2017年03月27日

『キラプリおじさんと幼女先輩』

岩沢藍 先生の「第23回電撃小説大賞・銀賞」受賞作。女児向けアイドルアーケードゲーム
に心血を注ぐ高校生が女子小学生に地元トップの座を追われる所から始まるラブコメです。
(イラスト/Mika Pikazo 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-892670-6/


下関にある高校へ通う“夏希”の心配の種。それは幼なじみが二次元の女児向けゲームに
嵌まって友達を作らないこと。そんな彼女の思いを他所に日々「キラプリ」を楽しむ彼が
女の子の“千鶴”とムキになって争う姿を見て更生の道を歩ませる決意をするのだが──。

都会でランカーとして名を馳せていた“千鶴”が、なぜ下関で“翔吾”の縄張りを荒らす
のか。その理由を探る余裕もなくライバルとして勝つために切磋琢磨する彼が、いつしか
彼女と気が置けない関係になっていく。その展開がコミカルで妙に熱いのがまず印象深い。

“夏希”が差し伸べた手と「キラプリ」を通じて築いた“千鶴”の小さな手。“翔吾”は
どちらを取ることになるのか。選んだ先に待つ思わぬ結末に思わず心がほっこりしました。
Mika Pikazo 先生が描く幼女先輩が可愛くて物語への没入感がまた半端ない。最高でした。

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2017年03月24日

『ビブリア古書堂の事件手帖スピンオフ こぐちさんと僕のビブリアファイト部活動日誌』

廃止寸前の図書館を守るため書評バトルに臨む図書部員の少女と訳あり少年の青春物語。
「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズのスピンオフを 峰守ひろかず 先生が綴ります。
(イラスト/おかだアンミツ 先生 原作・監修/三上延 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-892755-0/


利用者数が僅かの旧図書館を廃止したい生徒会の副会長。「ビブリオバトル」のルールを
改変して行う書評バトルに勝てば再考すると聞いて勝負に出る古書好きの少女“こぐち”。
黒歴史あふれる小説ノートを見られたことが縁で“響平”は彼女に協力することに──。

ラノベやマンガ、アニメが好きなら古典作品にも楽しめる要素が多くある。書評バトルを
通じてそれを伝えてくれる橋渡し的な物語に仕上がっています。“響平”の朗読が異能の
ような描写になっていたり、“こぐち”が妙に艶めかしい所作を見せる所なども面白い。

時に“栞子”さんに助けられ、時に2人で守ってきた旧図書館も人の思いだけで抗えない
危機を迎えます。そこを稀覯本で安易に解決させない展開に感心しました。スピンオフの
作品として役割を果たす秀作でした。続きが書けそうならば、ぜひお願いしたいものです。

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2017年03月23日

『ビブリア古書堂の事件手帖7 〜栞子さんと果てない舞台〜』

三上延 先生が贈るビブリオミステリ。第6巻は祖父が仕掛けたシェイクスピアの古書に
まつわる怨念に“栞子”が“大輔”と共に挑む、本編最後の事件。その顛末を描きます。
(イラスト:越島はぐ 先生)

http://mwbunko.com/978-4-04-892640-9/


祖父“尚大”の営んでいた久我山書房の番頭“喜市”。“栞子”の足元を見るかのように
嫌がらせのようなアプローチを仕掛けてくる彼が実に憎たらしい。“大輔”が荒ぶるのも
よく分かるのですが、他に術もなく誘導されるがままとなる彼女の立ち位置がもどかしい。

やがて迎える、“尚大”が“智恵子”のために用意した試験の再来に、母と対峙する形で
臨む“栞子”。札入れの緊迫感もさることながら、見守るだけかと思っていた“大輔”が
男を見せてくれました。更に“栞子”が“喜市”の思惑を超えた時は溜飲が下がりました。

“栞子”と“大輔”の仲についても“智恵子”からありがたい言葉をもらい、エピローグ
でも二人らしい節目を迎えてくれて喜ばしい限りです。本編としては区切りがつきますが
峰守ひろかず先生のスピンオフ作品も出ますし、別視点の話もあるそうなので楽しみです。

posted by 秋野ソラ at 00:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年03月22日

『本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜第三部「領主の養女III」』

ドラマCD化決定! 香月美夜 先生が贈る大人気ビブリア・ファンタジー。第三部・3巻は
印刷技術向上を図りつつ、冬の主討伐、春の祈念祭に向け“ローゼマイン”が頑張ります。
(イラスト/椎名優 先生)

http://www.tobooks.jp/books/book_478.html


2017年に入ってから第一部を読み始め、ようやく新刊に追いついた所。兵士の娘に転生した
頃には余命わずかの“マイン”が神殿の巫女見習いとなり、神殿長そして領主の幼女として
立場を変えながらも司書を目指し本の制作、普及に心血を注ぐ様子を微笑ましく見ています。

今巻では冬の主を討伐するくだりのほか、“ヴィルフリート”の教育見直しに関する件や
ハッセの町に対する制裁など、いろいろと区切りのつく場面が多くてスッキリしています。
その分“フェルディナンド”の厳しさ、というか容赦のなさに磨きが掛かっていて面白い。

教育に関しては“アンゲリカ”のあのすまし顔も良かった。全然勉強してないよ感がすごい。
祈る姿もすっかり板についた“ローゼマイン”が図らずも聖女としての力を見せつけていく
流れで更なる技術向上を図る前に素材採集にも油断ならない状況がどう動くか興味津々です。

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2017年03月21日

『裏世界ピクニック──ふたりの怪異探検ファイル』

宮澤伊織 先生が贈る新作は、女子ふたりの怪異探検サバイバル。世界の〈裏側〉で数々の
怪談で見聞きした怪異と遭遇する女子大生がある女性と出会う場面から物語は始まります。
(イラスト/shirakaba 先生)

http://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000013466/shurui_3/page1/order/


大学で文化人類学の研究テーマとして実話怪談に興味をもった“空魚”が見つけた〈裏側〉
への通路。その先で白いくねくねした影に遭遇し溺れかけた彼女を“鳥子”が救う。謎多き
裏の世界にて姿を消した“冴月”という女性を探している、と聞いて手を貸すのだが──。

「くねくね」「八尺様」「きさらぎ駅」「時空のおっさん」と、ネットで話題の都市伝説を
“空魚”と“鳥子”が探検の最中、実際に目の当たりにすることで、いわゆる深淵を覗いた
ことによる体の異常を引き起こしてしまう。あの得体の知れない恐怖感が何ともたまらない。

“冴月”に対する諦めを口にした“空魚”と喧嘩別れした“鳥子”。いつしか“冴月”に
嫉妬していると気がついた“空魚”が協力者を連れて彼女を追う顛末は確かに百合っぽい。
吊り橋効果の如く培われた二人の関係が更なる探検でどう変化するか見てみたいものです。

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