた対策でもあるのかも知れない、と思うと素直に喜べない雰囲気で。

「粛清」関連の話で印象的なのは“グレーティア”が“ローゼマイン”に示した決死の覚悟。
まさに苦渋の決断といった所で同情しながらも名捧げした相手に尽くしてくれたらと祈らず
にはいられません。“ヒルデブラント”王子が示す決意の行方も気になる次巻が楽しみです。

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2020年03月24日

『豚のレバーは加熱しろ』

逆井卓馬 先生の「第26回電撃小説大賞・金賞」受賞作。異世界に豚として転生した青年が
人の心を読む少女が命を狙われる危機から守るべく、不自由な姿で大冒険を繰り広げます。
(イラスト: 遠坂あさぎ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/butaliver/321910000142.html


豪族の小間使いとして仕える美少女“ジェス”。主人に暇をもらい帝都に向かう必要がある
彼女に世話になった“俺”は同行することを決めた。豚の姿で。全ての元凶、豚のレバーを
生食した事を悔いる冴えない理系オタクの豚に何が出来るか、不自由な身で考えながら──。

“ジェス”が主人公の考えていることを、少々やましいことも感じ取っても嫌がることなく
サービスシーンすら見せてしまう彼女がけなげで愛おしい。その彼女が命を狙われる要因、
「イェスマ」という種族とは何か、そもそもなぜ彼女は帝都を目指すのか、謎は尽きません。

主人公が持てる知識を駆使し、彼女に迫る危機を振り払い、謎に迫る過程で話の構成要素が
次々と繋がっていく展開に惹かれます。帝都に何が待ち受けているのか、主人公は元の世界
に戻れるのか、結末も興味深い引き具合で続きが気になります。お薦めできるシリーズです。

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2020年03月23日

『数字で救う! 弱小国家 5 勝利する者を描け。ただし敵は自軍より精鋭と大軍であるものとする。』

長田信織 先生が贈る異世界数学ファンタジー戦記。第5巻は同盟軍の潰走から泥沼化する
戦争に頭を悩ませる“ナオキ”たちに更なる強敵と、史上最大の窮地が待ち受けています。
(イラスト:紅緒 先生)

https://dengekibunko.jp/product/su-suku/321907000705.html


同盟軍の大敗をお膳立てした“グラフディール”公爵の「ファヴェール」に対する執拗な
間接攻撃を見抜き、嫌悪感を示す“ナオキ”。公爵が明かした「きっちり届ける」信条の
意味を突きつける現実の厳しさは彼の身にも降りかかるほどで緊迫の度合いが段違いです。

聡明であるが故に失言などやらかしてしまう“ソアラ”が「かわいそがらないでください」
と決めセリフを言う面白さも安定してきましたが、まさか涙ながらに絞り出すその一言が
胸を打つことになろうとは。“ナオキ”も隅に置けませんな。愛人とのあの絡みも含めて。

弱小国家を救うため「幸せを増やして世界をより良くする」ことに尽力した“ナオキ”が
導いた結末。人間ドラマに溢れる展開は戦記物としての魅力を更に引き上げたと思います。
ここで幕を引くのは惜しくないですか、「電撃文庫」編集部さん。続刊を熱望いたします。

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2020年03月20日

『六畳間の侵略者!? 34』

健速 先生が贈る人気シリーズ。通算36冊目は突如牙を剥いた“ラルグウィン”の狡猾な
襲撃の数々に手を焼く“孝太郎”が六畳間の女の子たちに助力を求める展開を描きます。
(イラスト/ポコ 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/892.html


バイトで次々と騒動に巻き込まれる“ゆりか”にお金の面倒は見ると宣言した“孝太郎”。
1人を選ばず8人を受け入れる、という六畳間の特異な縁が一歩進んだ証でもあるワケで。
“ルース”との一件で何事も任せっきりにしない、と考え方を変えた点も今後要注視な所。

そんな中、“ヴァンダリオン”の失敗を糧とするべくフォルトーゼの超越した科学技術や
霊子力遮蔽装置がもたらす効果を最大限に活かす“ラルグウィン”の二重三重の策が実に
えげつない。超長距離からの狙撃手“ファスタ”が今後どう絡んでくるかも気になる存在。

こと戦闘する場面では獅子奮迅の活躍を見せる“孝太郎”も新たな敵のアプローチで一歩
出遅れることになる今巻。無事に帰ってくることを信じて待つ、という女性陣の苦しさを
実感できたことで更なる成長が見込めて楽しみです。予告の内容にも興味津々であります。

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2020年03月19日

『転生魔王のジュリエット』

久慈マサムネ 先生が「ファンタジア文庫」から贈る新作は、敵国同士なのに恋仲な男女が
結ばれるとこの世界が滅ぶ魔王の呪いのせいで葛藤する日々を描く学園ファンタジーです。
(イラスト:みやま零 先生)

https://fantasiabunko.jp/product/202002juliet/321910001007.html


“ハルト”と“イリス”は辛酸をなめ合う各々の国の代表者で、学園内の諍いも絶えない。
実は秘密の逢瀬を重ねる間柄で、しかも結ばれたら身に宿す転生体が揃い魔王が復活する
爆弾を抱える関係。催淫をもたらす呪いもあり、恋人と世界どちらを取るかが問題で──。

表では“ハルト”に対して敵意むき出しの“イリス”が、2人っきりときは目をハートに
するほどラブラブな様子を見せるのがまず可愛い。呪いの催淫効果でエロくなる姿も実に
艶めかしい。彼に抱く恋心も呪いのせいではないか、と悩んだりするところもいじらしい。

魔王復活を目論む“サザーク”もイイ味だしてるキャラでコメディ要素にも手抜かりなし。
“ハルト”も“イリス”も実力者でバトルも熱く、見栄えの良いシーンに事欠かきません。
呪いなんて関係ないと宛てもなく息巻く2人に一縷の望みも見せており続きが楽しみです。

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