2020年02月20日

『冬に咲く花のように生きたあなた』

こがらし輪音 先生が贈る新作は、難病を抱えながらも力強く生きる女性と、いじめ絡みで
いつ死んでもいいと絶望する少女の心が入れ替わることで問題解決に臨む奇跡の物語です。
(イラスト/中村至宏 先生)

https://mwbunko.com/product/321909000257.html


通勤途中の“よすが”は駅のホームから落ちる“柊子”を間一髪で救うことに成功する。
気を良くした彼女だが、先ほど命綱となる内服薬を落としていたのに気付かず気を失う。
目が覚めてなぜか制服を着ていた彼女が見た鏡に映る姿はあの“柊子”そのもので──。

植物学者を目指す“柊子”と、画家を目指す“夏海”。親友の2人なはずが絶交状態で、
“夏海”は夢も諦め引きこもっていて。鍵を握る生徒会長“淡河”を探ると生徒たちに
圧制を強いていて、更に2人を蔑む始末。謎だらけで“よすが”が困惑するのも納得で。

“淡河”がしきりに否定する「冬に咲く花」。その陰にある家庭事情に同情しながらも
関係修復に尽力する“よすが”に触発されて心解かれていく“柊子”、そして“夏海”。
2人が彼女にどう恩を返すか。努力が生み出す奇跡の開花を見届けてほしい作品です。

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2020年02月19日

『察知されない最強職6』

三上康明 先生が贈るファンタジー作品。第6巻は「世界を渡る術」が完成し日本に戻るか
異世界に残るか悩む“ヒカル”に対し、死に至る謎の病と教会の陰謀が立ちはだかります。
(イラスト : 八城惺架 先生)

https://herobunko.com/books/hero59/11249/


“ヒカル”が選ぶ道は推して知るべし。その上で帰れると知った“セリカ”がどう動くか。
彼女の事情を汲んで“シェフィ”が見せる振舞い、その裏にある葛藤が優しくて切なくて。
“セリカ”からの提案もさることながら、その結果が意味する所は今後注目したいもので。

聖ビオス教導国がアインビストと衝突するにあたり次々と見せつけてくるえげつない悪意。
中でもポーンソニア王国で奇病を流行らせたことを即座に掴んだ“ヒカル”が事態打開に
乗り出す展開は、先ほど選んだ道の確固たる証跡とも言える熱量があって清々しい限りで。

奇病の件で切り札を握る“ルヴァイン”に一縷の望みを託しつつ、クインブランド皇国が
聖ビオス教導国に見せる敵意の行方、“ウンケン”が語る秘密と彼の関係者が向かう行先。
依然続く異世界の動乱に“ヒカル”がどう関わっていくか、次巻も楽しみな引き具合です。

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2020年02月18日

『異世界迷宮の最深部を目指そう 13』

左藤圭右 先生のコミックスと同時刊行する 割内タリサ 先生の異世界迷宮ファンタジー。
第13巻は聖人“ティアラ”の血を巡って“ラスティアラ”が深く、強い想いを滲ませます。
(イラスト/鵜飼沙樹 先生)

https://over-lap.co.jp/Form/Product/ProductDetail.aspx?pid=9784865546026


体を借りて復活した“ティアラ”の残留思念から“ライナー”に告げられた様々な事実。
彼が逐一見せる反応を堪能しつつ、彼女が言う“ラスティアラ”の抱く誤解を彼がどう
捉えて行動していくかが見どころ。絶望的な登場の仕方をする“ジーク”にもご注目で。

そんな“ティアラ”の「再誕」と、彼女が“カナミ”に未練を残していると信じる余り
狂気の言動を見せる“ラスティアラ”。ある意味、本領発揮という“ラスティアラ”を
“ティアラ”が食い止める秘策が滑稽で、彼にとって実に容赦ないのが同情を誘います。

今巻の口絵ではそんな四者の心境が汲み取られていて、見事な演出を魅せてくれました。
実に面倒臭い“カナミ”と“ラスティアラ”の関係にもようやく区切りがついた場面で
“ライナー”は“ティアラ”から託された願いを叶えることができるのか、楽しみです。

posted by 秋野ソラ at 00:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年02月17日

『ヤンキーやめろ。メイドにしてやる』

秀章 先生が贈る新作はラブコメディ。執事の家系で育ち、名家の気難しいお嬢様に仕える
少年が助けた不良少女の義理堅さをみて主人の専属メイドに仕立て上げようと奮闘します。
(イラスト:紅林のえ 先生)

http://lanove.kodansha.co.jp/series/?c=1000021008#bk9784065187364


企業グループ「折鶴」の一翼を担う“麻白”が商売敵に対し同盟の結束を図り催す晩餐会。
その直前でベテランメイドが抜ける穴を補うため執事の“太一郎”が挙げる候補を彼女は
片っ端からクビにする始末。そんな折、彼が裏路地で手負いのヤンキー少女と出会う──。

所作からして不躾な“ハナ”にメイドとしての心得を教え込もうとする“太一郎”に対し
思う所ありすぎる“麻白”。少女2人の衝突する様子は見ていて微笑ましくて、面白くて。
何より信じてくれた彼の言葉に応えようと“ハナ”が頑張る姿はつい応援したくなります。

十全とは言えない中で迎える晩餐会。“麻白”の窮地を前にして“ハナ”は何が出来るか。
その結末に“麻白”がどう応えるのか。“太一郎”も驚きの結末は爽快感に溢れています。
200ページほどで綺麗に纏めたのも好感触で、3人の今後の関係を見届けたくなる物語です。

posted by 秋野ソラ at 00:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年02月14日

『―異能―』

落葉沙夢 先生の「第15回MF文庫Jライトノベル新人賞・審査員特別賞」受賞作。異能力を
使うバトルロワイヤルに巻き込まれる少年少女たちの想像を超える命運の数々を描きます。
(イラスト:白井鋭利 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/inou/321907000792.html


文武両道、容姿端麗、まさに特別な存在の“赤根”。学校一可愛いとも称される“月摘”。
凡庸な“大迫”がそんな2人と合縁奇縁の仲でつるむ日常を送る中、謎の少年から勝てば
願いを叶える異能者同士が戦う大会に招待される。自信の異能を探りつつ場に臨むが──。

異能の発露もないまま“大迫”が圧倒される相手の無慈悲さ。主人公かと思った“大迫”
のあっけない退場から始まり、次々と移り変わっていく当事者の視点。大会のことなど
露知らず謎の連続殺人事件として捜査する警察の目線。二転三転する展開に翻弄されます。

謎の少年“和”が異能力者たちに詭弁を弄して願いを踏みにじり続けるその果てに、彼と
対峙する「主人公」は誰なのか。いかにも異能力を活用したどんでん返しに驚かされつつ
読み終えた後には爽やかさと、せめてヒロインの幸せを祈りたい切なさが印象に残ります。

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2020年02月13日

『理想の娘なら世界最強でも可愛がってくれますか?4』

三河ごーすと 先生が贈る終末学園ファンタジー。第4巻は“雪奈”抹殺の道を選んだ人類
を前にして“冬真”がどう振舞うか、そんな父親と彼女がどう向き合うかを描き切ります。
(イラスト:茨乃 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/risounomusume/321909000818.html


“雪奈”の処分を決めた“桐幻”が“冬真”の思惑すら含めて仕込んだ切り札の無慈悲さ。
死者の想いも、自身の存在すら冒涜された“冬真”が死闘の果てに辿り着いた境地の数々。
その想いを託した姿は格好良い父親として、また一人の男性として印象深く胸に残ります。

“冬真”の決意を受け手《名無し》の面々も改めて自身の役目について問われる状況の中、
彼に“カチュア”が想いをぶつけるその様子ははた迷惑でありながら微笑ましくもあって。
さらに別の決断を下した「あの人物」も過去に縛られず生きていける展開に救われました。

はた迷惑と言えば、“アレイナ”に不完全ながらも救われた“セリカ”もいながら迎えた
“冬真”の悲劇を前に駄々をこねる“雪奈”の姿は世の人々にどう映ったのかを考えると
これまた面白い親離れの一幕で。家族として、人として成長を遂げた父娘に心から祝福を。

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2020年02月12日

『探偵はもう、死んでいる。2』

二語十 先生が贈る「第15回MF文庫Jライトノベル新人賞・最優秀賞」受賞作。大反響の中
刊行を迎える第2巻は“シエスタ”のビデオレターを元に彼女自身の死の真相を探ります。
(イラスト:うみぼうず 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/tantei_dead/321909000819.html


「カメレオンになんて殺されていない」映像を通じてそう断言する“シエスタ”。彼女が
“君塚”と過ごした3年間を振り替えって思い出してほしいこと、決断してほしいことは
何かを探るシリアスな展開・・・の中に散りばめられたコミカルな場面の数々が微笑ましい。

“風靡”による“生き返ったジャック・ザ・リッパー”捕縛の依頼を経て《SPES》の一員
“ヘル”と対峙する中で奇想天外な設定が飛び交う中でも仲睦まじい様子を見せる探偵と
助手のやり取りがもうこそばゆいの何の。“シャル”たちが意気投合するのも納得な訳で。

“君塚”が拾った記憶のない幼女“アリシア”。彼女の依頼を遂行していく内に辿り着く
残酷な真実を前にして“シエスタ”が「探偵の仕事」を全うしようとしたがゆえの結末。
零れる涙は誰のため。“君塚”が助手として改めてどう振舞うのか次巻の動向に注目です。

posted by 秋野ソラ at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル