2018年08月17日

『5分後に息をのむ 世にも不思議なストーリー』

木野誠太郎 先生、なみあと 先生、仁木英之 先生、針谷卓史 先生、美月りん 先生による
短編集シリーズ。ブラックユーモア、ファンタジー、感動、恐怖など様々な情景を描きます。
(イラスト:456 先生、水溜鳥 先生)

http://www.seitosha.co.jp/book/isbn-9784791627509.html


各先生方が5冊、その内 なみあと 先生だけ6冊、で計26の小編を収録した本作。分類は
児童書にあたります。文字が大きく、1つあたり10ページ程度でサクッと読める気軽さは
本を読むのに慣れるきっかけにも繋がりそうでまさに小・中学生向けなのもうなずけます。

息をのむ、ということで『トイレの近い花子さん』『棒打ち』のようにオカルティックな
恐さもあれば、事件性のある『家庭訪問』、救いのある『消えたハムスター』やその逆の
『白ゆき姫』、『青のサッカーボール』のように突拍子の無いものまで本当に色とりどり。

普段は長編の作品を拝読する作家さん方の「こんな作品も書けるんだ」と、意外な一面の
ようなものを感じられるのがアンソロジーの醍醐味。それを再認識させてくれた感じです。
特に なみあと 先生の作品に思い入れがあるので次につながる契機になればと願うばかり。

posted by 秋野ソラ at 01:27 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2018年08月16日

『妹が泣いてるんで帰ります。 〜兄がデスマーチに巻き込まれた時、妹が取るべき10の対策〜』

三上ミカ 先生がTwitterで掲載していたイラストシリーズを 田尾典丈 先生がノベライズ。
ゲーム開発を巡り社畜生活を送る社会人たちとその妹さんによる愛と感動のラブコメです。
(イラスト・企画:三上ミカ 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/deathmarch/321804000083.html


ゲーム開発を請け負う会社でディレクターを務める“大輝”。プロデューサーの無理難題に
対応すべく残業を重ねることもしばしば。そんな彼に大切な妹の“優花”から電話が入り
今日も遅くなると告げると、隠し切れない涙声が。そう、今日は彼女の誕生日だった──。

十人十色な兄妹の関係を小編でそれぞれ描きつつ、それを繋げてゲーム開発の行方に触れる
構成で夢物語を堪能できます。・・・いや、実際に帰られたらと思うと虚しさが去来するので。
話の中で彼らが妹のために帰れるのも周囲の理解と協力があってこそなのは認識頂きたい。

三上ミカ 先生の描く仲睦まじい兄妹の微笑ましい様子を堪能してもらうと共に、ゲームを
開発するのにはプログラマーだけじゃない色々な人たちが関係していることを知ることが
できる導入本のような役割をも果たす本作。悶絶しながら楽しめることうけあいでしょう。

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2018年08月15日

『美少女作家と目指すミリオンセラアアアアアアアアッ!!4』

春日部タケル 先生が贈るクリエイターたちの熱血ラブコメ。第4巻は新人賞候補作として
最後まで残った問題作、その作者を巡り“清純”が編集者として更に翻弄されていきます。
(イラスト:Mika Pikazo 先生)


https://sneakerbunko.jp/product/million-seller/321803000502.html


新人賞選考に残った、殺人シーンを生々しく描写する問題作『くたばれ』。作者がまさか
小学生で、更に冷笑的に振舞われるとなると直面した“清純”でなくとも驚くしかなく。
そんな彼女“美門”が“天花”に可能性を感じていた、となると裏も探りたくなるもので。

先生になってほしい、と願う“ひよこ”に付き合っていくことで、思いがけず“美門”の
心境に変化をもたらす過程。そして彼女がなぜ『くたばれ』を書いたのか、という背景に
迫っていく展開は印象深いものが。そして編集長の慧眼が凄すぎてこれまた空恐ろしい。

今回も大物相手にクサいセリフをバンバン注ぎ込んでいく“清純”の熱量も見所の一つ。
そんな騒動を知る由もない、出番が少なめな“天花”についても編集長の目が冴え渡る
と思えば、これまた斜め上な所から渦中の人となってしまう流れからは目が離せません。

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2018年08月14日

『魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい? 6』

手島史詞 先生が贈る、不愛想魔王と箱入りエルフによるラブコメファンタジー。第6巻は
とある手違いで少年の姿になった“ザガン”が元の姿に戻る策を求めて極東に足を運びます。
(イラスト/COMTA 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/795.html


“ザガン”から強さを教示されない対応策として「大きくなること」を望む“フォル”の
考え方が独特で興味深いと感じる中で彼の身にかかる呪いのようなまさかの災難。奇しくも
COMTA 先生の望んだ展開が訪れた、ということでまずはお祝いの言葉を申し上げる次第で。

“オリアス”からも薦められた島国で“セルフィ”に意外な繋がりが見えてくる展開とか、
賢竜“オロバス”そして魔王“マルコシアス”の昔話とか、過去の布石が色々絡んでくる
場面の一つ一つに要注目。そして“ネフィ”の深く静かな怒気の示し方も目を惹く所で。

歪な状態にある“フォル”を襲う窮地を前にして、小さい“ザガン”も本領を発揮できず
どうするの? という場面で、デートを楽しみそこねた彼もようやく報われたかなぁ、と。
結末も“ネフィ”が良い娘すぎて頭を撫でたくなる勢い。のろけがぜひ聞きたいものです。

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2018年08月13日

『あんたなんかと付き合えるわけないじゃん!ムリ!ムリ!大好き! 3』

内堀優一 先生が贈る青春ラブコメ。第3巻は“小春”との関係について周囲を困惑させた
“悟郎”が彼女からの別れの提案に対し、その瞬間を迎えるまで共に在る決意を示します。
(イラスト/希望つばめ 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/798.html


“悟郎”のために出来ること。2年生の新学期を別れの日と定めた“小春”の様子からは
窺えない彼女の強がりにいつ気づけるか。彼女のわがままに付き合い振り回される彼には
なかなか難題だったかも知れません。2人を気遣う“明菜”が本当に良い娘すぎてもうね。

ギクシャクしていた“久礼人”との関係修復に乗り出したり、まるで贖罪のような“真冬”
からの対応に物申したり、と“悟郎”が壁を乗り越えていく。その一方で、両親に対する
想いを伝えることのできない“小春”の取り残された様子が対称的で、切なさに溢れます。

あとがきにかえて 内堀 先生が巻末に添えた文章からこの結末に至った心境が垣間見える
ような気がして、だからこそラストの挿絵が前向きな気持ちに繋がってくれることをただ
祈るばかり。そして願わくば「彼女」と約束を果たしてほしいと思わずにはいられません。

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2018年08月10日

『高崎グラフィティ。』

「第1回未完成映画予告編大賞」グランプリを受賞した 川島直人 監督の長編デビュー作。
高崎で卒業式を迎えた男女5人を描く今夏公開の映画を 古宮九時 先生がノベライズです。
(イラスト/とろっち 先生)

http://mwbunko.com/978-4-04-893935-5/
http://takasaki-graffiti.com/


彼氏と結婚する“寛子”。東大に進学する“康太”とFランク大学に進学する“直樹”。
父の整備工場を継ぐ“優斗”。東京の専門学校で服飾の勉強をする“美紀”。卒業後の
道を語る5人の中で“美紀”に「入学金が未納」と連絡が入る所から話は動き出す──。

学校生活で感じていた息苦しさと、高崎という地で募らせた閉塞感が胸中に重なる感覚。
怒りも悲しみも、後悔も決意も、卒業と共に解放されるクラスメイトたちの様々な感情。
戸惑って、ぶつかって、修復不可能になりそうな関係を紙一重で繋ぐのが未納騒動です。

入学金を払うはずの父はなぜ見つからない? お金が払えないなら夢をあきらめるか?
“美紀”の葛藤が4人に伝わり、自分に出来ることを、漠然とした将来を見つめ直す。
迷走した5人が揃って叫んだあの宣言は空色のあの服みたいな清々しさを覚えました。

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2018年08月09日

『おいしいベランダ。 マンション5階のお引っ越しディナー』

コミックス第1巻が今秋発売予定の、竹岡葉月 先生が贈る園芸ライフラブストーリー。
第5巻はマンション修繕でベランダが使えなくなった“まもり”たちの危機を描きます。
(イラスト:おかざきおか 先生)

https://www.kadokawa.co.jp/product/321803001467/
http://www.fujimishobo.co.jp/sp/201607veranda/


ベランダに一切の私物を置くべからず、ということで“北斗”の母“瑠璃子”の家の庭を
借りる“葉二”と“まもり”。その縁で“北斗”の複雑な家族事情を垣間見ることになる
“まもり”が反省できるあの姿勢は見習いたい。にしても「葉二さん」呼びが微笑ましい。

修繕工事の騒音を煩わしく感じる日が続く中、今度は“まもり”の従姉妹“涼子”が夢を
追い海外赴任した先から帰ってきます。借主が突然の帰国、となると“まもり”は実家に
戻ることになるため“葉二”と築いてきた距離感もあって戸惑いが隠せないのは胸中複雑。

“葉二”が苦手とする“涼子”にも深い事情があって、これまた世知辛さを滲ませます。
お隣さんとしての関係が終わりを告げる、その先に“まもり”たちがどう心を決めるか。
二十歳を迎え、大学生活の終わりまでに彼女が手に入れる場所とは何か、気になります。

posted by 秋野ソラ at 00:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル