2018年01月24日

『はたらく魔王さま!18』

和ヶ原聡司 先生が贈る魔王と勇者の庶民派ファンタジー。第18巻はバイト先に新店長赴任
という時期に自分の将来を見据えた決断を下した“千穂”を見て“真奥”も動き始めます。
(イラスト/029 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-893572-2/


高校三年生、という大事な時期を迎えて将来と“真奥”への想いで動揺が隠せない“千穂”。
アルバイトを始めた頃のエピソードがここで効いてくるのは初心に帰る意味でも重要でした。
とは言え、幡ヶ谷駅前店が直面する危機に新店長“岩城”が不安になるのも無理はない話で。

見えてきた敵と突きつけられた現実に打ちひしがれる“真奥”も含め、しっかり前を向いて
行動できている点に勇気づけられます。そんな中で判明する「予想外の敵」の可能性に彼ら
一斉に浮足立つのが印象深い。“志波”からの回答があっさりすぎたので余計に際立ちます。

幡ヶ谷駅前店の危機を救う“真奥”の助け船が、“千穂”の気概を示す場面に繋がっていく
話運びが今巻では一番良かった。やはり彼女が物語の鍵を握ってきます。今後に期待大です。
エンテ・イスラでの“芦屋”や“鈴乃”の影ながらの努力が実ることを合わせて願いつつ。

posted by 秋野ソラ at 12:16 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2018年01月23日

『異世界テニス無双 テニスプレイヤーとかいう謎の男がちょっと強すぎなんですけど!』

『異能バトルは日常系のなかで』の完結と共に 望公太 先生が贈る新作は、強くなりすぎた
テニス選手が召喚された世界でテニス技術を武器に戦うスーパー・テニスファンタジーです。
(イラスト:夕薙 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797393897.html


全日本高校生テニス大会団体戦で全国制覇を成し遂げた陽帝学園高校硬式テニス部。その
エース“王助”は悲願達成に甘んじることなく世界を目指す・・・はずが、若き天才魔術師
“エリーシャ”に、英雄の名にふさわしい者として異世界に召喚されてしまう破目に──。

異世界にテニスプレイヤーが召喚されて何ができる? という疑問をことごとく払拭する
彼の技術力には笑いを通り越して圧倒されるばかり。まるで異能のような技の数々が熱い。
夕薙 先生の挿絵がその雰囲気をしっかり捉えていて、演出面でも文句なしの出来栄えで。

“王助”の前ではただお荷物に成り下がる“エリーシャ”が抱える背景もしっかり物語に
食い込んできますし、何よりも彼が異世界でテニスをすること自体にも必要で十分な条件
が込められていて続きが気になる要素がてんこ盛り。出オチ作品と侮ることなかれ、です。

posted by 秋野ソラ at 01:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2018年01月22日

『ソードアート・オンライン オルタナティブ クローバーズ・リグレット2』

渡瀬草一郎 先生が贈る、和風VRMMOを舞台とした「SAO」スピンオフ作品。第2巻は様々な
クエストと依頼をこなしていく“ナユタ”たちの活躍を4つの短編を通じて描いていきます。
(イラスト/ぎん太 先生 原案・監修/川原礫 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-893594-4/


羞恥心の欠如とは違う、無関心の極みとも取れる“ナユタ”の“クレーヴェル”に対する
言動が“コヨミ”の妬みを誘う場面が散見されるあたりが凄く好き。度重なる彼の強運、
というかラッキースケベなシーンの数々と、それに対する大人な対応もニヨニヨします。

仮想空間での温泉旅行、テストプレイと続き、運営側も想定外のアイテム機動傀儡を入手
してから“マヒロ”の父親捜しへと小編が流れるように繋がっていく展開の絶妙さもまた
今巻の素晴らしいところで。“クレーヴェル”の幸運と“コヨミ”の洞察力が光ります。

“マヒロ”の父が置かれた状況からこの業界の闇を垣間見つつ、彼女の性格が父親譲りと
分かる描写をそっと挿入するなど演出面でも目を見張る点が多々ありました。“ナユタ”
の機微は今後変化するのか否か。“クレーヴェル”の気苦労と共に見守りたいものです。

posted by 秋野ソラ at 00:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2018年01月19日

『もしも百合星人が地球でもっとも尊い百合を見せろと言ってきたら』

鰤/牙 さんがコミックマーケット93にて頒布した同人誌。異星人からの突然の宣告に対し
運命を託された2人の少女と、託す側の事情と思惑を織り交ぜて描いていく百合小説です。
(イラスト:さちはら さん)

https://twitter.com/kiva_blitz/status/939046112924647424


冒頭で各国首脳陣が真剣に「百合」について舌戦する場面にまず圧倒されつつ、片田舎で
くすぶる“友梨佳”が幼い頃に出会った“リリー”に憧れ、運命的に再開する・・・と思えば
その裏に仕組まれた“光琉”のシナリオがある。仕組まれた百合は尊いのかが問われます。

“友梨佳”と“リリー”が抱く心情の差異も整わぬ中、“リリー”の元彼女が揺さぶって
きたり、百合過激派の“ユリスキー”事務次官が介入したりと軌道修正不可なシナリオが
どんな結末を迎えるのか。百合星人は何を尊いと判断するのか。最後まで目が離せません。

付属のペーパーにある「よもやま話」を読了後に読むと、得心のいく点が出てきて面白い。
折本の「杜若あいり、インスタグラムにハマる」も拝読しまして久々に「カネの力」分を
摂取できたのも嬉しい。トレンドを織り込みつつ“あいり”らしさが窺える話に満足です。

posted by 秋野ソラ at 00:19 | Comment(0) | TrackBack(0) | 同人誌

2018年01月18日

『JKハルは異世界で娼婦になった』

平鳥コウ 先生の「小説家になろう」投稿作が書籍化。男尊女卑の異世界に転移した普通の
女子高生が特筆する能力もなく生きるために娼婦となる道を選んだその後の日々を描きます。
(イラスト:shimano 先生)

http://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000013744/
https://ncode.syosetu.com/n5954el/


女子高生“小山ハル”としての人生は、交通事故に遭い、異世界に転移することでリセット。
とある事情で援助交際をしていた経験もあり、娼婦“ハル”として生きる道を楽観的に決意。
春を売る中で様々な出会い、変わりゆく日常、楽しいこと、理不尽なことを感じながら──。

“ハル”とは違いチート能力を得た元同級生“千葉”のしつこい絡みに同情の念を抱きつつ、
彼に頼らざるを得ない“キヨリ”の言動など、男尊女卑を印象づける描写が都度差し込まれ
更なる念が積もります。それでも娼婦として成功すべく頑張る“ハル”の努力がいじらしい。

そんな異世界で過ごす日常がある事件を境に一転し、“ハル”が異世界で娼婦になった真の
理由が明らかとなったときの「なるほど」感がすごい。“キヨリ”が良い意味でも悪い意味
でも彼女の影響を受けていることが垣間見える後日譚も良かった。実に楽しく拝読しました。

posted by 秋野ソラ at 00:35 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル