2019年10月23日

『妖姫ノ夜 月下ニ契リテ幽世ヲ駆ケル』

渡瀬草一郎 先生が贈る新作は大正伝奇浪漫譚。関東大震災の爪痕が残る横浜にある資産家
の邸宅に下宿することになった青年が、都会での生活と妖に対する見聞を広めていきます。
(イラスト:こぞう 先生)

https://dengekibunko.jp/product/321906000025.html


祖父が持つ縁を頼り、郷里を離れ“瀬尾”と共に“夜鳴川”のもとを訪れる“雪緒”青年。
一番の権力者は飼い猫の“ミタマ”様だと言われた厳命を守り居候としての生活を始める。
その彼の寝床に忍び込む若い娘の声で喋る白蛇を目の当たりにして彼が取った行動は──。

妖相手に商売をしている“夜鳴川”の正体を知ってもなお驚くことのない“雪緒”は豪胆
なのか、ただ物知らずなだけなのか。父の“十六夜”が決めた縁談から逃れたい“姫”を
手助けする中で、彼の麒麟児っぷりが分かるのが面白い。あと真摯なのが好感を持てます。

そんな“雪緒”の人柄に惹かれて“姫”だけでなく、数々の妖に好かれ過ぎて身の危険を
覚える様子とかまた好きですね。“鐘寿”の思惑がどう転ぶかとか“蜂月”が何だかんだ
助けてくれる様子とか、脇の見どころもたくさん。実に素敵な大正伝奇浪漫、お薦めです。

posted by 秋野ソラ at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2019年10月22日

『シノゴノ言わずに私に甘えていればいーの!』

『はじらいサキュバスがドヤ顔かわいい。』の 旭蓑雄 先生が贈る新作は仕事がしたくて
たまらない会社員と、押し掛けて世話を焼きたい女性が繰り広げる甘々攻防コメディです。

(イラスト:なたーしゃ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/321906000901.html


日々、終電帰りを繰り返す“拓務”は仕事に対してしんどいと感じることはなく、むしろ
音を上げる後輩“宮本”の業務を肩代わりしてでも仕事がしたい、という生粋の天然社畜。
ある日、隣に越してきた金髪の美少女“シノ”は怪しい位にスキンシップが積極的で──。

「甘やかしエリート」と自ら豪語する“シノ”を訝しみながらもその好意をなし崩し的に
受け続けることになる“拓務”。あれだけ奉仕をされても怠けることなく仕事に注力する
彼の姿勢もさることながら、彼女の行動原理を労働と位置付ける価値観も突飛で興味深い。

“シノ”の正体は推して知るべし、ということで「悪魔っ娘シリーズ」とか組めるのでは
と「電撃文庫」編集部には提案しておきたい所。『はじらいサキュバス〜』も続刊すると
いうことで安心して見届けられる作品。ラブコメを十二分に堪能できることと思います。

posted by 秋野ソラ at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2019年10月21日

『幼なじみが絶対に負けないラブコメ2』

井冬良 先生による漫画化が決定した、二丸修一 先生が贈る先の読めないヒロインレース。
第2巻は“黒羽”と“白草”も油断ならない“末晴”の妹分である“真理愛”が参戦です。
(イラスト:しぐれうい 先生)

https://dengekibunko.jp/product/osamake/321906000898.html


三者三葉の「やらかした!」な心情を踏まえながら、最悪の状況を打破するために選んだ
“黒羽”の秘策。“末晴”のトラウマを払拭するため、そして何より絶対負けないために
何でもやる彼女の姿勢には目を見張るものが。表紙が指し示す意味も読めば納得できます。

“真理愛”からの熱烈アプローチも気になる中、彼女が繋ぎをつけてきた“末晴”の古巣
からの芸能界復帰提案。彼にとって、そして“黒羽”たちにとってベストな未来とは何か。
突如始まる大勝負に、深慮遠謀が渦巻く展開。老若男女が入り混じる駆け引きは見所満載。

今回、「群青同盟」を結成して状況を俯瞰し続けた“哲彦”。彼の目的と“黒羽”の意図、
それがたまたま合致したから辿り着けた結果ですが、いつか敵に回るかもと思うと怖い。
何より彼女の読みが最強すぎて空恐ろしい。むしろ“末晴”が何に負けないのか注目です。

posted by 秋野ソラ at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2019年10月18日

『本を愛した彼女と、彼女の本の物語』

上野遊 先生が贈る新作は、大病を患い失意の底にある少女が手にした1冊の本からの視点
を通じて、愛した本に救い、救われる彼女と彼女に関わる様々な人たちの人生を描きます。
(イラスト/はねこと 先生)

https://mwbunko.com/product/321904000293.html


死者たちのホテルに迷い込んだ少女が従業員として働く様子を描く小説『ホテル・カロン』。
なぜか自意識を持つその本が運ばれた先は病院。ある手術を受けないと癇癪を起こす少女
“銀河”がその本を読み、感動のあまり涙し、手術を受けると言う彼女に彼は恋をする──。

なぜ本の視点から“銀河”の物語が綴られるのだろう、と不思議に思いつつ読み進めていく
うちに描かれていく彼女の人生。「物語」を通じて“睦月”と絆を深め、「物語」を契機に
仕事と運命の人に出会い、「物語」に対して恩を返そうとするその生き様に魅了されます。

“銀河”の親友や運命の人すらも知らない、彼女の喜怒哀楽を「本」の視点から描くことで
その愛を一層強く感じることができた気がします。章題の付け方もその変遷が窺えてお見事。
本を通じて伝わる想いの数々を、ぜひ読んで触れていただきたいと思う作品。オススメです。

posted by 秋野ソラ at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2019年10月17日

『朝比奈若葉と○○な彼氏』

「2ちゃんねる」のやる夫を主人公とするAA作品スレッド「やる夫スレ」から傑作が書籍化。
間孝史 先生が贈るのは「翠星石と白饅頭な彼氏」。嘘告白から始まるラブコメを描きます。
(イラスト:桃餅 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/asahinawakaba/321904000843.html
https://foraastory.kadokawa.co.jp/


親譲りの容姿をもつ“若葉”は内気な性格で、女子たちにやっかみを受けても上手く対応
できずに暗澹とした日々を過ごす。クラスの中心人物“郁美”に目をつけられた彼女は
デブ・オタ・キモイと揶揄される“晴斗”に告白してきて、と罰ゲームをさせられ──。

突然の申し出に驚き歓喜する“晴斗”と、罰ゲームを終わらせたいと思う憂鬱な“若葉”。
どう見ても未来がない2人の関係が、とある気付きをきっかけに彼女の心情や生活すら
変えていく、まさにバカップルそのものに見えてくる展開が救われるし、ほっこりします。

罠を仕掛けた“郁美”も思わず引くほど“晴斗”と過ごす日々が待ち遠しく思う“若葉”。
そんな彼女の大いに盛り上がる気分に水を差す、彼の親友から投げかけられるあの言葉。
ともすれば自分勝手に見える“若葉”の心情は断罪されるか否か、続きに興味津々です。


◆傑作やる夫スレ4作が一挙にラノベ化の発表へ。
https://togetter.com/li/1359446

◆#スレ発ラノベ4 のスレ発って何?→#やる夫スレ のことだから元スレ情報まとめるお。ついでに他の商業デビュー作家も紹介するお
https://togetter.com/li/1404938

posted by 秋野ソラ at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2019年10月16日

『このあと滅茶苦茶ラブコメした 本当はあなたのこと大好きだけど、絶対バレてるわけないよね!!』

春日部タケル 先生が贈る新作は、文武両道のラブコメ好き高校生男子がラブコメ魔法を
発動させてしまうことで校内の美少女たちと様々なラッキースケベを繰り広げていきます。
(イラスト:悠理なゆた 先生)

https://sneakerbunko.jp/product/konoato_lovecome/321906000147.html


ラブコメが好きすぎて女子からモテない残念なイケメンの“大我”。ある日、魔法トラブル
解決のため派遣された天使“ピュアリィ”から、彼の願望を叶えるラブコメ魔法を発動する
少女たちの存在を教えられる。数々のラブコメ騒動に巻き込まれる、彼の運命や如何に──。

バカっぽい言動の“ピュアリィ”に、やることなすことポンコツな美少女の“シフォン”と
キャラクターの掛け合いで魅せるコメディの描写は相変わらずお見事、と言うしかないです。
鈍い“大我”が気付かない、女性陣の秘めた心情に触れていくことでニヨニヨできる場面も。

そんな微笑ましさも、下ネタ大好き完璧超人“君影”の登場で一変。えげつない魔法の発動
によって涙する少女を前に“大我”は何ができるのか。ラブコメ好きらしい彼が見せる矜持、
見届ける価値はあるかと。乙女すぎる“君影”を推しつつ次巻を楽しみにしたいところです。

posted by 秋野ソラ at 02:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2019年10月15日

『すべては装丁内』

木緒なち 先生が「LINE文庫」から贈る新作はお仕事エンターテインメント。新人編集者が
出会った偏屈なデザイナーとの関わりから「装丁」に懸ける熱い想いと重要性を紐解きます。
(イラスト:三嶋くろね 先生)

http://novel-blog.line.me/archives/18817261.html


SNSで共感を呼ぶ少女が紡ぐ言葉を本にしたい。“可能子”の想いに応じた少女が指定した
大御所イラストレーターは「イラストに文字を一切かぶせるな」と難条件を提示してくる。
デザイナー探しに苦慮する彼女へ編集長はある人物を提示するが、これがまたドSで──。

“可能子”に対して難癖をつける“烏口”は一見憎らしい。ただ、ある失敗をした彼女の
焦りを突くかのような的確な指摘で首肯するばかり。社内のいざこざに巻き込まれながら
編集者としての壁を乗り越えようと努力する彼女の姿は実にひたむきで好感が持てます。

読むにつれて“烏口”の装丁に懸ける情熱があふれてくるかのような描写も素晴らしくて
難条件の含意を汲んであの提案をしてくる場面はまさに最たるもの。短い紙幅で読み応え
十分なお仕事小説です。曲者な編集長の思惑に乗せられた2人の次の仕事がぜひ見たい所。

posted by 秋野ソラ at 00:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル