2018年10月19日

『いづれ神話の放課後戦争〈ラグナロク〉10 ─魔眼の王と天焦愛唄─』

なめこ印 先生が贈る学園ヒロイックバトルサーガ。第10巻は“大聖女”の世界の救い方を
体感した“雷火”が示す心の揺らぎを“バロール”が、そして“天華”が問いただします。
(イラスト:よう太 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321802000322


夢のような幸せすぎる日常。それを“雷火”に見せた“大聖女”の意図がどうしようも
なく彼の考え方と相容れないやり取り。更に彼女の方が正しいという点も踏まえるともう
絶望するしかない局面。だからこそ彼が、そして“バロール”が示す悪足掻きが映えます。

紆余曲折の中で今いる女性陣と共に過ごしてきた日々が“雷火”の心境に決定的な変化を
もたらしたことが分かる弱音の吐露。彼だから、という側面だけでなく、人として生きて
いく上での葛藤も窺える熱量に感動すら覚えるほどでした。これはぜひ見てほしいシーン。

“雷火”が示した決心は“天華”に対しても向けられます。最後の大一番となる兄妹喧嘩
の顛末も見どころ。彼女も引くに引けない場所まで来ている葛藤をついに明かしてくれた
感情の爆発ぶりも印象深いものがありました。無事完結させたことに御礼申し上げる次第。

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2018年10月18日

-インフィニット・デンドログラム- 8.遺された希望』

海道左近 先生が贈る激熱VRMMOファンタジー。第8巻は国難に対し〈マスター〉を戦力と
みなすか否か。若き国王代行の悩みも絡む遺跡へ“レイ”が新しいジョブを求め臨みます。
(イラスト/タイキ 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/806.html


“ネメシス”の心配する気持ちも知らずに「聖騎士」でありながら“アズライト”に悪漢
と間違われる程のファッションセンスを見せつけてしまう“レイ”に微笑ましくも苦笑い。
訳ありだがやらかす“アズライト”や彼にアレを言われた時の“ネメシス”の姿が可愛い。

“アズライト”が抱える悩みに触れながら、遺跡にまつわる秘密や暗躍する人物たちに
迫っていく過程が緊張感の高まりを演出してきます。その中で真摯に対応する“レイ”の
姿に心を打たれていく彼女の機微。何かが報われる感じがして思わず応援したくなります。

“レイ”が見聞きする「オッドアイ」「名前表示のおかしい機械仕掛けの人型モンスター」
というキーワード。これが示す真実に気づいた彼が対峙する相手の強さ、それすらも嵐の
前兆くらいの扱いになっていて戦々恐々とする思いです。新スキルの扱いも含め注目です。

posted by 秋野ソラ at 00:52 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2018年10月17日

『チアーズ!3』

「月刊コミックアライブ」にて せうかなめ 先生の漫画連載も始まった 赤松中学 先生の
汗と涙の青春活劇。第3巻は「競技チア」の出場に必要となる7人目の部員が登場します。
(イラスト:こぶいち 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/cheers/321712001038.html


バレー部の試合で応援する場面。チアーズのレベルが低いことを印象づける描写の数々に
加えてクィーンズの“リエ”から浴びせられる嫌味がごもっともな内容で、彼女たちの
悔しさが伝わるかのよう。そんな中にも、ちゃんと報われるシーンがあって救われます。

苦い経験を胸に頑張る意気込みを見せるチアーズに“沙織”目当ての“阿実”が入部を
申し込むわけですが、2軍とはいえイレーネ学院チア部に所属していた彼女の自尊心は
高く、馴染めるのか心配になります。まさか鍵を握るのが「彼女」になるとは露知らず。

チアリーディングは採点競技、と信じて疑わない“沙織”が、実力は申し分ないはず
なのになぜ強豪校で2軍なのか。そこにチアの本質、チアーズの資質を魅せてくれて
実に良いスポ根ぶりでした。分かりやすい敵役“リエ”の鼻をぜひ明かしてほしいです。

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2018年10月16日

『魔王を倒した俺に待っていたのは、世話好きなヨメとのイチャイチャ錬金生活だった。 2』

かじいたかし 先生が贈るスイート錬金生活ストーリー。第2巻は“イザヤ”に昔の女なる
人物が登場し、更に連れ戻すと宣言されて気が気でない“ヨメ”の胸中に触れていきます。
(イラスト/ふーみ 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/808.html


木工のぷちあに作りに専念するあまり“ヨメ”との進展がないことを危惧する“エリカ”の
気持ちも分かるというもので。“イザヤ”の軽い夏風邪を口実に甲斐甲斐しくイチャイチャ
してみたり、バカンスへ誘おうとする“ヨメ”のいじらしさたるや羨ましいことこの上ない。

懸命にアプローチする“ヨメ”の心を揺さぶる“ロゼ”の登場は、彼女にとってまさに衝撃
と言わざるを得ないワケで。二人の関係を勘繰って静かに涙する“ヨメ”の気持ちを思うと
ちょっと“イザヤ”を張り倒したくなるというものです。彼なりに思う所はあるのですけど。

“マリー”も含めての避けられない勝負に臨むことになる展開を経て“ヨメ”を決心させる
イチャイチャ錬金術(!?)の強さと絆を改めて見せつけてもらいました。“ロゼ”に対して
しっかりフォローしていく結末も良かったと思います。続刊も決まって続きが楽しみです。

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2018年10月15日

『じゅっさいのおよめさん』

三門鉄狼 先生が「講談社ラノベ文庫」から贈る新作は、見ず知らずの少女に嫁宣言をされ
わけもわからぬまま新婚生活をすることになった少年の人生を揺るがす思い出を綴ります。
(イラスト:ふーみ 先生)

http://lanove.kodansha.co.jp/books/2018/10/#bk9784065137949


「なんで、君が僕のお嫁さんなの?」「わたしが、せいじのこと、すきだからだよっ!」
「警察」「けーさつのひとがきたら、おにいさんにむりやり、つれこまれましたっていう」
冤罪と有罪の狭間で“誠二”は謎の少女を迎え入れる。その先にある未来も知らずに──。

困惑する“誠二”と対称的に二人でいる時間が楽しい少女。彼女が級友の“みのり”だと
判明するもなぜ10歳の姿なのか、という新たな謎がつきまとうのに微笑ましい日々は続く。
けれどその謎が、彼の予想だにしない秘密によってもたらされたことを知ってからは急転。

実は2人で居られる時間が限られていて。“みのり”は決断した。“誠二”はどうする。
その状況にもっていった設定の妙と、究極の選択に対して彼が選んだ道。決して不幸な
展開にならない爽やかな読了感も安心の一言。ページ数も少なく読みやすくてお薦めです。

posted by 秋野ソラ at 00:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2018年10月12日

『女衒屋グエン』

日向夏 先生の新作が「星海社FICTIONS」から初登場。花街一番の美女に情夫として囲われ
女買いの役割を担う男と、顔に傷痕を持つ下働きの少女が抱える秘密を描く中華小説です。
(イラスト/鈴木健也 先生)

https://www.seikaisha.co.jp/information/2018/09/07-post-1809guen.html


舌足らずな少女“一琳”(イーリン)と、痩身な女性“静蕾”(ジンレイ)。“虞淵”が
買い付けてきた2人を見て顔の右半分をさらしで隠す“翡”(フェイ)は世話を焼く娘が
増えたと思う中、怒鳴る女主人を前に彼は彼女たちを半年で妓女にすると嘯くのだが──。

“静蕾”の資質に気付いていた“虞淵”が彼女をどう妓女に仕上げるのかお手並み拝見、
という話を皮きりに他の女の客を取る強気な“万姫”(ワンジェン)、元旦那の身請け話
に揺れる“思思”(スースー)の話を通じて妓女の世界の華やかさと厳しさに直面します。

下働きの身から妓女たちの話に何かしら関わってくる“翡”。物語の最高潮を迎える場面
において彼女がどう関わってくるのか。“虞淵”の秘密との絡み合い、かつ 鈴木 先生が
描き出すカラー挿絵の演出は実に見事。日向夏 先生ならではの話運びをぜひご堪能あれ。

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2018年10月11日

『ビブリア古書堂の事件手帖 〜扉子と不思議な客人たち〜』

11月に映画上映を迎える、三上延 先生の大人気ビブリオミステリ。“栞子”と“大輔”が
娘の“扉子”に古書に纏わる挿話を聞かせる形で、2人のその後を綴る小編を収録します。
(イラスト:越島はぐ 先生)

http://mwbunko.com/978-4-04-912044-8/


本作を読んでいてライトノベルの話が出てくると内心で動揺が走るというもの。母親譲りの
無類の本好きへとすでに育ちつつある“扉子”と、自身の生い立ちがある故に娘になかなか
強く言い出せない“栞子”の振舞いが微笑ましくて苦笑い。“扉子”の成長が気になる所。

『からたちの花 北原白秋童謡集』では新版の本をプレゼントされる、その意図に気付いた
“由紀子”の機微の変化に希望を感じました。『雪の断章』では“志田”にもう一人いた
生徒を巡って悶々とした内情が描かれる“奈緒”の描写が過去の逸話と相まって印象的で。

『俺と母さんの思い出の本』『王様の背中』のように穏やかには収まらないエピソードも
あります。「本が好きな人となら、誰とでも仲よくなれるわけではないの」そう語りかける
“栞子”の言葉が深く静かに響いてきます。披露されなかった前日譚、見てみたい所です。

posted by 秋野ソラ at 01:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル